中学3年生の担任必読! 受験に向けた1年の流れを紹介 

義務教育の9年間の中でも、中学校3年生は特殊な学年です。生徒たちは将来を見据えて進路を選択する必要があるため、教員側の1年間の流れも他の学年とは少し異なります。今回は、中3の担任となった場合のポイントをお伝えしていきます。

中3担任は「逆算思考」で行動

まず、中3の担任をするには「逆算思考」が特に大切です。卒業式や高校入試の日から逆算して学習計画や行事の予定を考える必要があります。

反対に「積み上げ思考」で行動した場合、最後にやり残しができたり、途中の予定を端折ったりしてしまうことがあるので注意しましょう。

年度の始めのうちから公立・私立高校の入試日を把握した上で、書類の提出期限、学校見学の日程等の情報を集めておきます。初めて中3を担任する教員は、進路指導主事の話をよく聞き、1年間のスケジュールを作りましょう。

では次に、中3担任が1年間のうちにやるべきことを紹介していきます。

高校見学の準備は1学期中

中3生が各高校の施設を見て回ったり、実際に授業を体験したりする「高校見学」は、夏休みに実施される場合も多くあります。中3の担任はこのイベントに向けて、1学期のうちから準備しなくてはなりません。

具体的にやるべきことは、「各高校の担当者が1学期中に中学校を訪れ、置いていったパンフレット等に目を通し、その情報を生徒に共有すること」と、「見学する高校を選んでもらうために、生徒たちの進路先をある程度絞り込ませておくこと」などです。

1学期には、中間テストや運動会、合唱コンクールといった行事を予定している学校も多いため、早め早めの準備を心がけましょう。

2学期は私学の進路決定 推薦者もピックアップ

最後の部活動の大会を終え、夏休み頃から受験モードに突入します。そして、2学期からはいよいよ本格的な進路決定が始まります。私立専願で志望する場合、さらに推薦を狙う場合は特に、2学期中に早めに志望校を決めなくてはなりません。

私立を志望する生徒に対しては、入試方法などの細かい打ち合わせをしていきます。なかなか、進路が決まらない生徒に対しては早目に保護者と相談の場を設けるのもよい方法です。

入試に関わる判定基準は学校毎に示されるため、担任はその生徒の2学期までの成績が基準を満たしているかを確認しておく必要があります。

進路指導委員会が重要

2学期になると「進路指導委員会」が頻繁に開かれるようになります。これは、生徒に対する「進路希望調査」を元に実施されます。進路希望調査の実施は学校によって異なりますが、1学期に1回目、2学期の初めごろに2回目があります。進路希望調査が集まってきたら次のようなことを確認しましょう。

① 志望校が実力に見合っているか

② 本人のやりたいことと志望校が一致しているか

③ 第一志望が難しい場合、第二志望の設定はよいか

経験の浅いうちは、③の代替案までなかなか見つからないかもしれません。早めに進路指導主事に相談した上で委員会に臨みましょう。委員会では一人一人の進路について協議をしていくため、準備ができていないと円滑に協議できません。周りの先生や管理職からどんな質問が飛んできても大丈夫なように対策をしておくことが大切です。

また、生徒のレベルが志望校に達していない場合は、この委員会の結果を受けて当人に伝えることになります。例えば「ある学校を志望している生徒がいるが、本人の学力が基準に達しておらず受かる状況ではない」とします。このような場合に、担任が「受かるはずがない」と決めつけたり、気休めで「絶対に大丈夫」と伝えたりしてはなりません。委員会では、生徒本人や保護者の希望を尊重しつつ、客観的に生徒の学力と志望校の合格基準を照らし合わせます。会議の結果を受けて、「学校の総意」として当事者に合格の可能性の有無を伝えることになります。

3学期は入試本番 生徒の気持ちの管理と備えを考えておく

3時期は、入学試験があるだけでなく、インフルエンザの欠席なども多くなる時期ですので、教室に全員揃うことが珍しいような状況にもなります。そのため、指導カリキュラムを2学期のうちにほぼ終えられるよう、1学期から意識して指導しましょう。最近は高校入試の日程が早まっている傾向もあり、2学期の終業式直前に「学年末テスト」を実施するような中学校も増えてきました。学習カリキュラムの積み残しができないので、計画的な指導が3年生全体を通して求められます。

3学期は、始まってすぐに「学期末テスト」「私立推薦入試」「私立入試」「公立推薦」「公立一般」と怒涛のように過ぎていきます。さらにこの間に「出願」「入学手続き」と挟まってくるので時間に追われる日々を過ごすことになります。1つでも漏れてしまうと入試を受けることが出来なかったり、入学することができなくなったりすることもあるので、学年で情報を共有して複数の先生の眼で確認しましょう。

もう1つ、担任の先生として意識したいのが「生徒の気持ちのケア」です。多くの地域で志望者が一番多い公立一般入試を受ける人は、3月の中頃まで進学先が決まりません。私立の推薦を受ける生徒は、1月の下旬には進学先が決まるような状態になるので、教室の中で「進路の決まった人・決まっていない人が混在する」事態になります。浮ついたような空気となれば、これから受験する人に迷惑になりますし、かといって進路が決まった人から見ると受験のピリピリしたムードの教室には居づらい状況になります。入試日程が次から次へ迫ってくるので担任も余裕がなくなりがちですが、この時期こそ教室の子どもたちに目を向けて、気持ちの整理や準備などをしてあげましょう。

逆算の見通しを持ってスケジュール管理しよう!

ここまで少し特殊な中学校3年生の担任の動きについて解説しました。重要なことは「常に逆算の見通し」をもつということです。義務教育最終年である中学校3年生は、積み残しができません。さらに「入試」というゴールが迫っているので、積み上げでいろいろなことを考えるのは危険です。常に逆算し、目的を達成するためには生徒に何が必要なのかを先に提供するという視点が大切です。

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