教員採用試験を突破するために押さえておきたい5つのポイント

令和6年度からは、大学3年生も受験資格を与える自治体が増えたため、採用試験対策をする人も増加する見込みです。

では、ライバルが多い中で合格を勝ち取るためにはどのような対策が必要なのでしょうか。

この記事では、令和6年度の教員採用試験を突破するための5つのポイントを紹介します。何から始めて良いかわからない人は、ぜひ参考にしてみてください。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

教員採用試験は県や市などの自治体単位で行われます。出題の内容や傾向、実技試験の有無などは自治体によって異なるということを念頭に、必要に応じた試験対策をするようにしましょう。

受験予定の自治体における実施要項を知る

教員採用試験の内容は自治体ごとに異なります。したがって、最初に取り組むべきことは、「受験予定の自治体での採用試験における実施要項を調べること」です。ほとんどの自治体では、令和6年度の詳細はまだ発表されていないので、過去の実績を参考にすると良いでしょう。

一部を除き、多くの自治体で情報が公開されています。

 参考:過去の試験問題 – 東京都公立学校教員採用ポータルサイト

https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/recruit/exam.html

 参考:神戸市教育委員会

https://www.city.kobe.lg.jp/a55153/shise/shokuinsaiyou/kyouiku/kyosaikako.html

まずは、自分が受験する予定の自治体の公式サイトで、これまでの実施要項が公開されているのかを調べてみましょう。

面接や小論文が課されるのか、試験の実施時間はどれくらいか、採点基準はどうなっているのかといった基本情報を、できれば過去5年分ほど遡って把握しておくと安心です。

教職教養・一般・専門の試験は過去問から出題傾向を分析し、対策する

教員採用試験の対策で最も時間を費やすべきなのは知識のインプットです。基本的な知識を理解・定着させることが、面接や小論文の対策にも繋がるので、丁寧に対策していきましょう。まずは、教職教養、一般教養といった知識のインプットに関わる勉強から始めていくのがおすすめです。

教職・一般教養の対策では、過去問の中に「自治体独特の問題」が含まれていないかを確認します。例えば、

 ・自治体の「教育振興計画」に関わるもの

  参考:東京都教育委員会

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/

 ・自治体にできた新しい施設や教育に関わる新しい取り組み

  参考:中央教育審議会 諮問・答申等一覧,文部科学省

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/index.html

特色あるテーマが出題される可能性がある場合は、基本知識にプラスして勉強しなければなりません。

また、試験から3年以内程度に文部科学省などから発出された「法令」「提言」「答申」などの出題があれば、試験前後に発出された同様のものを読んでおく必要があります。

自分が受験する予定の自治体の過去問対策が終わったら、他の自治体の過去問にも挑戦してみましょう。問題数を重ねていくと、広範囲にわたる教職・一般教養知識の中でも、出題されやすい部分がわかってきます。

例えば、

 ・新しい法令や提言に関する出題が多い

 ・教育基本法や地方公務員法もよく出る条文が決まっている

など、どの自治体の採用試験でも出題されているいわゆる「定番問題」は、翌年度以降でも出題される可能性が高いので重点的に勉強しておきましょう。

なお、出題傾向について分析しきれないと感じる人は、参考書を頼りにするのも1つの手です。あらゆる自治体の過去問が含まれているものと、特定の自治体のみを取り上げているものがあるので、自分にとって必要なものを選んでくださいね。

日頃から教育に関する情報にアンテナを張る

近年、教員採用試験は、学力よりも人物像を重視する傾向があります。したがって、各個人の特性や考え方の背景がわかるような面接や小論文といった試験を課している自治体が多く、配点が高く設定されてることも珍しくありません。

面接や小論文では、教育に関するニュースや社会的に話題となっていることがテーマとして取り上げられ、受験生が教育に対してどのような意識を持っているのかを問われます。

例えば、今年度実際に小論文の問題として出題されたものには、

 ・令和4年に出された生徒指導提要の要点を説明しなさい

 ・生成AIを授業で利用する際に気を付けなければいけない点を述べなさい

など、ここ数年で教育界で話題になったものがありました。時事ネタは、面接や小論文に限らず、教職教養の試験問題としても出題されることが増えているので、やはり対策は必須です。少なくとも直近2〜3年で話題となった教育に関連する情報はチェックしておきましょう。

対策のポイントは2点です。

 ・教育に関する話題が取り上げられた新聞の一面やインターネット上の記事していつでも振り返られるようにしておく

 ・文部科学省や中央教育審議会のサイトを定期的にチェックして最新の情報を逃さないようにする

時事問題対策は、日々の情報収集にかかっているので、日頃から意識を向けておきましょう。

面接・小論対策に役立つ「自分ごと」として考える力を鍛える

面接や小論文の試験では、物事を「自分ごと」として考えられているかどうかが合格を左右します。教育に関連する社会的な関心を他人ごととして捉えているようでは、当然教員としての素質はないとみなされるでしょう。教壇に立つ人間として、常に「自分ならどうするのか」という視点で物事を考えられていることが、合格するための必須条件です。

ただの「感想」ではなく、確固とした根拠に基づいた「意見」を持てるように、日頃から、身の回りの情報に対して「自分だったらどうするか」と深く考える癖をつけましょう。

面接・小論文対策に協力してもらえる指導者を確保する

面接や小論文では、自分の言葉でロジカルに表現する力が求められます。本番で実力を発揮するためには「慣れ」が必要で、そのためにはとにかく「場数を踏むこと」が大切です。

とはいえ、アウトプットがベースである対策に、自分だけで取り組むのは難しいでしょう。そこで重要なのが、面接や小論文対策に協力してもらえる指導者の確保です。

学生であれば在学する大学の教員、関係性次第では教育実習の指導教員が力になってくれるかもしれません。お願いしたい場合は、多大な労力と時間的な負担をかけてしまうことを念頭に、丁重に相談するようにしましょう。近年は、教員採用試験対策のための塾もあるので、必要に応じて利用を検討してみても良いかもしれません。

合格の基準は「未来を担う子どものために働ける人」かどうか

教員採用試験で見極められているのは、「未来を担う子どもたちのために働くことができる人かどうか」です。もちろん、「子どものために規定の時間外まで働ける人」という意味ではありません。「子どもに正しい知識を身に付けさせ、心を成長させる機会を与えることができる人であるのか」を判断しているのです。

だからこそ、教員採用試験は、ただ知識を表面的に知っているだけでは突破することができない内容になっています。正しい知識を身につけた上で、「自分ならどうするのか」「子どもたちのために何ができるのか」ということまで考えられている人だけが合格する仕組みであるということを覚えておきましょう。教員を目指している人は、ここまでにご紹介した5つのポイントを意識しながら試験対策を進めてみてください。

参考資料1:東京都公立学校教員採用ポータルサイト

 https://www.mext.go.jp/content/20210428-mxt_kyoiku01-00014639_13.pdf(参照 2024-1-15)

参考資料2:神戸市教育委員会

 https://www.city.kobe.lg.jp/a55153/shise/shokuinsaiyou/kyouiku/kyosaikako.html(参照 2024-1-15)

参考資料3:東京都教育委員会

 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/(参照 2024-1-15)

参考資料4:中央教育審議会 諮問・答申等一覧,文部科学省

 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/index.html(参照 2024-1-15)

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