増える不登校対策 「COCOLOプラン」について知っておこう!

現在、小中学校から高等学校に通う学生で不登校の児童生徒は30万人を超えていると言われています。この数は年々増え続けており、今後も不登校の児童生徒数は増加していくと見込まれています。

学校現場でもさまざまな対策がとられており、文部科学省からも、不登校対策として「COCOLOプラン」が発表されました。あなたは「COCOLOプラン」についてしっかり理解できていますか。

今後、このプランに沿って不登校対策をしなければ、保護者から不信感を持たれたり、質問に答えられずに困ってしまう可能性もあります。プランの概要を詳しく解説していくのでしっかりと理解しておきましょう。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴3年

「COCOLOプラン」が示す3つの取り組み

今回、文部科学省から示された「COCOLOプラン」は3つの大きな取り組みからできています。まずは、この柱の内容から理解しましょう。

①子どもが学ぶことができる場所の選択肢を増やそう

1つ目が、不登校の児童生徒に対して学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を用意することです。これは一人一人のニーズに応じた学びを確保するよう示しており、自治体に対しては「不登校特例校の設置」「校内教育支援センター(スペシャルサポートルームなど)」などの確保が求められています。

不登校になった児童生徒が「学校に通わなければ学ぶことができない」という環境を改善するための政策で、子どもが学ぶことができる場所の選択肢を増やす意味合いがあります。さらに、学校に行くだけでなく、オンライン授業やオンデマンド配信によって学ぶことができる環境を整えていくことが求められています。

②チーム学校で支援をしよう

2つ目がチーム学校での支援です。これまでも、教室の様子の観察や欠席記録、心理テスト(Q-Uテストなど)の結果から校内での支援体制を整えてきました。さらに今は、一人一台端末を活用した健康観察やカウンセリングが可能になりました。このように新しいものを活用して子どもの心の小さな変化を見逃さないようにする取り組みが求められます。

また、不登校支援にあたるのは学校だけではありません。不登校になった児童生徒、その保護者に対してスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家を招いた会議を開催したり、校内のサポートルームとの連携をはかります。たくさんの支援機関や支援制度があるので保護者と相談しながらどのような支援体制をとっていくのか決めるためにも情報を提供することが学校に求められます。

③みんなが安心して学べる場所にしよう

3つ目は教職員や学校のレベルアップにより、授業の改善を含めて「みんなが安心して学べる場」にすることです。一方通行ではない、子どもたちが自分たちで学びをする(主体的な学び)を意識させたり、友達と一緒に学ぶ(協動的な学び)ことができたりする授業を取り入れます。快適で温かみのある学習環境を整えるいろいろな意見を認め合うことができるような学びの場を作ることも求められます。

学校の魅力や地域の力は不登校の数を減らすことに効果的であるというデータもあります。子どもたちが通いたくなる学校づくりをしていくことが求められます。

文科省の示すプランは学校がやってくれると思う保護者

文部科学省が「COCOLOプラン」を打ち出していますが、実際に現場で働いている教職員は、このようなプランが出ていることも知らない方も多いのではないでしょうか。実は「知らない」では済まないのが文部科学省の発表なのです。不登校の保護者は、藁にもすがる思いでいろいろなことを調べ、本プランについて知る保護者も多いでしょう。するとこのプランを読んだ保護者は、プランに書かれていることを当たり前に学校はやってくれていると思ってしまいます。「生徒指導提要」でも同じことですが、教員側がどんなものか知らないと保護者に不信感を持たれてしまいます。だからこそ、COCOLOプランも生徒指導提要もわかった上で「各学校ができること」の返答を準備しておくことが重要です。

プランの内容を理解し、学校としてできることを提案できる準備を

COCOLOプランを活用するためには、プランの中身をわかった上で、自分の学校で何ができるのかを準備しておきましょう。

例えば、サポートルームがある、またはサポートルームを持つ学校が近くにある場合は、不登校になってしまった子どもを紹介することができます。サポートルームでは何をすることができるのか、どんなところなのかということを事前に見学しておけば、子どもや保護者への説明がスムーズです。

校内の支援体制についても、不登校対策主任を中心としたチームとしての対応をすることができるように準備し、子どもの気持ちを知る方法を確立しておきましょう。不登校が発生してから校内支援体制を整えていては必ず後手に回り、対応が遅くなってしまいます。不登校は対応が遅れれば遅れるほど復帰が難しくなります。不登校になりそうな時点で、どんな方法が有効なのか、個に応じた手立てをすぐに打つことができるように準備しておくことが大切です。

保護者の気持ちに寄り添って対応しよう

不登校になると、本人がつらいのはもちろんですが、その子どもを持つ家族もつらいものです。

不安から学校に相談する保護者の気持ちに寄り添いながら、子どもをどうするとよいのか、教室復帰だけにとらわれるのではなく、幅広い視点で考え、子どもや保護者にアドバイスしていきましょう。

参考文献:誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン),文部科学省,https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf,(参照 2025-4-8)

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