こんにちは。千葉県の公立小学校で教員をしている山本裕貴です。
前回は「心が育っている子どもの特徴」についてお話しさせていただきました。今回は、前回に引き続き、特徴の中の手抜きをしないことについてお話ししていきます。
4月の学級開きでは、学級担任が、これからどういう学級を作っていきたいかを子どもたちに話します。子どもたちと教員の出会いの場、ここで目標を共有することは、とても大切です。みなさんは、学級開きで子どもたちにどのような話をしていますか。
私もこれまでいろいろなことを話してきましたが、いつも必ず伝えるのは一生懸命についてです。実際には、以下のように子どもたちに話しています。
「先生が大切にしているのは、一生懸命がんばることです。クラスの中には、勉強が得意な人、走るのが早い人、絵が得意な人、発表が上手な人などがいますね。それぞれ得意なことが違うと思います。でも逆に、それらが苦手な人もいると思います。」
「得意なことがある人は、すばらしいです。ぜひそれを伸ばしていってください。でもね。先生は、それだけを見ているのではありません。誰が一生懸命がんばっているかを見ています。苦手でも、一生懸命にがんばることはできます。一生懸命という言葉は知っていますか」
ほとんどの子どもは「一生懸命」という言葉を知っています。そして、一生懸命がんばることは大切だと答えます。ですので、次のように尋ねます。
「なるほど。一生懸命がんばることの大切さは知っているのですね。では、一生懸命がんばるとは、どういうことを指すのですか」
このように聞くと、大抵の子どもは「う~ん」と悩みだします。一生懸命という言葉を知っていても「全力を出す」とか「しっかりやる」といった曖昧な様子しかイメージできていないからです。これでは、一生懸命がんばることはできません。教員は子どもたちが具体的なイメージを持つ手助けをする必要があります。
「一生懸命とは『手抜きをしない』状態のことです。例えば音読するとき、もっと大きな声が出せるのに、小さな声でぼそぼそと読んでしまったことはありませんか。これが手抜きをしている状態です。自分の力を出し切っていないのは、手抜きです。」
「手抜きをしないというのは、大変です。正直な話、疲れます。でもね。一年間手抜きをしてきた人と、手抜きをしなかった人、どちらが成長すると思いますか。そして君たちは、成長する人としない人どちらになりたいですか。先生は、みなさんが大きく成長してくれるようにサポートしていきますよ」
このように学級開きで話すことで、子どもたちに「手抜きをしない」意識が芽生えます。しかし、これだけでは手抜きをしない子どもたちにはなりません。大切なのは、継続した指導です。
次回は「日々の中でどのように手抜きをしない子を育てるか」についてお話したいと思います。また次回お会いしましょう。