Waseda University Senior High School早稲田大学 高等学院

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【連載 Gakuin Alumni 第2回】
2019年卒業 谷口広晃さん

高等学院を卒業後、様々な分野で活躍する先輩に、学院時代から現在に至るまでの足跡や在学生・受験生へのメッセージなどを寄稿していただきます。
ぜひ、将来の進路や職業の選択に役立ててください。

第2回目の今回は、2019年高等学院卒業の谷口広晃さん。高等学院在学中、および現在の大学での生活や研究などについてご紹介いただきました。

谷口さん(2021年 高等学院にて)

◆ なぜ高等学院を受験・入学したのですか?

魅力的に感じた高大連携活動・海外交流

大学の附属高校であることはもちろんですが、その中でも高等学院の推進する高大連携活動(※)が非常に興味深かったことや海外の高校との交流が他の高校と比べ多いことが魅力的に感じました。また、学校説明会の際に訪れた講堂がすばらしく、学院生としてここにもう1度来たいと思ったこともきっかけの1つです。
(※)早稲田大学の高大連携についてはこちら

高等学院 講堂

◆ 高等学院在学中、どのような生徒でしたか?

研究活動の転機となった学院諸制度の活用

在学中から大学との共同研究を始めていましたが、その他の学院生活ではごくごく普通の生徒だったと思います。学院は3年間クラス替えがないことが1つの特徴ですが、私が在籍していた70期のF組は非常にクラスメイトの仲が良く、何をしても受け入れられる雰囲気がありました。我々生徒のことを常に一番に考えて指導してくれた担任の榊先生のもと、寛容で認め合える仲間と出会えたことは現在もこれからも私の人生の宝だと思います。

現在、一緒に研究を行っている東京工業大学准教授の藤枝先生や高等学院生物科の秋山先生との出会いも学院2年次のことでした。2年生の5月より“早稲田大学高等学院同窓会奨励金”の制度を利用し、生物科の秋山先生の指導のもとで研究を開始しました。また、同じ時期に“高校生特別聴講制度”を利用して、早稲田大学の生命医科学科1年の必修科目である生命医科学ゼミナールⅠを受講しました。この講義は生命医科学科の先生方がオムニバス形式でそれぞれが行われている研究を紹介するというものでした。この科目の最終講義を担当したのが藤枝先生でした。藤枝先生が開発、研究されているナノシートに感銘を受け、また先生が高等学院OBであることもあり、講義終了後先生に話しかけに行ったのを今でも覚えています。私が現役の学院生であることを伝えると、藤枝先生から研究室に見学においでとお声がけいただき、当時藤枝先生が研究を行われていたTWIns(早稲田大学先端生命医科学センター)にお邪魔させていただきました。そこで先端研究の現場を実際に目にしたことで、生命医科学科への進学を強く希望するようになりました。

高等学院では高校3年の必修科目として各先生方の指導の下で卒業論文の執筆が求められるのですが、2年次に始めた植物カルスに関する研究が上手くいかず研究テーマに悩んでいた時に、藤枝先生のナノシートを植物に応用することはできないかと考えました。はじめこそ妄想に近いものでしたが、先行研究について文献調査を行うと植物の生体情報を計測する研究がいくつかあるとわかり、ナノシートを用いることで新たな測定方法を提案できるのではないかと考え、先生方に提案しました。藤枝先生や生命医科学科武岡研究室の博士、修士課程の先輩方の協力のもと、実験やディスカッションを通し研究を進めていきました。また、植物センシングの研究を行われていた埼玉大学の長谷川有貴先生ともコンタクトを取り、何度か研究に関して議論させていただきました。年齢や所属が大きく異なる方々と研究をさせていただいた経験から、人とつながることの大切さを実感しました。多くのサポートを得て行った研究は卒業論文として優秀作品賞をいただき、高等学院の公開行事 学芸発表会では藤枝先生や秋山先生にもそれまでの成果を見せることができました。この研究は大学入学後も継続して行い、日本化学会の刊行するBulletin of the Chemical Society of Japanにて昨年6月に発表し、同年8月には学会よりBCSJ賞をいただきました。

このような経験を高等学院時代にできたことこそが私の転機であり、これからの指針でもあります。自主自立や進取の精神を学んだことが、大学に進学した現在でも公私を問わず役に立っています。

左から、藤枝先生・谷口さん・秋山先生(学芸発表会・高等学院 講堂にて)

◆ 大学ではどのような生活を送っていますか?

