こんにちは。千葉県の公立小学校で教員をしている山本裕貴です。
前回は、音読の4つの機能「読解促進機能」「思考表現機能」「記憶定着機能」「意欲向上機能」についてお話ししました。
教員は、これらの機能を理解した上で、授業のあらゆる場面において音読を取り入れていくべきだと考えています。
しかしながら、良いことばかりのようにみえる音読にも、弱点があるのをご存知でしたか。それは「子どもが飽きやすい」ということです。
音読は素晴らしい教育方法ですが、ただ読ませているだけではいけません。どんな子どもも読んだことがある文章を繰り返し読むだけだと、飽きてしまいます。
私が初任者の頃、音読で失敗したエピソードがあります。4年生の国語の授業でした。授業の進め方など、なにもわかっていなかった私は「国語は、とりあえず音読をさせればよい」と考えてしまっていました。
起立させ、姿勢を整えさせ、大きな声で読むように指導しました。子どもたちは、私の指示に従って一生懸命読んでいました。しかし、2時間目の授業で同じことをやったとき、子どもたちの様子が少し違っていました。3時間目の授業ではさらに顕著でした。それはまるで「先生、もう何度も読むのは飽きたよ」と言っているようでした。そのとき、気が付いたのは「音読は、同じ手法で何度も読ませてはいけない」ということです。
子どもが楽しく、意欲的に読むためには、教員が多くの音読の手法を知っている必要があるのです。
では、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。私が実際に教室で行っているものをご紹介いたします。
あらかじめお伝えしておきますが、今からご紹介する手法は、私が開発したものではありません。先輩の先生に教えてもらったり、教育書を読んで知ったものだったりします。そちらを踏まえて、お読みいただければと思います。
【①一人読み】一番シンプルな音読です。正しく、はっきり、スラスラ読めるように伝えます。
【②ペア読み】ペアでの音読です。同じところを同時に読む「合わせ読み」や、読点ごとに交代する「交代読み」などがあります。
【③グループ読み】3人以上のグループで読みます。声がきれいに揃うと楽しいです。
【④背中合わせ読み】ペアで背中合わせになって音読します。相手の声をしっかり聞かないと、合わせることができないので、難易度が高いです。
【⑤歩きながら読み】歩きながらの音読です。子ども同士がぶつからないように注意が必要です。
【⑥高速読み】時間を測って、できるだけ早く読みます。物語文より、説明文が適しています。
【⑦間違えるまで読み】間違えるまで、読み続けます。間違えたら、次の人に交代します。
【⑧追い読み】教員が読んだところを、子どもがもう一度追って読みます。先生役を子どもに任せても楽しいです。
【⑨役割読み】地の文、登場人物など自分が読む役割を決め、その場所だけ読みます。
【⑩離れて読み】ペアになり向かい合い、二人の間の距離5mほどとります。そして交代読みをします。大きな声で読まないと、相手に聞こえないので、子どもたちは一生懸命に音読します。
このように、様々な手法で音読することにより、子どもは楽しく意欲的に活動することができます。気になったものを、ぜひ試してみてください。というわけで今回は音読の手法についてお話ししました。
次回は「国語授業」についてお話ししたいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。