教育実習生はどんなことに悩んでいる?実習レポートから見えてくる悩みと解決方法

教育実習お疲れさまでした

5月から6月にかけて教育実習を終えたという学生の人も多いのではないでしょうか。
これまで「学生」という立場で物事を考えていたものが「先生」という立場になって考えることになると世界が変わったのではないでしょうか。筆者もこれまで何人もの教育実習生を見てきましたが、実習を終えることでさまざまな新しい悩みにぶつかる人が多くいます。ここではそんな悩みの代表例と解決策を紹介します。

教育実習のまとめや反省から見える悩み

教育実習を終えた人や実習後のレポートを読んでいると「充実した」「勉強になった」という感想がある一方で、「授業がうまくできなかった」「生徒とうまく関係を作れなかった」という悩みもあります。そこでよく聞く悩みと解決法5つを紹介します。

授業に関する悩み

最も多い悩みが、授業に関する悩みです。「緊張して上手く話せなかった」「子どもが騒がしくなってしまった」という悩みはよく聞きます。
でも、心配しないでください。実習生なので上手くできなくて当然です。

でも、ちょっとした工夫で解決できます。それは模擬授業を実施し、自分で自分の授業をビデオで撮ってみることです。恥ずかしいかもしれませんが、ぜひやってほしい練習法です。そして自分でビデオを次の3つの視点で見直してください。

1.声の大きさと速さは適当か(小学生の目線で)
2.指示は分かりやすく、いい直しをしていないか。
3.子どもの動きを確認する作業を入れているか


おおよそこの3点で見ていき、どれも○が付くようになれば授業はかなりうまくなっています。悩んでいる人は、一人でもできる模擬授業を短時間でもよいのでやってみましょう。

生徒との接し方に関する悩み

次に難しい悩みが「生徒との接し方」です。これは小学校よりも中学校に教育実習に行った人が悩みとして挙げてくる傾向があります。教育実習生という立場を中学生になるとどんなものか何となく分かっています。中学生から見れば、教育実習生ぐらいの年齢の兄弟がいる生徒もいるのでどうしても近い距離感と感じます。実習生側も近づいてくるのはうれしいのですが、生徒と先生という立場で一線を引かないと指導ができなくなります。
では、なぜこのようになってしまうのか。実習生の反省を読んでいると2つの共通点が見えてきます。

1.実習生が公平公正な視点で子どもを見ることができていない。
2.実習生のプライベートに入り込まれている。


この2つの点が崩れてしまうと上手な関係を築けない傾向があります。


1つ目は子どもを見るときの「公平公正」な視点です。この視点は実際に現場で働いている先生でも正直上手くできていない人は多いのですが、実習生は最初にしっかりと意識しましょう。公平公正な視点とは、「子どもを常にフラットに見ること」です。先生も実習生も人間ですから感情があります。頑張っている子を応援したり、自分に寄ってくる子を支援したりしたくなるものです。しかし、これは公平公正な視点とは言えません。いわゆる「ひいき」に近いものになります。中学生ぐらいになるとこうしたことにとても敏感ですからすぐに気が付きます。そして、先生と子どもとのバランスや信頼関係が崩れます。個人の感情が周囲に影響を与える意識をもつことが解決策になります。


2つ目がプライベートと仕事との境目です。スマホやSNSの普及で、先生と子どもが連絡を取るという話はよくありますが、これも先ほどの「ひいき」に近いことが生まれます。また、子どもはどんどんプライベートに入り込んできたがりますので、そこはしっかりと壁を作り一線を引きましょう。周囲の感情に巻き込まれやすい実習生ほど、こうした関係性作りに悩む傾向があるので、しっかりと感情を切り分ける力が必要です。

教育実習生という立場の悩み

教育実習に行くときには、必ず指導教員と呼ばれる中堅からベテランの先生について指導をしてもらいます。正直、このときにつく「指導教員」によって教育実習の感想は大きく変わります。指導教員にも力量の差があり、実習生を生かした指導をする人もいれば、どうしても指導に重点を置いてしまう指導教員もいます。教育実習生は、立場上、意見を言ったり拒否をしたりということがしにくいため、パワーハラスメントのようなものを受けたと訴える実習生が多いのも現状です。

では、実習生として立場で悩まないにようにするためにはどうするのか。まずは、実習生であっても話ができる人を見つけておきましょう。学校には指導教員以外にも校長や教頭、教務といった様々な立場の人がいます。こうした先生とも常にコミュニケーションをとっておくことが大切です。また、受け身の姿勢では話しかけられるのを待つことになります。自分から積極的動き、考え、困ったときにはすぐに質問をする。このような前向きな姿勢で実習に取り組んでいけば、自然と円滑なコミュニケーションをとることができるようになってきます。

教職に限らずどの職に就くのも同じと考えてみよう

教育実習から出てくる悩みをみていると「教職独特」というものはそこまで多くありません。どちらかというと社会人になると出てくる悩みと混在しています。会社のインターンシップを終えて帰ってきた人の悩みと類似している部分もあります。では、どのようにすると悩みを解決できるか紹介します。

よいなと思ったことをまねる 「まねする」ことは良いこと

まずは、先輩や人のまねをすることです。学校の先生の面白いところは、人のやったことをまねしても同じ結果にはなりません。なぜなら相手が人であり、雰囲気によって反応が大きく変わるためです。「どうやって黒板を書いたらよいか分からない」「どんなめあてにすればよいかわからない」そんなときは先輩のものをそのまま真似してしまいましょう。真似をすれば、指導の柱をずらさないで教えていくことができます。

先生と生徒の距離感は お店の店員とお客さん

子どもとの関係作りに困ったら「店員とお客さん」の関係を意識するとよいです。両者の間にはカウンターやテーブルという壁があります。この壁を常に意識して接するだけでも関係はかなり変わります。先生と生徒は上下の関係でもありますが、どちらかというと実習生と生徒はフラットな関係になります。でも、その両者の間には踏み込んではいけないラインがあることを指導者はしっかりと示すことが大切になります。

立場は最大の武器 それを生かせるのは今だけ

教育実習生、最大の武器は「失敗してもよい」ところです。授業で失敗しても担任の先生がフォローしてくれますし、保護者に対応する必要もありません。しかし、教員として採用されると失敗は、自分や学校が責任を負わなければいけなくなります。
指導教員を経験した立場から言えば、どんどん失敗して「トライ&エラー」を繰り返した人の方が早く上達します。子どもたちも実習生が失敗しても温かく見守ってくれますし、子どもによってはいつも以上に頑張ろうと意識する子もいます。「ミスしてもよい」そんな最大の武器を生かせる期間を大切にしましょう。

悩みを抱えている人は自分と向き合えている素晴らしい人

実習生の悩みから見えてくる子は、悩みを抱えている人ほど教職に就いたときの自分の姿を想像できている人です。何も悩みがないというのは指導者として不安にもなります。教育実習で自分と向き合えている人ほど、本気で進路選択を考え、就職していきます。もちろん向き合ったからこそ教職を諦め新しい進路に向かう人もいます。悩みを抱えることができたということは、教職について真剣に考えることができたと前向きにとらえて勉強を進めましょう。 

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