初任者に大切な4つの「つながり」 中堅・管理職も全員必見!

この春から教員生活をスタートさせた初任の皆さんは、不安と期待、驚きなどを体感しながら最初の1か月を過ごしてきたのではないでしょうか。筆者も数十年前に経験し、その後も多くの初任者を見てきました。これまでの教員生活で気づいた、初任者として大切にしてほしい「4つのつながり」について紹介していきます。不安を抱えている初任者はもちろん、初任者をサポートする立場の先輩教員の方々もぜひ参考にしてください。

初任者は孤独に陥りやすい!?

初任者というのは慣れない仕事を覚えるだけでも大変ですが、「孤独」と戦わなければならないケースもあります。その理由は二つあります。

一つ目は、職場に初任者が少ないこと。初任者は大きな学校でも2〜3人と少なく、1人という学校も多くあります。同じ初任の立場の教員がいなければ心細くなりますし、先輩教員に頼み事をするのも勇気がいるでしょう。

二つ目は、先輩教員と仕事内容が異なること。1年目には初任者研修という法定研修があるため、学校を離れることが多くあります。このため、先輩教員がしている仕事に参加できないことも多く、自分一人だけ違う仕事をしていると感じてしまうことがあります。

このように、一年目は何かと孤独を感じてしまいがちですが、次に紹介する「4つのつながり」を大切にして孤独感を払拭しましょう。

初任者に大切な4つのつながり

1.職員室内での縦のつながり

職員室内では「上司(校長や教務)と自分」と「先輩と自分」という2つのつながりが生まれます。上司と部下の関係は仕事上でのつながりであり、いろいろと仕事を教えてもらうことになります。もちろん、時には厳しく感じられる指導もありますが、近年はコンプライアンス(パワハラやセクハラなどをしない)が厳しくなっています。ここで良好な関係作りができると(関係作りは初任者の責任ではなく管理職の責任が大きいですが)いろいろなことがスムーズに行えます。

近くて頼りになるのが「先輩」です。もし、赴任先に2・3年目の教員がいれば、つながりを作っておきましょう。ほんの数年前まで同じ立場を経験していた先輩たちは、分からないことや不安なことに対して、直近の経験からアドバイスをしてくれることでしょう。

職員室内での円滑な人間関係づくりは、初任者一人の力では難しいところもあります。この記事を読んでいる人の中に、若手のリーダー格やミドルリーダーになっている教員がいるのであれば、ぜひ全校体制で初任者をサポートしてもらいたいです。

初任者が気持ちよく働いている学校は、職員室内の空気を作る管理職や中堅・若手教員たちの雰囲気がとても良いです。初任者から動くというのはとても難しいということを理解して、経験のある人から「声掛け」をする。些細なことかもしれませんが、これが初任者の心をほぐし、悩みや困りごとを聞き出すきっかけにもなります。職員室内の縦のつながりができるのかどうかは初任者以上に、現場にいる先輩教員が意識をしなければいけないことでもあります。

2.初任者同士の横のつながり

初任者同士の横のつながりであれば、自分から積極的につくっていきやすいのではないでしょうか。新型コロナウイルス対策が緩和されていく中で、対面での初任者研修が復活してきたと思います。は教員として大切な素養を学ぶ場ですが、人間関係づくりができるチャンスでもあります。

まずは、近隣の学校、同じ校区の異校種(小学校と中学校など)で同じ新任の人とつながりがつくれるとよいですね。特に最近は、大学を卒業してそのまま教員になる人が少なくなっているのに対し、講師や社会人を経て教員になっている人が増えています。様々な経験をしてきた人の話は、教職に関係のない話でも新社会人にとってとても参考になるでしょう。

また、研修の提出書類や課題などは年度によって異なるため、先輩教員に尋ねても分からないケースが多々あります。そのような時に頼りになるのが、共に研修を受けている同期たちです。初任者研修を終えた後も「2年目研修」や「中堅教諭資質向上研修」などで顔を合わせることになります。

教員には異動がつきものですが、今後、赴任先に同期がいれば心強いでしょう。長い教職人生において大きな出会いになることが多いので、最初のつながりを大切にする意識をもちましょう。

3.保護者とのつながり

教員として仕事をしていく上で保護者との連携はとても大切ですが、「初任者」に対して、2つの両極端な考え方があることを理解しておく必要があります。

一つは、初任者に対して温かい視線を持っている場合。若くて新しい視点を持っている初任者は、子どもと一緒に活動してくれるだろう、と考える保護者は一定数います。初任者であるための未熟さは理解しているが、その分、若さや活動量でカバーしてくれると期待しています。

他方、未熟な指導力を心配する保護者が多いのも事実です。特に前年度に何かしらの問題を抱えていた学年を持っている場合、保護者は学校や初任者に対してさらに大きな不安を抱えてしまいます。

初任者が保護者とのつながりをつくっていく上で大切にしてもらいたいのは、「初任者をどのように見ているのか」を踏まえることです。初任者は、できるだけ早く保護者と良好な関係をつくりたいと焦ってしまうかもしれませんが、じっくりと相手の反応、周りの反応を見て対応していきましょう。子どもの反応と保護者の反応は全く違います。難しいかもしれませんが「空気を読みながらの対応」が大切です。

4.学校関係者とのつながり

学校にはたくさんの人が出入りをします。教材を納品する業者、工事関係者、地域の方々など学校に出入りする人は様々です。こうした人とも「つながり」を作っていくことはとても大切です。

ただ、ここでのつながりのつくり方には注意が必要です。なぜなら、利害関係者との接点を持つことに関しては、教育公務員として服務規程に違反するケースがあるためです。

国家公務員倫理法の第二章「国家公務員倫理規定」(第五条)では、国家校務員が利害関係者から金品や供応などの利益を受けることを厳しく規制しています。地方公務員である公立学校の教員についても、この法律に準じて規制されています。自治体によっては厳しくルール設定されているところもあります。業者とのつながりには特に注意をして、判断が難しい場合は即答を避け、周りの教員に相談しましょう。

地域の人も同じで、学校に近づくために寄ってくる人もいます。登下校の見守りや学校ボランティアでお世話になっている人には敬意を払い、困ったことがあれば相談に乗ることも大切ですが、危機感を忘れないようにしましょう。

人や立場に応じたつながりを構築しよう

ここまで初任者に大切な4つのつながりを紹介してきました。教員である以上、子どもとの関係づくりの大切さは言うまでもありません。円滑に職務に取り組み、より良い教育を提供するためには、社会人としてのつながりづくりも欠かせません。

良好なつながりは、時に自分を助け、励ましてくれるものにもなります。相手の人間性、立場の違いなどをよく考えながら良好な関係作りをしていきましょう。

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