外国ルーツの子どもが急増 日本語指導の現状は?

第2回は、日本語指導が必要な児童生徒(外国にルーツを持つ児童生徒)の受入状況について紹介します。

文部科学省は令和3年8月4日から同年11月1日にかけて、1,788自治体の教育委員会を対象に、日本語指導が必要な児童生徒数や指導体制の現状などについて調査を行いました。

令和4年10月18日に公表されたデータ(出典:日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査結果の概要.文部科学省. R4年10月)によると、当該児童生徒数は、前回調査(平成30年度)の51,126人から、7,181人増の58,307人だったことが分かりました。

平成2年に「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法)の在留資格が再編され、平成31年には新しい在留資格「特定技能」が創設されるなど、入管法の改正が繰り返され、在留外国人数は急速に増えています。こうした背景から、外国ルーツの児童生徒は増加傾向にあります。 

当該児童生徒が急増する一方で、日本語指導または教科の補習など、特別な指導を受けている子どもの割合は、平成20年以降、横ばい、または減少気味で、学校側の整備が追い付いていませんでした。しかし、令和3年は外国籍が91.0%、日本国籍が88.1%に増加しており、急速に整備が進んだことが分かります。

1,788の自治体によると、調査時点で日本語指導の支援者は5,902人、母語支援員は5,484人が登録されており、主に会計年度任用職員やボランティアが引き受けています。しかし、依然として適切な指導が受けられない児童生徒が多くいるのも事実です。

指導が行き届かない原因として、「人材確保のための予算不足」や、「児童生徒の母語の多様化」「日本語を基礎から指導できる人材の不足」などの問題点が挙げられています。日本語指導に関する研修も実施されていますが、「当該児童生徒の受入れが不定期で、計画的に研修を行うことが難しい」「講師の確保が困難である」といった意見もあります。

指導側や当該児童生徒の負担軽減のため、文科省は音声教材などのICT教材の活用や、語学力などの専門知識を持つ学生の教職支援などを進めていきたい考えです。

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