「個別最適な学び」と「協働的な学び」 現代の教育キーワードを解説!

今回は「個別最適な学び」「協働的な学び」という、2020年代の学校教育が目指す“新しい学びの姿”を解説していきます。

狙いは「社会変化への対応」

令和3年1月、中央教育審議会から「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現〜(答申)」が出されました。

参照:”https://www.mext.go.jp/content/20210126-mxt_syoto02-000012321_2-4.pdf”.「令和の日本型学校教育」の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現〜(答申)(令和3年1月26日).中央教育審議会

この「令和の日本型学校教育」とは、社会全体のテクノロジー化(Society5.0時代の突入)や、デジタル化・オンライン化、新型コロナウイルスの蔓延など、急激な時代変化に対応するための能力・資質の向上を目指した教育です。そして、子どもたちの可能性を最大限に引き出す学習方法として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」という二つの学びが挙げられました。

「個別最適な学び」とは

まずは「個別最適な学び」から解説します。この学びは、多様な子どもたちが誰一人取り残されることなく、一定の目標を達成できるような教育を指しています。

また、この学びは「指導の個別化」「学習の個性化」の二本柱から成ります。前者は、生徒一人一人の発達段階や習熟度等に応じ、柔軟で効果的な指導が実現されること。後者は、生徒自身が自分に合った方法を選んで学習を進めることを意味しています。

「協働的な学び」とは

「協働的な学び」は、従来の日本型学校教育の中で定着してきた集団内での学び合いを指します。学級活動やグループ学習だけでなく、講演や社会体験活動なども含まれます。

多様な価値観に触れながら他者を互いに尊重し合い、社会の一員としての能力・資質を育むことを目的としています。

二つの学びの関連性

この二つの学びの目的は、互いの要素を組み合わせた一体的な授業を実施することにより、「主体的・対話的で深い学び」を実現させることです。

先ほども説明した通り、「個別最適な学び」は生徒一人一人が自分に合った方法で自身の能力を伸ばす学びです。個別最適な学びによって得られた知識や経験を、今度は「協働的な学び」の場で他者と共有し合うことで新たな価値観を得ることができ、その後の「個別最適な学び」をさらに充実させることが期待されています。

二つの学びを支える「GIGAスクール構想」

二つの学びを大いに支えているのが、2019年から取り組まれてきた「GIGAスクール構想」です。学校現場のICT化がどのような影響を与えているのか、「個別最適な学び」「協働的な学び」それぞれの観点から解説していきます。

個別最適な学び

GIGAスクール構想によって、一人一台パソコン端末が導入されました。

例えば、この端末上で取り組む「オンライン学習ドリル」には、AI機能が搭載されているものがあり、解答者の間違いの傾向を分析したり、苦手の克服に向けた問題を出題したりしてくれます。

端末ではインターネットも利用できるため、世界中のさまざまな情報の中から自分に合った情報を厳選することができます。

協働的な学び

協働的な学びの場面でも、端末の導入によって新しい方法が生まれています。

端末には共同編集機能もあり、これを利用して、画面上で情報や意見を交換し合うことが可能になりました。また、調べ学習の成果を発表する際に、他の人の端末に資料を提示しながら話すこともできるようになりました。

教員の工夫も必要

既に多くの学校現場で端末を活用した授業が実施されています。「個別最適な学び」「協働的な学び」を実現させるには、教員側が「端末上でどんな教材を使えばいいのか」「どんなタイミングで端末を活用すればいいのか」などの工夫をしなくてはなりません。

また、インターネットからの情報を使用する場合に、「どの情報が正しいのか」「どのように引用すればいいのか」などのネットリテラシーも合わせて指導する必要があります。

現代の教育キーワード きちんと理解を

「個別最適な学び」と「協働的な学び」は今の教育を象徴するキーワードで、教員採用試験で問われてもおかしくないテーマです。この二つの学びのそれぞれの特徴をよく理解し、具体的にどのような場面で実施される学びであるのか具体的なイメージを固めておきましょう。

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