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【必読】教員になりたい学生、現職の教員の方へ捧げる『教員の業務改善術』

はじめに

昨今、学校教員のブラックな働き方が話題になっています。
実際、生徒や保護者のために熱意をもって頑張っている先生方ほど残業時間や休日出勤がどうしても多くなってしまう現状にあるかと思います。できる限りワークライフのバランスを確保し、心身の健康を維持することができなければ業務はおろか、生活や家庭に支障をきたしかねません。特に中学校や高校では授業や学校行事に加えて部活動に熱を入れている学校も多く、仕事の進め方に苦労している先生方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし働き方の改善を諦めることはありません。国として、学校として抜本的な改革を待ち続けるだけではなく、一人の職員として時短できる部分は効率化を進めていくことはできます。

そこで今回は、特に今から教員になる予定や目標がある方、もしくは業務の進め方に四苦八苦されている若手中学校教員に向けて、業務改善のコツを5点お伝えいたします。

まずは周囲から「パクる」が肝

「パクる」というと最初は抵抗感があるかもしれませんが、積極的にこの行動をとれるようになることで、1時間かかる仕事を10分で終えられるようになります。

授業や行事の運営、テストの答案や部活や懇談会の予定表のようなドキュメント作成など、1から自分で考えたり作成したりするとどうしても時間がかかってしまうことに向き合うとき、「周囲の事例をとにかくパクる」ということを考えてみてください。ベテランの先生をはじめ、周りには必ずよいツールや情報のストックがある先生方がいるはずです。もちろん慣れてくると少しずつ、より良い方法や、好みに合わせてオリジナリティを発揮したくなる時もありますが、まずは既存の型を吸収していくと、赴任初年度から学級担任かつ部活動主顧問となったとしてもスムーズにキャッチアップできます。 

教員になっている方は多くの場合頼られることにやりがいを感じます。まずは話しやすい距離感の先輩や、同学年、教科など接点のある先輩に頼る癖をつけましょう。そして少し時間や心の余裕があるときには、いただいたツールやアイディアがもっと良くなるように磨きこんで、先輩に提案するといったように情報のキャッチボールを意識していくと、気づけばあなたは職員室でも不可欠な頼りがいのある存在にもなれるはずです。

授業づくりの基本はストックとアレンジ

中学校や高校では教科担当制で指導を行うため、学習指導要領および教科書が大きく変更されない限り基本的には1年~3年までの単元の指導を長きにわたって繰り返していく形になります。そのため作成したワークシートや、考えた授業のアイディア、ましてや研究授業の際に作成した指導案などは必ずストックしていきましょう。PCフォルダに学年、単元別に情報を整理しておくと、2回目以降同じ単元を指導する際に、授業づくりの手間も省けます。

また、研修などの機会に他校や他地区の研究授業の事例を収集することができた際には、そういった情報のストックも意外と役に立つことがあります。授業がマンネリ化したり、いまひとつ効果的な活動や発問が浮かばなかったりなど、行き詰った際の起爆剤を多くストックすることで結果的に手を抜くことなく授業準備の時間短縮につながります。

もちろん、使いまわしに終始してしまっては成長がありません。是非担当するクラスや学年の実態や、より良い授業づくりのためにアレンジを加えながら、情報の蓄積量を毎年増やしていきましょう。

メリハリのある部活動運営

業務時間を大きく圧迫する最大の要素が、部活動です。私の場合は熱心に土日もひたすら1日練習を繰り返していた前任顧問から引き継いで任されたため、正直地獄でした。やるときはやる、休むときは休むといったメリハリのあるスケジュールを自身の裁量で建てるには、顧問として就任してからすぐの時期が最重要です。あなたが顧問として、「限られた時間の中で生産性を高めていくスキルを、部活動を通して身につけさせたい」「ハードワークの根性論ではなく、休息と活動のメリハリをつけた練習計画の設定がアスリートでも現在主流であること。」といった思いや事実を顧問として生徒や保護者に伝えることが大事です。それをしないと、だらだらと何となく土日も休みなく練習することが正義という風潮を切り替えることができません。また、休みを設定することが顧問としてやる気がないという見られ方をしないためにも、大切な意思表示になります。

抱いた違和感は忘れず

現場に配属されると、当然すべてが初めてで大変なこともたくさんあると思います。日々余裕がなくなってしまうこともありますが、少しでも「この行事や仕事は無駄ではないか。」「もっと効率よくならないだろうか」といった違和感を覚えた際には、ぜひノートなどに忘れないように記録することが重要です。今すぐに改善することができなくても、数年先自身が責任ある公務分掌を担う立場になったときに、なんとなく前年踏襲を続けてしまうと業務が増えることはあっても絶対減ることはありません。その時、過去の自身の気づきから、どこにメスを入れていくのか課題意識を持てるかどうかが、自身はもちろん職員全体の業務効率化に直結していきます。

何年も忙しいは当たり前という環境にいると、仕方ないと働き方の改善を諦め、悪い意味で染まってしまうケースもあります。慣れると、染まるは違います。まずは配属当初の新鮮な価値観で抱いた違和感を決して風化させないよう、記録する習慣から身につけていきましょう。

帰れるときに帰るために

テスト週間や、生徒の下校が早い日課の週など、普段より学校の中にいなければならない時間が短い日には、なるべく早く帰れるよう工夫してメリハリをつけましょう。そのためには、長期休暇期間の時間の使い方が肝になります。

夏休みや冬休みなど、長期休暇の時にはいつもより少し落ち着くことができる時間があると思います。もちろん休息をとることも大事なのですが、部活などで出勤した日に1日1時間でも次学期に向けての仕込みをしておくと、結果的に楽をすることができます。

特におすすめは、次学期分の定期テスト、授業案やワークシートの骨子を作っておくことです。これをしておくだけで、日々の授業準備はほぼ教材の印刷のみになります。授業の空き時間にも、学級通信の作成をしたり、担任する学級の様子を少し見に行ったりなど、生徒のために時間を割くことができます。

業務時間が伸びてしまう要因の多くは、「考える時間」「作業する時間」の2つがぐちゃぐちゃに混ざり合ってしまうからです。前倒しで考えられること、準備できることを時間的余裕があるときに済ませておくことで、始業式以降イレギュラーなトラブルなどが発生しても深夜までタスクに追われる可能性を減らすことができます。

まとめ

教員になるとき、誰もが熱意を持って現場に配属されるはずです。そして熱意=時間をかけることという捉え方に巻き込まれてしまうと、いつまでたってもその戦い方から抜けられなくなってしまいます。少しの気づきと工夫で、あなたの働き方は必ず改善することができます。何より一流の教員は一流のビジネスマンでもあります。ビジネスマンとして業務の中で何が課題か、どうすれば改善できるか常に考え続けることを忘れない、素敵な先生としてプライベートも充実させながら頑張ってください。

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