採用倍率が過去最低 人材確保に向けた取り組みは?

第1回は、教員の採用倍率の低下と、これに対する取り組みについて紹介します。

文部科学省が令和4年9月に公表したデータによると、令和4年度(3年度実施)の教員採用試験で、小中学校、高校などを合わせた全体の採用倍率が3.7倍(平成3年と同率)、小学校の採用倍率が2.5倍で、それぞれ過去最低となったことが分かりました。全体の採用倍率は平成12年の13.3倍をピークに右肩下がりとなっており、教員不足が喫緊の課題となっています。

出典:令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント.文部科学省. R4年9月

文科省の中央教育審議会は、教職課程・採用・働き方などの制度を見つめ直し、優秀な人材を確保しようと、令和3年12月から特別部会(「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方部会)を開いています。

令和4年9月に開かれた第8回会議では、令和4年度教員採用試験のフィードバックと、特別部会の中間まとめが報告され、学生らが教職を目指しやすい環境をつくる方針が示されました。

現在の教職課程は、教科の指導法や、教育の基礎的理解などの単位修得がメインですが、特別部会は「強みや専門性」を身に着けるための特例的な履修制度を普及させるべきだとしています。「強みや専門性」とは、データ活用、STEAM教育、障害児発達支援、グローバル感覚などを指します。さまざまな分野の資格取得、留学などを選択する学生が教職課程と両立できるよう、後押しする柔軟な履修制度を認めていきたい考えです。

教育実習については、短期集中型の従来の履修方法に加え、「通年で決まった曜日などに実施する」「学校体験活動を教育実習の一部と代替する」といった方法を進めていく方針です。民間企業等の採用活動の早期化などによって、教職課程終盤のまとまった期間に教育実習を行うのが困難という学生たちの声が背景にあります。

また、教員採用試験については「試験実施を早期化・複線化する」「特定の専門性を考慮した特別採用選考試験を実施する」といった制度が検討されています。すでに一部の自治体で実施されている、民間企業等の勤務経験者に対する特別選考を拡充したり、実施時期を夏季のみでなく秋季〜冬季に広げたりする方針も示しています。

参考資料:『令和の日本型学校教育』を担う 教師の養成・採用・研修等の在り方について ~「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有す る質の高い教職員集団の構築~ (中間まとめ)(案).文部科学省. R4年9月

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