公立学校教員の採用状況

これから学校の教員を目指そうと考えている人にとって教員採用試験の倍率というのは気になるものではないでしょうか。倍率が高ければ合格しにくく、低ければ合格しやすくなります。
ここでは教員を志望している人が求めている採用試験の状況によって解説していきます。

全国的な傾向から見える今の採用試験

はじめに、全国的な教員採用試験の傾向から見える現状について解説していきます。

採用倍率は都道府県によって大きな差がある

公立学校教員の採用状況ですが、採用試験を受ける都道府県によって大きく差があります。国立を除く公立学校の教員採用試験は、都道府県ごとに実施されており、志願者、採用者の数に偏りがあるため、都道府県ごとに大きく差があります。

例えば、2022年度(令和4年度)に採用される教員採用試験の数値を見ても小学校教員の倍率で比較すると、東京都が約3.1倍に対して北海道は1.4倍とかなりの差があることが分かります。

教員採用試験の受験に関して居住地や出身大学は関係ありません。採用試験の日程の重なりがなければ複数の採用試験を受けることも可能なので、倍率の低いところを狙って受験するのも1つの考え方です。

校種や職種によっても採用倍率が変わる

教員採用試験の倍率は、都道府県ごとに変わるだけでなく校種や職種によっても変わります。
校種とは「小学校」「中学校」「高等学校」「特別支援学校」等の学校の種類のことです。志望する校種によって倍率が変わります。
例えば、愛知県を例に挙げると、愛知県の令和4年度の採用試験倍率で見ると「小学校 2.7倍」「中学校4.4倍」「高等学校7.9倍」「特別支援学校3.9倍」となり、数字だけ見ると小学校は採用試験に受かりやすく、中学、高等学校になるにつれ受かりにくくなります。

もう1つ「職種」による倍率の違いは、養護教諭が代表例になります。養護教諭の採用枠は一般教諭とは異なるため、倍率が変わり愛知県だと9.1倍となります。

倍率の差が生まれるのは採用数と免許保有者の数

 校種によって倍率に差が生まれる理由の1つ目は「採用人数」です。採用人数は学校の数と連動しており、最も数が多い小学校は一番教員数が多い関係で倍率が低くなります。高等学校の採用数は、小学校や中学校に比べると少ないため必然的に倍率が高くなる傾向があります。

もう1つの理由は免許状の関係です。教員をやるのに必要な教員免許は、大学などで一定の単位数を修め、実習をすることによって取得できます。この単位数が小学校教員免許状は多く、中学校、高等学校になるにつれ少なくなります。
結果的に小学校の免許取得することができる大学は、教員養成の専門課程を持っている大学が多いですが、中学校、高等学校の教員免許は一般大学の教職課程を取るだけでも取得できるケースがあります。そのため、免許保有者が多い高等学校は、採用試験を受ける人の数も増えます。

このような2つの理由から公立学校教員の採用倍率は大きく差が付くことになります。

採用試験の倍率傾向

つづいて採用試験において難易度を左右する倍率について、傾向を解説していきます。

全国的に見ると減少傾向の採用試験倍率

教員採用試験の倍率は全国的に見るとここ数年はやや減少傾向にあります。このようになっている要因は3つあります。

 1つ目は、教員に対するイメージの低下です。「ブラック部活」「定額働かせ放題」など教員に対するネガティブなイメージが報道され、教員に仕事が大変であるという概念がこれから就職を考えている世代に根付きつつあります。
確かに、実際現場の状況は報道されていることと近い部分もありますが、そうではない部分もたくさんあります。働き方次第なので、これから採用試験を受けるという人は安心してください。

 2つ目は、大量採用時代の退職です。都市部を中心に第2次ベビーブームで学校数が増えた時期に採用された教員(主に現在60歳代前半)が定年退職を迎え、その分教員に空きが出ています。
定年延長と言われていますが、60歳で役職定年を迎える人が多く、その後は講師として再任用をしている自治体が多いです。そのため正教員の枠は空き、その影響で採用人数が増えています。

 3つ目は、少人数化の促進です。小学校低学年での35人学級をはじめ、これまでよりも1クラスの定員を減らしたことでクラス数が増え、結果的に担任の数が必要になっています。これらの主に3つの要素から教員採用試験の倍率は全国的には下がり気味になっています。

自治体によっては上がっているところもある

全国的な視点で見ると下がり気味な教員採用試験の倍率ですが、採用はそれぞれの都道府県で行われているので、自治体ごとにみると倍率が上昇している場所もあります。
例えば、京都府では令和3年度の小学校採用試験の倍率が3.7倍であったのに対して、令和4年度の採用試験では4.1倍に上がっています。東京で見ると小学校は3.3倍から3.1倍と下がっているものの中高等学校(東京では中学校と高等学校は同じ枠)では4.4倍から4.5倍と微増となっています。
ほかにも関東、東海、関西といった都市部を中心として採用試験の倍率は下がっているというよりも横ばいの傾向が強く出ています。

危機的な状況になりつつある東北・九州

教員採用試験の倍率だけ見ると危機的な数字になりつつあるのが東北と九州です。どちらの地域も小学校の採用試験倍率で2倍を切っているところが多くなっています。
採用のされやすさという受験生から見るとメリットがあるのですが、「3倍を切ると教員の資質が維持できない可能性が出てくる」と現場では言われています。本来教員の適性がない人が採用試験に合格することによって児童生徒が不利益を受けることがないか、必要な学力を身に付けさせることができるのかといった点で心配の声も上がっています。

今後しばらく教員採用試験は受験生有利の状態に

今後は数年間、教員採用試験は受験生有利の状況が続きます。定年が延長されたといっても段階ごとの引き上げであり、全ての人が65歳定年になるまでは数年かかります。
さらに自治体によって違いますが、役職定年は60歳に設定されていることが多く、校長や教頭になっても60歳で役職定年となれば、そこに新しい人を採用しなければいけません。当然、若い人の補充も求められるので、約20年前の採用倍率10倍や20倍というようなことにはならない見込みです。

文部科学省も教員の採用を増やす政策を取る

文部科学省も教員の仕事に関する適正化を促す政策を行っています。代表が「35人学級」であり、これを実行するためには、退職する人を再任用として維持しつつ、新しい人も採用していかなければ政策の実現はできません。ほかにも小学校で外国語科の授業が始まったことで、小学校に英語教育の専科教員配置、ICT化をサポートするICT支援員の配置など人を増やす政策を行っています。

十年後には減少傾向になる見込みも

しばらくは低い倍率が続く採用試験ですが、10年後をめどに上昇に転じると予想されています。この要因になるのが「少子高齢化」です。子どもの人数が減っている現在、財務省は将来的に教員数も減るものとして予算建てをしています。特に過疎が進む地域や人口流出の多い地域では、寿命を迎える校舎の建て替えと同時に学校の統廃合を進めています。
既に統廃合によって3つの小学校が1つになったり、小中一貫の義務教育学校として学校を作り変えていたりするところもあるので、「教員になろう」と考えている人は今が採用試験に合格しやすい状況であると言えます。

今は教員採用試験に合格しやすいチャンスの時期

ここまで教員採用試験の倍率と現状について述べました。採用試験の倍率は自治体と校種によってばらつきがあるので、複数受けることができる場合にはいくつかの試験を受けることをおすすめします。
現在は、大量採用時代の退職、さらに少人数教育の推進などもあり、採用試験の倍率が比較的低いので、ここから数年間が教員試験に合格しやすいチャンスの時期といえるでしょう。

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