【教員志望者必見】公立教員と私立教員の違い

教員には「公立」と「私立」で採用形態など、いくつか違いがあることはご存知でしょうか。
この記事では、教員を目指すうえで公立と私立で具体的に教員には、どんな違いがあるのかご紹介していきます。教員を目指している方はぜひ参考にしてくださいね。

公立教員と私立教員で必要な資格は同じ

公立・私立ともに、教員になるためには教員免許の取得が必要です。
その教員免許には3つの種類があります。

普通免許状

一般的にイメージされる教員免許は「普通免許状」です。
そして普通免許状は、専修(大学院卒業)・第一種(大学卒業)・第二種(短大または専門学校の卒業)の3つに分かれています。
さらに以下のように、幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援学校ごとに種類が分かれます。

幼稚園  

  • 幼稚園教諭一種免許状
  • 幼稚園教諭二種免許状
  • 幼稚園教諭専修免許状

小学校  

  • 小学校教諭一種免許状
  • 小学校教諭二種免許状
  • 小学校教諭専修免許状

中学校  

  • 中学校教諭一種免許状(教科)
  • 中学校教諭二種免許状(教科)
  • 中学校教諭専修免許状(教科)

高等学校 

  • 高等学校教諭一種免許状(教科)
  • 高等学校教諭専修免許状(教科)

特別支援学校 

  • 特別支援学校一種免許状
  • 特別支援学校二種免許状
  • 特別支援学校専修免許状

特別免許状

担当する教科において専門的な知識や経験を有する人が、各都道府県の教育委員会から推薦を受け、教員職員検定を合格することで授与される免許状です。
普通免許状を持っていなくとも教員になれることが特徴ですが、多くの人は社会人を経験して専門性を極めた結果として授与されています。

臨時免許状

教育職員検定の合格が必要です。臨時免許状は、普通免許状を持っている教員が採用できない場合に臨時に与えられる免許状です。
美術や音楽などの芸術系の教科では、普通免許状を持っている教員が少ない地域あるため臨時免許状が発行されることもあります。

公立と私立の就職の流れの違い

公立学校の採用の流れ

公立の学校で正規雇用となるためには「教員採用試験」に合格しなければなりません。教員採用試験とは、都道府県が設置している公立学校の先生になるための試験です。
一般的には「筆記」「面接」「実技」「適性検査」の4つの試験に分かれています。試験に合格すると「教員採用候補者名簿」に名前が登載され、その中から必要に応じて採用されます。

受験から採用~赴任までの流れ

  • 6月~7月:一次試験
  • 8月~9月:二次試験
  • 9月~10月:合格発表、採用候補者名簿に登録
  • 11月~12月:採用の調整
  • 1月~3月:赴任する学校の決定
  • 4月:赴任

教員採用試験に合格して本採用されると、60歳で退職するまで教員として過ごすことが可能となります。

一方で、採用試験の合格者だけが教員なのかというとそうではありません。

臨時的任用教諭

採用試験に不合格になってしまった場合は、「臨時的任用教諭」という雇用形態が選択肢として残っています。「臨時的任用教諭」とは、正規の教員が産休・育休等に入り欠員が発生した場合に、短期的な契約を結んで採用される雇用形態です。
待遇は本採用の教員に準じた勤務時間や給与となりますが、任期は1年で終了し、継続するには再び採用に応募しなければなりません。
また、「臨時」といっても公務員であることに変わりはありませんので、副業は禁止されています。
雇用が短期である上に副業で別収入も禁止されているため、非常に不安定な雇用形態であると言えます。

非常勤講師

この他、短時間で勤務が可能な「非常勤講師」があります。授業1コマ単位で報酬が決まっており、定年を迎えた元教員がなるケースが多いです。
正規教員や臨時的任用教員よりも収入は大幅に少なくなります。

私立学校の採用の流れ

公立学校教員の採用が「教員採用試験」で一元化されているのに対し、私立学校の採用形態はさまざまです。
専任教諭(公立でいう正規雇用)を学校のホームページ等で募集している学校もあれば、専任教諭(無期雇用)の公募は行わず、常勤講師や非常勤講師として勤務している教員から専任教諭を登用している学校もあります。
そして私学では、私学教員適性検査というものを行っています。これは、私立の教員を目指す人を対象に一律の学力検査・適性検査を行うものです。
東京都のように私学教員適性検査を実施し、その結果を1次試験的に活用しながら、学校独自の採用選考を2次試験的に行っているような場合もあります。適性検査ですので合格・不合格の判定はありませんが、専門・教職教養の各々について「A B C D」の4段階評価が付きます。わかりやすく言うと、大学入試の共通テスト(旧センター試験)のようなものです。
私立では適性検査の結果が採用の評価にも影響を及ぼします。
採用試験の主な内容は公立学校と同じく、筆記試験(専門教科や教養、小論文)、面接試験、模擬授業などで構成されます。

また、私立学校の採用は、年度につき2~3名であることが一般的です。必ずしも予定数を採るわけではなく、採用を見送る場合もあれば予定よりも多くの数を採用する場合もあります。

この点は、公務員の採用予定数を逸脱しない公立学校との大きな違いといえます。

公立と私立の労働環境の違い

最後に、私立と公立の主だった労働環境の違いについて説明します。

給料水準の違い

公立と私立の平均年収は以下のとおりです。

  • 公立高校教員:630万円
  • 私立高校教員:625万円

このように、公立と私立とではそこまで大きな年収差はありません。公立と私立では支給される手当等に違いはあるものの、基本的な給料は変わらないのです。
これは「私立学校の給与は公立学校の給与に準ずること」という慣例があるからです。年収には差がありませんが、支給される手当は公立と私立によって違いがあります。
各種手当は、公立教員と私立教員どちらにも支払われるものと、基本的に私立教員にしか支払われないものがあります。どちらにも支払われるものは、通勤手当などです。
扶養手当・住居手当に関しては、公立の場合は条例で定められているため支給されます。

私立教員にしか支給されない手当には、残業手当や休日出勤手当などのいわゆる時間外勤務手当があります。公立教員には「給特法」という法律に基づき時間外手当の支給が認められていません。
公立教員には時間外勤務手当の代わりに、給料月額の4%が教職調整手当として支払われています。支給される手当に差はあれど、平均年収は大きく変わらないのです。

一方で、私立の場合は規模が大きな学校(人気な学校)になればなるほど給料水準は高くなる傾向にあります。有名私立大学の付属学校は平均よりも100万円以上高くなることもあります。

異動の有無

公立教員と私立教員の異動事情はそれぞれ異なります。

公立教員の場合、一般的には3年~5年のスパンで異動が発生します。部活の顧問として結果を出すなど、保護者の「異動しないでほしい」という要望が強いときは長くなることもあるかもしれませんが、基本的に異動はつきものです。
そのため、偏差値30台の学校から偏差値70台の学校まで、生徒の性質も様々な学校へ行かなければいけません。

これに対し、私立教員には基本的に異動がありません。専任教諭であれば、定年まで同じ学校に勤めることが可能です。
しかし、異動がないためずっと同じ人間関係のなかで働くこととなり、人によってはそれをデメリットと感じるかもしれません。

まとめ

公立教員と私立教員とで必要な資格や給料に大きな差はありませんが、採用の流れや異動の有無に違いがあります。特に異動の有無は仕事の仕方を変える重要な要素となりますので、自分に適した道を確認しながら教員の道を選択していきましょう。
公立と私立、どちらの教員を目指すか悩んでいる方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

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