教員志望者必見!「学生チューター制度」を利用して教育現場を体感しよう!

学校現場を思い浮かべると、自分が小中学生だった頃の記憶で止まっている人がほとんどだと思います。特に最近では、教育を取り巻く環境が目まぐるしく変化しているため、最新の状況がわからずに不安を感じている人が多い印象です。

教員を目指している学生には教育実習で学校を訪れる機会があるものの、長期的に関わるわけではないので現場の実態を熟知するには至らないでしょう。そこで紹介するのが、学生が学校現場を体験できる制度として注目が集まっている「学生チューター制度」です

本記事では、

「教員として子どもの前に立つ前に、教育現場の実態を知っておきたい!」

「学生の今、教育現場で子どもたちと関わる活動がしたい!」

と考えている人に向けて、学生チューター制度の基本情報や、制度を利用することで得られるメリットなどを紹介します。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

「学生チューター制度」とは?

「学生チューター」とは、子どもたちが学校生活を快適に送れるように、あらゆる形で支援をするという役割を担う学生のことです。「学校ボランティア」や「学校支援協力員」など、様々な名称で呼ばれています。

この「学生チューター」を各自治体の教育委員会が主体とな地域の小中学校に派遣する取り組みが「学生チューター制度」です。学生自身や大学、自治体、現場の教員のそれぞれがメリットを享受できるとあって、関心が高まってきています。

教員志望の学生を対象に募集があることが多いので、気になる人は大学の教職課程の担当者や、自治体のHPで確認してみると良いでしょう。

学生チューター制度を利用するメリット

では、「学生チューター制度」を利用する場合、学生にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

教育現場で経験を積むことができる

学生チューター制度の1番の魅力は、いわずもがな学校をはじめとした教育現場で経験を積めることです。

通常1ヶ月にも満たない教育実習を経験しただけで、教員として自信を持って子どもたちの前に立てる人はほとんどいないと思います。

だからこそ、長期的にチューターとして関わる中で、現場の実態を知ったり、子どもたちとの接し方を学んだりすることは貴重な経験となるはずです。

将来は教員になりたいと考えている人、教職に関心はあるが具体的なイメージを持てていない人は、利用してみてはいかがでしょうか。

「単位」として認定される可能性がある

学生チューター制度は、原則として給与は発生しません。地域によっては薄謝として交通費が支給されたり、給食が提供されたりするケースがありますが、基本的には無給です。

しかし、これでは学生にとって、長い拘束時間と引き換えに享受できるメリットが「経験」だけになってしまうため、なかなか参加者が集まりません。

そこで、学生チューター制度を利用する学生を対象に、チューターの活動を大学の単位の一部として認定する取り組みあります

大学がこの制度において自治体と提携関係にあることが条件となりますが、チューターとして一定以上の勤務をこなすことで大学の単位をもらえる可能性があるのはありがたいですね。

学生チューター制度における大学と自治体の提携とは?

近年、教職を志望する大学生を増やすことや教員志望者の資質向上を目的とし、学生チューター制度について、自治体と提携協定を結ぶ大学が増えてきています。

では、大学と自治体が提携するメリットやデメリットには、何があるのでしょうか。

まず大学側には、授業を開設しなくても、学校現場に行って学ぶ機会を学生に提供できるというメリットがあります。

そして自治体にとっては、なり手の少ない学生ボランティアを集めやすいこと、現場での体験を通して、学生に教職の魅力や難しさを肌で感じてもらえることがメリットになるでしょう。

一方で、大学側と自治体側のいずれにおいても、調整の手間が増えてしまうことは大きな課題となります。

学部生の多い教育大学では、受け入れ先の確保が難しくなるでしょうし、自治体と学校現場との間で、学生チューターの需要と供給のバランスが合わない可能性もあるかもしれません。

こういった調整における難しさを解決するために、大学側と自治体側との間の橋渡しを行うコーディネーターが用意されている地域もあるようです。

学生チューターとしての活動例

教育現場でのボランティア活動は多岐に及びます。

「学生チューター」というと各教室に入っていって子どもの様子を観察したり、授業についていけない子をサポートしたりというイメージがありますが、実際には教室内での支援に限られているわけではありません。

学生チューターとして関わることができるボランティアには、以下のような例があります。

①部活動支援ボランティア

学校で行われている部活動に外部支援員として関わります。平日の夕方や休日の部活動が実施される時間に学校に行き、子どもに指導をしたり、安全管理をしたりするのが主な活動内容です。

