子どもから出されているサインを見つけよう
夏休み明けは、子どもが変わりやすい時期です。特に中学校2年生は、その傾向が顕著と言われています。他にも夏休みをきっかけに不登校になる、行き渋りを見せる傾向がみえることもあります。そんな予兆を早めに見つけ対処していきましょう。
提出物の状況を確認しよう
1つ目のチェックポイントは夏休みの提出物です。夏休みには宿題の他に生活の記録や日記などを提出させることが多いのではないでしょうか。この提出物の状況は子どもの夏休みの様子をつかむ大切な資料になります。提出していないからと言って「怒る」だけでは意味がありません。まずは、なぜ出ていないのかその理由を考えましょう。もちろん、普段から怠学傾向があり、いつも提出できない児童生徒が提出していないのであれば指導の対象です。
しかし、普段の宿題はきちんと提出しているのに夏休みの宿題が提出できていない、または提出しているのに中のやり方が正しくできていない場合には注意が必要です。このような場合、いきなり指導をするのではなく、何があったのか事情を確認する必要があります。
そして、事情を確認していく中で児童生徒の変化を感じる必要があります。絶対にやってはいけないのが「怠学」と先入観をもって指導してしまうことです。「いつもと違うからおかしい」という感覚は教師として常にもって置かなければいけない感覚です。提出物の状況を確認しながら、普段と違うことがないのか休み明けに確認しましょう。
子どもたちの服装や持ち物を確認しよう
2つ目のチェックポイントは、児童生徒の服装や持ち物の確認です。中学生は制服なので比較的わかりやすく、男子であればシャツの着方、女子であればスカートの長さなどがポイントになります。
また、頭髪に関しても注意をしてみておくのが良いでしょう。夏休みの期間中に遊びたくなって、染髪するのはよくあることですが、そのままの気持ちで学校に来るのは意味が違います。問題があるのであれば、この点を指導する必要があります。小学生であれば服装が汚れている、靴に踏み癖が付いているなど、今までと雰囲気が変わっている状況があれば注意が必要です。育児放棄などの問題も疑わなければならないケースにもなります。
また、持ち物にも注意が必要です。持ち物というと宿題のイメージがあるかもしれませんが、2学期が始まると宿題以外にも各学級で提出物があるのではないでしょうか。中には保護者によるコメントが必要なものや保護者に準備してもらうものもあります。このような準備がきちんとできているのかもチェックポイントになります。
人間関係の変化を確認しよう
3つ目のチェックポイントは、最も重要な人間関係の変化です。長い夏休みを終えると人間関係がガラッと変わっていることが多いです。「夏休み前までは仲良くしていてグループが分裂している」「今まで仲良かった友達と違う子とくっついている」こうした人間関係の変化には注意をしましょう。友達と離れたことによって不安そうな顔をしているのであれば早急な対応が必要になります。不安そうな顔をしている子がいればすぐに声をかけてあげましょう。また、人間関係が変化している様子が確認出来たら、何気ない日常の会話の中でとさりげなくきいてみて情報収集することも大切です。
中学生になると人間関係の変化は目まぐるしく変わっていきます。特にスマートフォンが普及しSNSで情報交換をされるようになった近年では、人間関係の変化も激しくなっています。不安を訴えている子がいる場合には、ここまでのいきさつを時系列に並べて順に確認していくことが大切になります。決して目の前の事象だけで判断しないようにしましょう。2学期の初めに人間関係の変化が起きたときには、保護者からも連絡が入る可能性があります。保護者から連絡が入るのは「緊急対応」に該当するケースが多いので注意しましょう。
夏休みの過ごし方を提出物から確認しよう
4つ目のポイントは提出物の内容です。1つ目にあげた提出有無ではなく中身に注目しましょう。
注目したいのは次の2つの提出物です。1つ目の提出物は「生活の記録」です。最近では新型コロナウイルスの流行もあり、毎日体温を含めた健康観察の記録をつけさせている学校も多いのではないでしょうか。また、簡単な日記や起床時間、体調の記録を付けさせているケースもあると思います。児童生徒が規則正しい生活を送ることができたのか、そうではないのかを生活の記録から見つけましょう。特に中学生ぐらいになると生活が不規則になり、記録も適当につけている生徒が増えてきます。それでもその中から気になる情報を見つけるのが教師の腕の見せ所になります。
2つ目の提出物は児童生徒の感想です。夏休みを終えてどのような感想をもっているのか、そこに書かれていることはとても大切になります。「夏休みは楽しいもの」というイメージをもっている先生が多いかもしれませんが、児童生徒にとってみると「楽しい」とは限りません。実は苦痛でしかないと感じている子どもも多いのです。特に生活環境が乱れているような育児放棄気味の世帯、旅行に行きたくても行くことができないような低所得者の世帯などの子は、夏休みを楽しいものと感じていないケースが多いのです。教師としてはこうした子どもにも配慮をした2学期のスタートをしなければいけません。何も気にしないで2学期の初めの授業のときに「みんな楽しい夏休みだったね」などと言ってしまうと傷ついてしまう子どもがいることを意識すべきです。
保護者の様子もできれば確認しよう
最後に確認したいのが保護者の様子です。特に「心配な家庭」というのは担任をしていればうすうす気づいているのではないでしょうか。例えば、「1学期の末の段階で不登校の心配があった」「休みの後に行き渋りの傾向がある」こうした児童生徒がいる場合には、保護者に様子を確認するのもよい情報収集になります。できれば家庭訪問と言いたいところですが、時間的に難しい場合には電話1本でもよいです。また、可能であれば2学期が始まる直前に児童生徒の様子を確認すると保護者も安心します。
不穏な動きがあれば早期発見対応を
ここまで夏休み明けにチェックすべきことを紹介しました。夏休みは楽しい時間でもありますが、この休みは心も身体も大きく変化させます。特に心の変化は年齢が上がれば上がるほど大きくなります。担任しているクラスの子全員を把握するのが難しいのであれば、悩んでる様子のある子のみでよいので注意して観察しましょう。そして不穏な気配があれば、早期に対応できるように情報を収集しておきましょう。