はじめまして、千葉県の公立小学校で教員をしている山本裕貴です。今回からエッセイを連載させていただくことになりました。この連載が少しでもみなさんのお役に立てたらうれしいです。どうぞよろしくお願いします。

さて、初めにお尋ねしたいことがあります。みなさんが考える「教員の役割」とは、何ですか。

「子どもの学力を伸ばすこと」、「人間関係を作ること」など多くの考えがあると思います。

学校教員は忙しく、常に多くの仕事に追われています。すると、こういった最も本質的なことを忘れてしまいがちです。しかし、私たち教員がどんな役割を果たすべきか曖昧なままでは、良い指導はできません。人によって答えは異なっていたとしても「私が考える教員の役割は〇〇です」という考えを持つべきなのではないでしょうか。

私が考える教員の役割は「子どもの心を育てること」です。なぜ、そう思うのか順番にお話ししていきます。

私が教員として駆け出しだったころ「学級担任の経験の差は子どもたちにどのような影響を与えるのだろうか」といつも疑問に思っていました。

初めは「学力」だと考えていました。技量のある教員が学級担任になれば、子どもたちの学力は自ずと上がるだろうということです。まあ、シンプルに考えるとそうですよね。 

でも、いろいろなクラスをみていると、そうではないと気がつきました。もちろん、多少の差はあるかもしれませんが、若手教員の学級がベテラン教員と比べて極端に学力が低くなるということは決してありません。

その理由は、おそらく勉強は、学校以外でもできるからだと思います。宿題だったり、塾だったり、子どもが学校以外で勉強することで学力は伸びていきます。ですから、教員の技量に差があったとしても、学力にはほとんど差がつかないのではないでしょうか。

では、教員の技量とは子どもにとって「無意味」なのでしょうか。いいえ、決してそんなことはありません。

私はこれまで、学級づくりが上手な教員の担当するクラスを何度も参観してきました。そういったクラスは、教室に入ると空気でわかります。いったいなにが他のクラスとは異なっているのでしょうか。

それは「子どもの心が育っている」ことのです。つまり、学級づくりが上手な教員は「子ども心を育てるのが上手」といえます。

学力を伸ばすことは、学校以外でもできます。しかし、心を育てることは学校でないと難しいのではないでしょうか。だからこそ「教員の役割は、子どもの心を育てること」だと私は思います。子どもの心を育てるのは、本当に難しいことです。私も日々、悩みながら学級づくりをしています。

では「子どもの心が育っている状態」とは、どのようなものなのでしょうか。次回は、それについてお話ししたいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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