教職志望者に向き不向きはない 笑顔で仕事をするためにできることとは?

教員を目指している人の中には

「自分は本当に教員に向いているのか」「教員として仕事をすることができるのか」

と不安になっている人もいるのではないでしょうか。

筆者も教員を目指して教育課程に入学したものの、教育実習で教壇に立ち、現場で働いている人の様子を見て「こんな仕事できるのだろうか」と不安になりました。なぜ、このような不安な気持ちになるのでしょうか。教職未経験者から多く聞かれるのが「仕事の本質」が見えていない不安感があるからです。不安な気持ちになると、物事の悪い部分ばかりが見えてきてしまい、より不安感が助長されます。

先に言っておきますが、教員という仕事を目指して学んでいる人の多くが教員に向いています。教員に向いていないと自己分析している人は、最初から教員免許を取得する課程は選択しないことが多いです。教員免許の取得は単位数が多く、学生にとって大きな負担になります。その負担を負ってまで教員養成にいる人は、本質的には教員に向いている人だと思ってください。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

教員の心はそのまま子どもたちに伝染する

教壇に立つときには不安な気持ちを持ったまま立ってはいけません。教員の気持ちはそのまま子どもに伝染します。不安な気持ちを持ったまま授業をすれば、子どもたちも不安になり、クラスがざわつきますし、怒った状態で授業をすれば、子どもたちもいらいらし始めます。

では、どうすればよいのでしょうか。方法は簡単で、教えているときに不安になったら「いったん立ち止まれば」よいのです。

「ちょっと先生も確認するね」

「調べてみるので明日まで時間ください」

下手に「しったかぶり」や「間違ったこと」を教えてしまう方が後になって面倒です。もし、教員に不慣れな性格があるとすれば、間違ったことでも強引に進めてしまうような「傲慢さ」のある人でしょう。

教員の仕事のメインは子どもに勉強を教えること

教員の仕事をしたいという目標に自信を失ってしまった人は、原点に立ち返りましょう。そもそも教員の仕事は何かということです。教育基本法の第一条には次のように書かれています。

「第1条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」

教員の仕事は、子どもに「教育内容を確実に習得させる」ことが第一です。つまり、勉強を教えることが本分です。でも、今、教職に不安感を抱えている人の多くが、勉強を教えることとは違うところで不安感を持っているのではないでしょうか。

学級経営にしても、保護者対応にしてもまずは「授業が大切」です。子どもに勉強をしっかりと教えることができる教員のクラスでは問題は起こりにくいものなのです。逆に、授業が成立しないクラスではいじめや不登校、それに伴う保護者対応が頻発します。不安感を持っている人は、まず、教員の一番の仕事である「勉強を教える」ことをしっかりできるようにしましょう。

先手を打って「ゆとり」を生み出す

教員として現場で活躍していながら、不安感を持っている先生の特徴として「物事に対して先手を打つことができていない」という傾向があります。授業中に想定していない答えが出てしまい返事に困ってしまう教員、保護者から予期しない質問が来てあたふたしてしまう教員など、不安をもっている先生ほど「ゆとり」がありません。

では、不安感を持たないようにするためにはどうすればよいか。ポイントは日頃から「先手を打って行動する」ことを意識してみましょう。これは、教員を目指す学生であっても日常からできるのではないでしょうか。物事の先を見据えて準備をしておく、この習慣をつけておくだけでも不安感はずいぶんと小さくなります。

子どもを信頼し「任せる」 責任は「教員が取る」

不安感を持つ人の中には「子どもを信用しきることができない」という教員もいます。

「子どもに任せると失敗するのは?」

「時間がかかるのでは」

と思ってしまい、なかなか子どもに任せきることができない。だから、自分(教員)がやってしまったほうが早いと思ってしまう。自分の思ったような子どもが動かないので、不安になったり、怒ったりしてしまうというケースもあると思います。これでは、教員もなかなか笑顔で仕事をすることはできません。

そこで発想を変えて、子どもに任せるということを意識しましょう。もちろん、物事ができるかどうか判断するのは教員ですが、子どもに任せると最初は時間がかかりますが、徐々に早くできるようになってきます。ここで教員側が準備しておきたいのは「失敗したときのフォロー」です。先ほど述べた先手と共通する部分がありますが、子どもは失敗をする可能性があります。このときに怒られていては、委縮して先に進むことができませんし、物事によっては怪我につながる可能性もあります。「失敗しても大丈夫」という安心感を子どもに持たせてあげるのが教員の仕事です。

教員よりも優れた子どもはたくさんいるという意識

教員を目指している人の中には「完璧でなければいけない」「児童生徒よりもできなければいけない」と思っている人はいませんか。実際には、一部の能力において教員よりも秀でた能力を持っている子どもはたくさんいます。だから「子どもより優れていなければいけない」という意識は捨てましょう。

では、絶対に教員が子どもよりも勝っているものは何か。それは「人生の経験値」です。これは小学校から大学まで経験した学生や現職教員に子どもが勝つことができないものです。そこで経験を活かして、ぜひ子どもたちに話をしてあげてください。子どもは「未知」のものに対してはすごく興味を示します。新しい知識、考え方などを子どもに伝えることができる一人が教員であるという意識を持てるとよいです。

不安な気持ちを取り除くには先手を打っておく!

今、教職という仕事に対して不安を持っている人は、まず、教育実習などにおいて現場を経験してみましょう。そして、経験してから改めて教職という仕事の良さや悪さなどを考えるのがよいです。実際に教育実習を終えて、教職の道を諦め違う仕事を目指すという人もいます。逆に、一般の企業に就職したものの、教員という仕事に魅力を感じて教員免許を取得し、教員採用試験を受ける人もいます。

教員を目指すにしても、一般の企業に就職するにしても「仕事ができる人」に共通しているのが「常に先を読んで行動している点」です。先を読んでいるから余裕が生まれ、考え方にあそび(柔軟性)が生じます。日頃から意識をしているだけで、教員になったときに見える景色が変わりますよ。

教員の仕事も一般の仕事も大きな違いはない 大切なのは「良いところ探し」

教員志望の学生で不安感を持っている人と話をしていると、まじめで良く勉強している子ほど不安感を持ってるような気がします。自分なりにいろいろな情報を集め、真剣に教職を生涯の仕事とすることができるのか考えていることが分かります。

一方で、情報を入れすぎて悪い部分ばかりが目に留まり、本来の教員の仕事である「教える」ということから離れて話をしている人が多いのも事実です。まずは、教員がしなければいけない「教える」という技術を磨き、その中に自分の強みをどれだけ加えることができるのかが大切です。これは、教員に限らず、一般の社会人として働くときにも大切な感覚です。普段から自分の良いところ、人の良いところを見つけていくというのも不安を解消する1つの方法かもしれません。

https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/004/a004_01.htm(参照 2023-12-15)

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