文部科学省の松本大臣は、人材育成の課題を議論する場として、「人材育成システム改革推進タスクフォース」を設置しました。今回は、公立高校の将来的な在り方を示す「高校教育改革に関するグランドデザイン2040」と関連させながら、前回に引き続き、戦後の高校改革の具体的なお話をします。
私は初任校で10年経験し、2校目に異動しました。そこでは、生徒たちの学力や生活などさまざまな課題も抱えており、全日制普通科から学校改革を行った結果、単位制総合学科として再出発しました。
普通科のように進学のみを意識せず、専門学科のような具体的なカリキュラムではない中間的な位置づけです。「産業社会と人間」を必修とし、将来の進路を見据えて生徒の興味関心が持てるような柔軟なカリキュラムを組んでいることが特徴です。
2024年の文部科学省の生徒数調査によると、1954年当時、普通科:59.8%、専門学科:40.2%に対して、2024年は、普通科:74.1%、専門学科:20.5%、総合学科:5.4%です。現在は、圧倒的に普通科の高校が多いことが分かります。かつては工業高校、商業高校、農業高校は中学生にも人気があり、優秀な生徒も入学していましたが、現在では専門学科は徐々に普通科に合格できない生徒が進学するという印象になってきています。
2021年にニュージーランドの高校を視察した際、地域の普通の高校の中に、工業科で行うようなモータバイクの授業や演劇やミュージカルの授業を行うような多様なカリキュラムとそれに対応する施設・設備があることに驚きました。日本でいうと、一つの学校に普通科や工業科や芸術科があるようなタイプです。そしてさらに上記の同じ調査では、専門学科の内訳は商業科:5.6%、工業科:6.9%、農業科:2.3%で、多くの学校は私学ではなく、公立高校です。
戦後の高校改革は、総合学科の新設はあったものの、おもに教育課程や授業方法の改善などに終始していた傾向が見られます。中学卒業生に対して、大学進学のみを目指す学校ではなく、専門学科高校のような実業的な学校を見直す時期に来ていると強く感じています。
そこでそのヒントの一つとして、5年制の高等専門学校(高専)というシステムに注目します。中学校卒業程度を入学資格とし修業年限5年の課程のもと、後期中等教育での一般教育と、主に工学・技術・商船系の専門教育を一貫して施すことにより、実践的技術者を育成することを目的とする高等教育機関です。全国には58校(国立51校、公立3校、私立4校)ありますが、まだまだ認知度が低いのが現状です。
確かにこのような専門学科高校や高専を作るには予算がかかり、私立での運用はなかなか難しいと言えるでしょう。近年、「高校授業料無償化」が話題になっていますが、優先順序として、公立学校の施設・設備の充実とりわけ専門学科の充実や新設にあると感じています。今回の文科省の改革にも専門学校の充実が掲げられていますので、注目していきたいですね。
次回は、教員の研修についてお話します。またお会いしましょう。