司書教諭とは?学校図書の管理だけではない!詳しい仕事の内容と資格について解説します 

司書教諭」という職業を聞いたことはありますか?司書教諭がどのような仕事をしていて、どのような資格が必要なのか知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、学校になくてはならない司書教諭に仕事内容ついてご紹介をしていきます。

司書教諭とは?

 司書教諭に関しては、学校図書館法という法律の下に様々な取り決めがあります。司書教諭の中心となる仕事は「学校図書館の専門的職務を担う教員」であり、学級数が12学級(1学年2クラス)を超える学校には必ずいなければいけません。

参考文献:学校図書館法第6条第1項

司書教諭になるためには、資格取得が必要です。取得方法には、大きく2つの方法があります。1つは教員養成大学などで教員免許を取得するのと同時に、「学校図書館司書教諭講習」を受講し、所定の単位を修めることで認定してもらう方法です。

2つ目は、教員免許を取得し、各都道府県で採用され勤務をしている間に各大学で実施されている「学校図書館司書教諭講習」を受講後、認定される方法です。最近ではeラーニング方式で講習を受講することができる大学もあるため、仕事をしながらでも資格取得がしやすいものになっています。

また、教員免許を保有せず、事務職員として採用された人が講習を受けて司書として配置されている場合もありますが、この場合は、司書教諭ではなく学校司書という職業になります。

司書教諭が担う大きな役割

司書教諭が担う仕事については"学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動に対する指導、さらには、学校図書館の利用指導計画を立案し、実施の中心となるなど、学校図書館の運営・活用について中心的な役割"と示されています。

参考文献:文部科学省.子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」【第2次】(案)について.平成20年

司書教諭とは、学校図書館の専門的職務を担う教員です。子ども達に本を貸し出すカウンター業務や資料探しの手伝い、質問に答えるレファレンスサービス業務だけでなく、現場の教員や子どもたちがどんな本を求めているのかニーズを分析し、本の選択をする必要があります。図書館を利用した授業の考案なども仕事のひとつです。

【司書教諭の仕事1】 学校図書館の整理整頓

 司書教諭のよく知られている仕事は「学校図書館の整理整頓」です。整理整頓と言っても、本を綺麗に並べるだけではありません。一番大切なのは「ニーズに応じた本をそろえる」ことです。スマートフォンやタブレット端末が普及した現代でも、本を読むことが好きな子どもは多くいます。では、その子どもたちがどのような本を読みたいのか、最近はどんな本が人気なのか、こうした情報を把握して学校図書館に本を入れていく必要があります。昔の本が入ったままという学校図書館は人気がなく、子どもが足を運びません。しかし、新しい本が入っていたり、人気の本がそろっていたりする図書館は人気があります。このような図書館を作り出すことができるように本をそろえていくことが大切です。

最近では、子どもの活字離れを懸念して漫画を学校図書館に導入するところも増えています。漫画などの導入は、図書館司書の意見だけで取り入れることができないため、職員会議などで協議し、妥当と判断されれば取り入れることができます。こんな学校図書館の新しい使い方を提案することができるのも司書教諭です。

学校図書館の本の整頓で忘れてはいけないのが教師目線で見る学校図書館です。例えば、学習指導要領は10年で改訂がやってきます。(小改訂が中間にあります。)学習指導要領が変わると教科書の内容が変わり、そこに掲載されている情報も変わります。

これまでにあった一例としては下記のようなものがあります

  • 小学校3年生から国語辞典を扱うようになった
  • 小学校の理科の授業において音の単元が誕生した
  • 総合的な学習の時間で郷土学習を取り入れることになった

 このように学習の内容が変わったり、教科書に掲載されている資料が変わったりすれば、学校図書館も内容に合わせて本を入れていく必要があります。こうした情報は授業を担っている先生しか分からないことが多いため、学級担任と司書教諭を兼任する意味につながります。

【司書教諭の仕事2】 情報センターとして子どもたちに紹介する

 子どもたちが通いたくなる図書館になるかどうかは、図書館が情報センターとしての機能を有しているかが大きいです。子どもたちが本を読みたいと思うようにするためには、本は暇つぶしの道具ではなく、様々な知識を得ることができるものであることを教えていく必要があります。そこで大切なのが、新しい本などの紹介を積極的に行うことです。ブックトークのように司書教諭が教室に出前授業する方法などがあります。なかなか入れ替わりをしない学級文庫を定期的に入れ替えるのも良い方法です。本の情報センターとして、子どもたちに面白さを提供していくことが司書教諭の役目になります。

最近ではICT機器も取り入れた学校図書館も増えてきています。本の位置をパソコン端末を利用して簡単に調べることができるようになったり、バーコードを読み込んで一人で貸し出し、返却処理ができるようになったりと使いやすい図書館も増えてきています。子どもたちが楽しい、また来たい!と思うような図書館づくりをしていくことが司書教諭に求められています。

【司書教諭の仕事3】 本の活用と外部との連携

 司書教諭の求められる3つ目の仕事に外部との連携があります。学校図書館に置かれている本は、自治体の費用によって購入した本のほかに、各学校が持っている予算、PTA会費、寄付などから購入するようなものもあります。このように学校を支えてくれる外部団体から本の提供を依頼された場合、子どもたちの希望を見極めて本を選択する必要があります。学校図書館だけでは多くの本を収蔵することができないことから、市や町の図書館と連携して本の定期的な入れ替えを実施したり、移動図書館を学校に呼ぶケースもあります。こうしたときには、司書教諭が窓口となってスケジュールの手配、入れ換えをする本の種類を決定していきます。また、公立図書館、学校図書館の両方で利用することができる「共通の貸し出しカード」を導入している自治体も増えてきています。蔵書数の多い公立の図書館と連携できることは、子どもたちの本の選択を増やすことができるメリットがあります。忙しい司書教諭にとって外部との連携は時間もかかり大変ですが、学校の授業内容によって必要な本を公立図書館から提供してもらえるように手配できるのは司書教諭にしかできない大切な仕事です。

図書教諭に求められていることは?

 司書教諭の役割はここ数年で変わりつつあります。これまでは、図書館にある本の管理が中心でしたが、本の有効活用、ICT化に伴う公立図書館の連携など様々な仕事が入ってくるようになりました。そこで重要なのが、図書館を情報センターとして活用できるようにすることです。「図書館に行けば分からないことが分かる」「新しい情報(本)を読むことができる」子どもたちが「本を暇つぶしの道具」としないように手立てを構築することが司書教諭には求められます。

最新情報をチェックしよう!