【男性教員は育休できるのか】メリットや気になるお金事情について解説

男性の育児休業は少しずつ世の中に浸透しつつあります。しかし、教員の世界では男性教員の方で育休を取得している方を見るのは稀ですよね。
そこでこの記事では男性教員の育休について解説していきます。

男性教員は育休を取得できるのか

男性教員ももちろん育児休業を取得することは可能です。育児休業は国が法律で定めた労働者の権利であり、「子どもが1歳未満(最長で2歳未満)」まで取得できるとされています。
小泉進次郎氏が育休を取得して話題になってから「男性の育休」はメディアでよく取り上げられるようになり、世の中に浸透し始めました。
しかし、男性教員の育休取得率は低いままです。

参考:厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の 一部を改正する法律の概要

男性教員の育休取得率は低い

九州の男性教員の育児休業取得率が2019年に公表されました。
この記事によると、九州での男性教員の育休取得率は2.0%(2018年度)でした。
地方公務員の男性職員の平均は11.5%(同年)なので、かなり差が大きいことが分かりますよね。一方、女性教員はほぼ100%育休を取得しています。
事実、私が教員時代の職場では育児休業をしている方のほとんどが女性でした。

参考:西日本新聞「男性教員の育児休業取得率」

育休した際のお金事情

男性教員の育休取得率が少ない要因の一つとして、「お金の不安」があります。男性教員は育休中、給与支給がありません。もちろん住居手当など、各種手当もなしです。
しかし、育児休暇中には、給与の代わりに育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は原則として育児休業開始時の賃金日額×支給日数の67%、育児休業開始から180日経過後は50%の給付金がもらえます。
また、3歳未満の子ども1人につき月額1万5千円の児童手当も全国民対象で支給されます。育休とは関係がありませんが、給与が無くなる育児休業取得者には貴重な収入源です。

参考:内閣府「児童手当Q&A

男性教員が育休を取得するメリット

男性教員が育休を取得するメリットは下記のとおりです。

  • 家族と過ごす時間を確保できる
  • 保護者の気持ちが分かる
  • 改めて将来設計を立てられる

家族と過ごす時間を確保できる

教員をしていると、「朝早く学校へ出勤し、帰宅するのは夜遅く」なんてことはザラにあります。
場合によっては土日にも、部活などで出勤しなければならない場合もあるでしょう。
このような働き方をしていれば、家族と過ごす時間を確保するのは困難です。家族と過ごす時間を確保できないことによって、2つの問題が生じます。
まず1つ目は、パートナーの負担が増えることです。子育てをすると、1日中子どもを見なくてはなりません。それに加え、家事も1人で行うことはかなり大変です。
2つ目は子どもの成長を見られないことです。乳幼児の頃の子どもは1日1日かなりのスピードで成長します。「初めて歩いた場面」や「初めて喋った場面」など子どもの成長を間近で見ることができなかった教員は多いようです。
しかし、育休を取得することによってこれらの問題を解決することができます。パートナーと家での仕事を分担し、より密に子育てを行えるでしょう。

子どもや保護者の気持ちが分かる

子育てに参加することで教員としても人間としても成長します。人は経験をすることで成長する生き物です。経験をすることで見えない世界が開けていきます。
子育てに参加することで今まで気にしていなかった、細かなことにも目がいくようになるでしょう。「この教材は子どもには危ないな」といったように、今まで以上に子どもの目線で物事を考えられるようになります。
また、保護者の気持ちも分かるようになります。自分も保護者の立場を経験することで、保護者に寄り添った話をすることができるようになるでしょう。
これは、子どもがいるだけで芽生えるものではありません。自分も責任を持って子育てに参加することで、初めて見えてきます。

改めて将来設計を立てられる

育休の最優先は育児です。おむつの交換やミルクの準備、家事などやることはたくさんあるでしょう。その上で、学校現場から離れた時間を、有意義なものにしたいですよね。
子どものお昼寝の時間など、ちょっとした隙間時間を自分の時間にすることができます。この時、忙しい普段では考えられないことも考えられます。

  • 自分はどんな教育をしたいのか
  • 教員としてどのようなキャリアを積んでいくべきか
  • このまま教員を続けていても良いのか

上記のような将来について考えておくことで、将来設計が整理されます。
このようなことは忙しい日にはなかなか考えられません。ゆっくりと自分の将来について考え、育休後のモチベーションを高めましょう。

管理職に育休したいことを伝える際に気をつけるポイント

教員不足問題が目立ち始めている学校現場で、育休したい旨を伝えることは勇気がいりますよね。また、どのタイミングで誰に伝えれば良いのか分からない方もいるでしょう。
円満に育休を取得するために、以下でご紹介するポイントに注意してください。

職場からの理解はまだまだ少ない

上記で説明しているように、男性の育休取得率はまだまだ低い状態です。そのため、職場でも男性教員が育休を取得するイメージが、あまり持たれていないことが多いでしょう。
しかし、周りから受け入れられないからといって育休を諦めないでください。もちろん、中には良く思っていない人もいるかもしれません。ただ、応援してくれる人もいるでしょう。

また、生徒や保護者からも理解してもらえます。特に育児を経験してきた保護者の方は応援してくれることが多いです。
ただ、いきなり育児休暇でいなくなってしまうと、迷惑をかけることになってしまいます。
生徒や保護者には事前に周知させてもらえるように、管理職と話し合っておきましょう。

職場へ伝えるタイミング

まずは育休を取得する旨を管理職に伝えましょう。
理想を言えば、体制の変わる4月から育休を取れれば、学校側の負担も軽く済みます。
しかし、子どもは授かるものなので、時期を選ぶことはできません。

パートナーの妊娠が分かり次第、育休を取るのであればすぐに管理職に伝えましょう。
この際、管理職と学年主任の方だけにしか伝えないようにします。妊娠にはリスクもあるため、気軽に広めるものではありません。安定期と言われる妊娠5ヶ月目以降に正式に発表すると良いでしょう。

育休から戻ってきたときの働き方を話しておく

育休することを伝えた際に、育休後の話もしておくと良いです。子育ては育休後も続くためです。
育休後いきなり責任重大な役職を任せられると、結局パートナーや子どもに迷惑をかけてしまうことになります。そこで、育休後も定時で帰れるように、管理職と話し合っておきましょう。
この話を育休後にしてしまうと、学校側に迷惑がかかる場合があります。

男性教員も育休を取得しよう

男性教員が育休を取得することに対し、良いイメージを持たない方もいます。
しかし、男性教員が育休を取得することは、おかしくありません。
パートナーを支え、子どもの成長を見届けることを優先するのは自然です。
もちろんまだまだ男性教員の育休取得率は低いままなので、育休を取ることは勇気がいるかもしれません。今回ご紹介した気をつけるポイントを胸に、自信を持って育休を取得しましょう。

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