前回、小学校の教員のスケジュールについて記事をお話させていただきます。
今回は、中学校・高等学校の教員のスケジュールについてお話させていただきます。改めて、教員がどのような一日を過ごしているのか、意外とあまりよく知られていません。
新人の先生方はもちろん、教員を志す学生のみなさんもどうぞ参考にしてみてください。
校務分掌一覧
学校の教員は授業以外に仕事を振り当てられます。これを校務分掌といい、授業以外で時間を使うことが多くなります。学校によって違いはあるでしょうが、ここで主な校務分掌を挙げてみることにします。
・教務部
主に学校運営全般の仕事に携わります。行事や企画、出席管理やカリキュラム作成など、仕事内容は幅広くなります。主にベテランの教員が担当することが多いようです。
・総務部
いわゆるPTAの係です。総会の企画運営や、PTAとの連携など、保護者との窓口になるのがこの係です。
・生徒指導部
生徒の生活面での指導を担当するのがこの部署です。校則に逸脱した生徒の指導はもちろん、生徒指導の上でのデータ管理などもまかされます。
・進路指導部
生徒の進路について中心的に仕事をするのがこの部署です。進学や就職の指導はもちろん、生徒の試験のデータ・統計分析なども担当します。
・特別活動部
学校行事全般を中心に任されるのがこの部署です。学校行事の企画運営や生徒会の指導もここで行われます。
・保健部
生徒の健康管理を中心に、物品の管理なども行います。学校によっては、防災指導などの行事の企画運営もこの部署が担当します。
以上が学校で回される主な仕事内容です。では、ここから中高の教員の1日をみていくことにしましょう。
朝の仕事
朝は生徒が登校する前に出勤していることが前提となります。
生徒指導部や副担任を中心にして、校門指導などを行います。朝の生徒は学校のスタートの基盤ですので、この時間を有効的に使用することがカギとなります。
定刻になると、職員朝礼が行われます。1日の「教員の動き」を確認します。行事や会議などの確認を中心にした、職員の朝の儀礼的な仕事です。また、問題行動のある生徒などがいれば、ここで共有することもあります。
生徒が揃ったら、学級担任を持つ教員は朝のSHRに出かけます。ここは各教員に任せられますが、朝の職員朝礼で確認した連絡事項は必ず伝達されます。
学級によっては、朝の読書、朝の勉強会、健康観察なども行われます。
SHRがおわるとすぐに授業時間に入っていきます。すぐに頭を切り替えられるかがポイントになります。
授業
授業は各教員に任せられますが、近年ではICT(Information and Communication Technology)を活用した授業やアクティブラーニングという授業形態が推進されています。
ICTは出欠をタブレットなどで記録したり、提出物をメールで送ったりすることを容易にします。近年の新型コロナウイルスにより、デジタル機器を活用した授業は大いに求められるところです。
また、アクティブラーニングという、生徒が主体的に思考、判断、行動する授業も推進されています。教員に一方通行の講義だけではなく、生徒が自ら学んでいく授業が求められているのです。
授業はが教員の最大の仕事です。ここでうまく力を発揮すると、生徒から信頼・信用されます。
午後の仕事
昼休憩を挟んで、午後も授業や空き時間などで動いていくことになるでしょう。空き時間ですが、教員は提出物のチェックをしたり、雑務などをしたりします。大きな仕事は放課後に回されるのが一般的です。
学級担任を持っていたら、午後は昼食後で生徒が元気になり、活発化するため、教室まで巡回することもあります。中には授業中の教室に入っていき、自分の学級の生徒の指導を静かに行うこともあります。
学校によっては放課後の職員夕礼もあるようです。1日の学級の様子を報告し、教員によって共有します。また、最近は生徒一人一人に関わる教員の数を増やすという傾向があり、生徒についての各自の報告もなされます。
学校の教員には特にホウレンソウが大切になってきます。何か起こったら、1人で問題を抱え込まないで、他の教員と共有して、管理職には必ず報告しましょう。
部活動指導
放課後の大きな仕事は部活動指導です。文化部と運動部に分けられますが、教員からどの部活を持ちたいか、希望を出すことができます。その希望通りに割り振られないことも多いですが、「指導」が重要で、その部活に精通していなくてもいいというのが、共通認識です。
部活は近年では休みの日も設けられましたが、このために土日も出勤する教員は多いです。そのため、各教員のタイムマネージメントが大切な要因になってきます。
特に教科指定部などのような力の入った部活の顧問になると、夜遅くまで指導することも多いです。
部活は進度などの連絡会も行われるため、事務的な仕事もこなす必要があります。
また、学級担任を持っていると、生徒が帰宅するまで、学級と部活を行ったり来たりする必要も出てきます。生徒といかに人間関係を築けるかがポイントになってくるでしょう。
大変な仕事ですが、生徒とのコミュニケーションを行える大切な時間でもあり、また、授業と部活動指導をきちんと行う教員はほかの仕事もきちんと行える、と言われることもあります。
放課後の仕事
さて、放課後をいかに有意義に使用できるかが、教員の力量です。
授業の準備にあたる「教材研究」、テストの作成、会議、校務分掌、保護者連絡など行うべき仕事は盛り沢山です。
教材研究は週ごとにまとめて行い、各授業前に最後の詰めを行うのがコツです。教具やパワーポイントの作成などもここにあたります。この時間に多くの時間を割くのが望ましいです。
また、試験前にはテストの作成、ほかにも教員によっては小テストの作成も行います。その添削も然りです。提出物の管理やパソコン入力などに意外と時間はさかれるものです。
また、各種会議も放課後に行われます。校務分掌の部署や学年団、教科ごとに会議が行われ、ときには1日に数回会議に参加することもしばしばです。また、定例会議という全ての教員が集まって、今後の確認やこれまでの振り返りを行いものも時折行われます。
そして、校務分掌ですが、これは主任の教員から与えられた業務をこなすのが通例です。
それぞれの教員が協力しあって学校は成立しています。
最後に、保護者連絡ですが、これは保護者が放課後の時間に空いている場合が多いため、この時間になされることが多いです。欠席をした生徒の自宅への連絡はもちろん、問題行動のあった生徒への自宅連絡も行われます。不登校傾向の生徒へは毎日のように連絡をする必要もあります。
余談ですが、教員の同僚同士のコミュニケーションも行いやすいのが放課後です。これにより、生徒の情報共有や先輩教員から後輩教員へアドバイスなど、有意義な時間になります。どうぞ、周りの教員の方とコミュニケーションを十分にとってください!
まとめ
いかがでしたか? 今回の記事では、中学校・高等学校の教員の一日の仕事を簡単ではありますが、まとめてみました。教員は数多くの仕事を行わなければならない総合職ですが、それが生徒や保護者から感謝の形で返ってくるとやりがいは大いにあります。新人のみなさんなどは、どうぞ力を入れすぎず、自分なりの教員になっていってください!