教員に求められるマネジメントとは?

教育現場にはまだまだ課題が多く、「クラス運営がうまくいかない」「教員に向いていないのではないか」と悩んでいる若手の教員も多いのではないでしょうか。今回は特に新任教員が陥りがちな「視点」や教員に養ってほしい「マネジメント」という考え方を紹介します。

子ども全体を見て育てていく視点

皆さんは教室でどのように子どもたちを見ていますか。「一人一人を丁寧に見取っている」「全体を意識している」「あまり意識したことはない」などいろいろな意見があると思います。実は、経験が浅い先生でクラスが落ち着いていない理由に「教員の視点が一人一人に向き合いすぎている」というケースが多いと言われています。

とても良いことのように思える一人一人を見るという行為はなぜいけないのでしょうか。それは、教室が騒がしい要因は「手のかかる児童生徒」ではなく、「それ以外の児童生徒」だからです。例えば、授業中に教員が勉強の苦手な子どものサポートしているとき、手持ち無沙汰になってまった他の子どもたちが私語をし始めてしまうというケースがよくあります。一見すると子どもに対し、丁寧に見ているように感じますが、一方で「全体を見る視点」が失われてしまっています。さらに、一人の子どもにつきっきりになってしまうことで、不公平さを感じてしまう子どももいます。これでは、落ち着いて勉強できる環境とはいえません。このケースでは、手が空いてしまっている子どもにあらかじめ課題を出しておくことや、次の問題を読んでおいてもらうなど指示をすることができます。教員は全体の流れを決めてから個別の支援に入りましょう。

全体を見る力を養う

そもそも物事を全体的に見ることができる俯瞰力はどのようにしたら養われるのでしょうか。あなたは、何か課題にぶつかった時には、すぐに答えを探してはいませんか。なぜ起きているのか、どういった対応が相応しいかなど、まずは自分で考えることが大切です。普段から「なぜ」と考える癖をつけることにより俯瞰する力を鍛えることができます。

また、俯瞰力を身につけるために最も大切なのは経験です。教員になってからの経験値だけではなく、学生時代の経験も大きく関係しています。特に学生時代に部活やサークルなどでまとめ役を担っていた、多くの人を動かすような経験をしたことがある、マネージャーをしていたという経験は「全体を見る視点」を養うことができます。

教員には必ず経験のある教育実習も俯瞰力を身につける良い機会です。友達同士で話す機会や協力し合う機会のある休み時間や掃除の時間は子どもたちの様子を観察するようにしましょう。人間関係や子どもたちの顔色や癖を見つけることができるようになれば、いじめなどのトラブルの発見にもつながります。

1つの授業の中でもプレイヤーとマネージャーを使い分けよう!

授業においても、子どもたちに教えるというプレイヤーと子どもの自主的な学びを支えるというマネージャーの視点を使い分けなければいけません。授業では、知識を教えるだけでなく、その知識を用いて自主的な学びを深めていく時間も必要です。もちろん、なかなか自主的な学びに進むことができない子どももいるので、その際には個別の支援を入れます。ここで経験の浅い人は「プレイヤーの視点のみ」になってしまい、周りを気遣うことができなくなります。プレイヤーになる前に「全体のマネジメント」をしておく必要があります。

このケースでは「終わった子どもたちは何をすればよいのか」を想定して、準備しておくことです。このように1つの授業の中で、プレイヤーとマネージャーを使い分け、時には同時に2つを担う力が大切になります。

できるだけ先読みをするように努力しよう

授業を組み立てていくときにプレーヤーとマネージャーを使い分けるこつは「先読み」です。しかし、先ほど述べた経験値で気づくことも多く、新任教員や初めて受け持つ学年を担当する教員にとっては、はじめは難しいと感じるかもしれません。計算にしても何かを作るにしても子どもの能力差が大きく出ます。「いつも計算が速い子」「早く本を読んでしまう子」こんな子どもたちは、担任であれば何となく把握しているのではないでしょうか。こうした子が、どれくらいで教員の与えた課題をクリアするかという時間を普段から意識しているだけでも変わります。

先読みをするのは経験だけではありません。日頃どれだけ子どもと向き合っているのか「児童把握力」が大きく問われます。経験でわかることであれば、学年主任や先輩の先生に聞けば教えてもらうことができます。しかし、児童生徒把握は担任の先生しかすることができません。中学校で言えば、実際に授業を担当している教科担任しか分からない部分でもあります。「先読み」をするのであれば、普段から子どもをよく観察し、授業に対してどのような反応をするのか確認しておきましょう。

事後処理は他の人に任せるのもあり

トラブルが起きるのは授業中だけではないはずです。どちらかというと授業以外の時のことが多いのではないでしょうか。

・給食中におかずをこぼしてしまう

・書写の授業中に習字道具がひっくり返る

・体育の授業中にけがが起きる

こんなことが日常的に起きます。その際には、プレイヤーとマネージャーの視点を使い分けましょう。先に行うことは「マネージャー」としての作業です。命に関わるような緊急的なものでなければ、まず周囲の子どもたちをどうするのか指示を出します。これをやらないと別のところで違う問題が発生します。次々に問題が起きると立ち行かない状況になります。また、周囲に助けを求めるのも良い方法です。職員室にいる先生や特別支援協力員などに手助けをしてもらうのですが、このときも問題の処理に関しては手助けの先生にできるだけ依頼をするのがベストです。一人にかかりきりになり「その他の大勢」がどうしてよいのか分からない状態になるのは避けるべきです。

もし、余裕があれば「トラブルが起きやすい事態」を先読みして、事前にヘルプを依頼しておくのがベストです。体育で怪我をしそうな運動を行う、習字の授業を行うなど、何がことが起きそうな授業のときには事前に協力員の先生に話しておき、見回りを依頼しておく、上役の先生に不安があるということを伝え、周囲の協力体制を構築してから授業に入りましょう。これも先読みの1つになります。特に自身の経験が少ないことを行う際には、やる前の段階での根回しは大切です。

教師は常に「一手」「二手」先へ

ここまで新任教員が養ってほしいマネジメントの力について紹介してきました。マネジメントをするには「常に子どもの一手」、できれば「二手先」を読んで置くことです。先読みは経験だけでなく、子どもの力を把握する能力とも密接に関わってきます。普段授業をする際には「教材研究をして子どもの反応を予想する」ことが大切です。校外学習や修学旅行で事前に下見をするのも教員が常に「一手」「二手」先を打つことができるようにするためです。学級運営がどうしても上手くいかない、子どもがざわついてしまうという教員は、一度自分の普段の視点を見直してみましょう。全体を広く見て、子どもたちをマネジメントしていく意識を少し持つと、いろいろな物事の進み方が変わります。

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