このボランティアでは、自分の得意を活かした指導をすればよいですし、自分自身も身体を動かすなど、活動を通してリフレッシュすることができます

拘束時間が平日の夕方や休日に限られるので、学業に与える影響を最小限にできることも魅力と言えるでしょう。

近年は、教員の働き方改革から部活の指導を外部指導者に移行する流れが生まれています。自治体でも外部の部活指導者を募集しているところが多くなっているので、比較的簡単に見つけることができるのも学生にとっては嬉しいポイントです。

②特定の教科支援ボランティア

小学校でも近年は教科担任制を取り入れる学校が増加傾向にあります。

教科ごとに指導者が変わる授業が1学年に複数あるのが当たり前になってきている中で、教科によっては怪我やその他のトラブルに備えて、複数人の目で子どもたちを見守ることが大切なケースも増えてきました。

そこで、教科の専門性を活かして授業の補助ができる学生のニーズが高まりつつあるのです。

例えば、体育科であれば体育の授業の補助員として子どもをサポートし、理科であれば実験の補助や子どもたちの安全を見守る立場として授業を円滑に進める支援をします。

対象の時間授業数が少ないので、ボランティアとして参加しやすいというのもメリットの1つです。

教科専門のボランティアは自分自身の学びにもなります。専門分野だからこそ気づける、授業に潜む危険や子どものつまずきもあるでしょう。

自分が学校現場に出たときにどうすれば良いのか、どんな教材準備やサポートをすると子どもの学力を伸ばすことができるのかという点でもびは多いはずです。

③学校支援ボランティア

学校そのものを支援するボランティアもあります。

校内の清掃や書類の印刷などをサポートする校務支援をはじめとし、子どもが育てている栽培活動の管理や花壇の整備、登下校の見守りなどが代表例です。

このボランティアには、地域の方々や保護者などが参加しているケースもあります。ほとんどの場合は勤務時間短いので、学生の皆さんでも空いている時間を使って参加しやすいのではないでしょうか。

コロナ禍以降、学校を支援するボランティアの募集は増えているので、比較的簡単に見つけることができそうです。

④児童館や児童クラブでのボランティア 

学生チューターは、学校でのボランティアだけが対象となっているわけではありません。児童館や放課後児童クラブなどでも募集を行っています。業務内容は学校と同様に子どもの支援が中心です。

宿題の補助など、学習支援をする場合もあります。

児童館や児童クラブの場合、基本的に勤務開始が平日の15時以降(学校終了後)と決まっていますし、休日に子どもを預かることはありません。

勤務時間に変動が起きづらいので、忙しい大学生活とうまく両立しながらボランティア活動をしたい人におすすめです。

原則無償のボランティアという形以外にも、アルバイトのような雇用形態をとり、給与をもらいながら働けるところもあるので、応募するときに確認しましょう。

身分は学生でも義務や服務は教員と同じ

小中学校の学生チューターといっても、義務や服務に関しては一般の公務員と同じ扱いになります。

教育現場に足を踏み入れたそのときから、個人情報を含めた機密情報に触れる機会が多くなるということを忘れず、守秘義務や個人情報の取り扱いについては徹底するようにしましょう

また、働き方についても社会人としてのマナーやモラルが求められます。例えば、スケジュール管理は基本中の基本です。現場の教員も、学生チューターが「学業最優先」であることは理解していますが、急な予定の変更や欠席があると迷惑を被ってしまいます。

ボランティアと言えど、自分のスケジュール管理はもちろん、上司(管理職や教務主任など)と密なコミュニケーションをとりながら業務を進めてくことが大切です

できないことがあったら「できない」とはっきり伝えて、お互いが後で困らないようにしましょう。

学校現場では、学生チューターの存在をとても頼りにしています。筆者も、教員時代に体育の補助員として活躍してくれた学生チューターに、いろいろと助けてもらいました。

現場の教員の期待に応えられるよう、社会人としての振る舞いを忘れないでください。

学生チューター制度は教育現場の実情を知る大変良い機会になる

学生チューターやそれに関するボランティアは原則無給であるため、学生にとってはやりがいを感じづらいというのが正直なところかもしれません。

しかし、大学の単位として認めてもらえる、将来的に自分のアピール材料になるといったポジティブな側面があれば話は別ではないでしょうか。

特に、学校現場がどのようなものが分かっていない人、教職という仕事に漠然としたイメージしか持てていない人は、ぜひ「学生チューター制度」を利用して、学校現場をのぞいてみてください。

大学生にとって、進路選択は最も大きな仕事です。実態を知らないままいつか後悔することのないよう、今回紹介した制度などで教職への理解を深めた上で、教員を目指すのか、別の進路を選ぶのかを判断するのが賢明でしょう。

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