最新の学校事情! 令和になって学校から消えたもの

教育現場は、時代の流れに伴い大きく変化してきました。数年前にあなたが学校卒業した際には当たり前だった物の中には、今では教室から消えてしまっている物もあります。今回は、教員なら知っていてほしい最新の学校事情をご紹介します。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴3年

黒板から電子黒板・ホワイトボードへ

平成後半から各学校にプロジェクターや実物投影機、スクリーンなどが導入され、授業時に活用されてきました。プロジェクターでデジタル教科書を投影する手法は多くの学校で取り入れられた一方で、長期にわたってプロジェクターを利用することで故障が増えたことや、タブレット端末を使うようになったことで出番が少なくなりつつあります。

そのため、現在は大型モニターと共通化した能力を持つ「電子黒板」が多く用いられています。もちろん従来の黒板も使いながら、教科書や資料の提示、動画教材などは電子黒板を使うという併用した授業です。

電子黒板の導入に伴い、黒板もホワイトボードに変更している学校もあるそうです。これは、黒板を書いたり消したりすることで発生する粉が電子機器に悪影響を与えるためと言われています。

タブレット端末や電子黒板の導入が進む一方で、これらの機器に悪影響を与えるものの撤去や温度管理用のエアコンの設置が進んでいます。

手書きの連絡帳

小学校の頃は、登校後に連絡帳を書くことがクラスのルールだったという人もいるのではないでしょうか。そんな連絡帳を書く文化も今では減りつつあります。

要因の一つとなっているのがGIGAスクール構想で配付されたタブレット端末です。タブレット端末の日常使いが浸透したことで、学校からの連絡はメール配信を利用したり、Googlechatのような掲示板アプリを利用してお知らせするケースも増えてきました。配信形式であれば、教員側も連絡帳を確認する必要がなくなり、保護者からの要望や連絡もチャットを使ってすぐに受け取ることができます。

朝の時間帯に行われる健康観察も子どもたちがタブレット端末から自分の体調を報告するようになり、保護者からの欠席連絡も連絡アプリを使って受け取れるようになりました。デジタル化が進行していく中で、従来の連絡帳に鉛筆で書く文化が減りつつあります。

職員室内での押印文化

公務員の世界では「押印文化」というものがあり、書類を確認するために判子を押していくというのは当たり前でした。学校であれば、教育委員会から届いた文書や「学年だより」などの外部に発信する文書で、管理職に見てもらうために「起案書」を付けて回し、それぞれが押印していきます。そんな学校現場の押印文化にも変化が訪れました。

これまでは、文部科学省や教育委員会から届く文書を印刷して起案している学校が多くありましたが、文書の取り扱いを完全電子化して起案をし、確認をしたらそれぞれの役職が「承認」することで校内の確認がスムーズに行われるように進んでいます。

その他にも、指導案への押印、教育委員会への提出する文章への公印廃止など、市役所などで行われている押印廃止文化が学校現場にも流れてきています。

学校における電話対応の変化

これまで学校への電話は、職員がいつでも対応することが当たり前の状況であり、深夜に電話がかかってくることや、休日に警察から電話がかかってきて生徒指導をしたりというのも日常でした。

しかしながら、近年では教員の働き方改革の流れにより「時間外の対応は不要である」と考えられるようになりました。学校現場にも「留守番電話の利用」や「時間外電話の受付をしない」という流れが広がっています。時間外の問い合わせはメールや専用アプリからの問い合わせのみとして、電話での応対は勤務時間内のみにするところも増えました。

このように時間外の電話対応をしないことで、職員の勤務時間が伸びることがないようにしています。

危険を伴う実験や授業の禁止または内容変更

授業の中には危険性を伴うものもあり、怪我や事故が度々起きます。ここ数年では下記の理由による廃止や変更が話題となりました。

・体育の授業や運動会における組体操での怪我

・柔道の指導中の事故

・水泳の飛び込みにおける事故

・熱中症関係

中には死亡事故につながっている案件もあり、活動そのものを見直すような動きになってきています。

例えば、熱中症対策としては、学校に冷房が設置されているところが増え、登下校においても日傘の利用、部活動における活動時間の制限も始まりました。スポーツの公式試合においても試合中に「給水タイム」を設定して、しっかりと水分補給ができるように配慮されています。

水泳活動も「飛び込み」が禁止されたり、柔道は危険が伴うため「剣道」にカリキュラムを変更して実施しているところもあります。

学校現場では一度事故が起きてしまうと大きく報道され、安全性や教員の過失を問う裁判になることもあります。安全に実施することができない可能性があるものは削減や変更することで子どもの安全をより確保する流れが強くなってきました。

お金にかかわる取り扱いの業務

最後が、学校のお金にまつわるお話です。数十年前から学校の集金は「口座引き落とし」になっており、現金でお金を集めることは減っています。これまでは、集金した後のお金の割り振りや集金することができなかった子どもに対しての徴収作業は教職員の負担となっていました。

そのため、現在はお金の集金から追加の徴収、さらに会計処理までを公的な機関や専門の業者に委託する学校も増えています。

また、学級写真の購入や副教材といった、教員が注文数を集約し、子どもがお金をもってきて業者に支払いをしていたものもオンラインで購入できるようになり、業者から直接購入者に販売できるシステムを導入した学校もあるそうです。

集金業務は、大切なお金を取り扱うため、教員にとって負担感が大きいだけでなく、未納者への催促や帳簿の作成など、教員の仕事と少し離れてしまったものもやらなければいけない状態でした。そこで、こうしたものを外部に委託することで、教員の業務内容の精選を行うところがあります。

たった数年でここまで変わる!教員なら変化を知っておこう

タブレット端末が導入されたことにより、ここ数年の学校現場はこれまで以上に大きく変化しました。特に新型コロナウィルスが猛威を振るった2019年ごろからは行事の見直し、学校の業務内容の削減、さらに働き方改革の影響もあり教員として本来やらなければいけない仕事に精選されてきました。自分の学生時代のことが当たり前とは思わず、変化したことやその背景を知っておくことが重要です。

最新情報をチェックしよう!