広い視野を醸成するサークル活動

現在は生命医科学科の学生として多分野にまたがる専門的な知識を学んでいます。学生生活ではバンドサークルとバドミントンサークルに入り活動しています。勉強や研究だけでは行き詰ることも多いので、このように同世代の仲間と活動してコミュニティーや視野を広げることで定期的にモチベーションを上げるようにしています。

◆ 現在の研究について教えてください。

学院時代から絶えない研究の「わくわく感」

現在、学院時代に研究していた「導電性ナノシートを用いた植物用の生体電位測定」という内容をさらに発展させた研究を行っています。これまでの研究で我々は導電性ナノシートが植物用の生体電極として機能することを明らかにし、それを用いたより低侵襲な植物電位測定法を開発しました。現在は学内外の研究室と連携して研究を進めています。将来的に農業などで利用されることを通して技術の社会実装を目指しています。

誰も知らないことを追究するというのが研究の本質であり、私はそれにやりがいを感じています。研究に限らず1つのことを追究していると、体力的、精神的に追い詰められることが必ずあります。そうした時にモチベーションとなるのは、世界の最先端で誰も知らないことを自分の手で明らかにできるかもしれないという「わくわく感」です。高3から始めた研究も成果を発表するのに2年かかりましたが、壁にぶつかるたびにその「わくわく感」に支えられ研究を続けることができました。

すぐに行動する、ということは研究を続けるうえで常に大切にしています。先生や研究を共同で行う方々はそれぞれ他にも研究や仕事をしている場合が多いため、様々なことにいち早く気づき、行動に移すことで研究を停滞させずに進めることができます。また、研究に限らずより多くの人と議論し、広い視野を持つようにしています。様々な視点から物事を俯瞰し、論理的に考えることで細かなアイデアでも研究につなげられるように心がけています。

◆高等学院の受験生へのアドバイス・期待

意志と目標を支える高等学院

高等学院は「やりたいことを好きなだけできる学校」です。学院には様々な制度や先生方、熱意ある友人がいて自分の夢を支え、実現に向けて力を貸してくれます。ただ、何もしなければ始まりません。はじめの1歩を自分で踏み出すことが学院では重要です。

担任の榊先生から教わった言葉ですが、” Where there’s a will, there’s a way.”とあるように自分の意志を持ち、目標を立てて学院を目指してください! そうすれば、素晴らしい仲間と先生に囲まれた充実した3年間を送れるはずです。

3年次の体育祭にて榊先生・クラスメイトと(バスケットボールで優勝)

◆高等学院の在学生へのアドバイス・期待

自主自立と「進取の精神」

一生のうちできっと3年間しかない学院生活を存分に謳歌してください。自主自立を重んじる高等学院では、自ら行動しない限り刺激的な日々を過ごすことはできません。難関な試験を突破した現状に満足することなく、自分の好きなことや興味のあること追究し、その中で早稲田大学が理念の1つとして掲げる「進取の精神」を学んでください。皆さんの益々の活躍を楽しみにしています。

プロフィール
早稲田大学先進理工学部生命医科学科3年在学中。
早稲田大学高等学院2年次に受講した早稲田大学生命医科学ゼミナールⅠを契機に、「導電性ナノシートを用いた植物用の生体電位測定の研究」を始める。
早稲田大学進学後、同研究で日本化学会BCSJ賞を受賞。

これまでの活躍
【学部生の活躍】世界初・ナノシート電極を用いた植物電位のライブモニタリングに成功
植物葉で電位を測定できる極薄電極を開発 早稲田高大連携の研究成果
ナノシート電極を用いた植物葉における生体電位測定法に関する研究がBCSJ 賞を受賞
東工大と早大、極薄な導電性ナノシート電極を開発し植物生体電位のライブモニタリングに成功
世界初・ナノシート電極を用いた植物電位のライブモニタリングに成功

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