教員になるか悩んでいる方必見! 教職の魅力とは?

教員という職業は、業務量も多く、子どもを預かる責任も重大な大変な仕事です。自分が教員に向いてないと自信を失ってしまう学生も少なくはないでしょう。しかし、教員にしか味わえない、かけがえのない喜びもたくさんあります。

子どもたちから信頼されることは、教員にとって最高の喜びです。子どもたちに頼られることや、卒業後にも連絡をもらえるといった経験は、いわゆる「教師冥利」に尽きます。

今回は、教員になるべきか悩んでいるあなたのために、失ってしまった自信を取り戻すための方法と教員という職業の魅力をお伝えします。

ライター

安部慎也先生

・青森県公立中学校に19年勤務

・指導主事を経て、現在は学校現場に復帰

・「独立総合教育政策研究所」の所長を務める

自信をつける方法とは?

いまあなたが教員に向いていないと感じていることは大切なことなのです。教員は、常に学び続けなければなりません。「自分は大丈夫」と過信してしまうより、現状に満足せず「学ぶ姿勢」と「向上心」を持つことが大切です。

リフレーミングをしよう!

まずは、「教員に向いていない」と思ってしまったあなたが自信を取り戻すために、その理由を分析しましょう。教員に向いていないと感じられる理由は、人それぞれありますが、「子どもと接することが苦手」、「人前で話すことが苦手」など様々な理由が考えられます。

しかし、これらは一見、短所のように見えますが、視点を変えてみると長所にもなるのです。

例えば、「子どもと接することが苦手」ならば、「適度な距離を保つことができ、毅然とした指導ができる」という長所に繋がります。自分の弱みに固執せず、自己分析をしてあなたの強みに繋げてみましょう。

正しい知識と情報を収集しよう!

教員になることを悩んでいる方の中には、いわゆる「学級崩壊」を恐れている人もいるのではないでしょうか。

筆者の周りでも実際に苦労をした人がいました。

はじめて生徒指導担当の校務分掌を受け持った教員は、そこではじめての学級崩壊を経験をしました。彼曰く、「今までの経験や指導技術が目の前の子どもたちに通用せず、心身共に大変に疲弊してしまった」そうです。彼に足りなかったのはいったい何だったのでしょうか。

それは正しい知識や情報でした。事実、後にその教員は、アドラー心理学に関する書籍を読み、子どもとの関わり方を大きく転換し、子どもも自分自身も心理的安全性を保った学年・学級経営をすることができたと語っています。

学校現場では、教員自身の経験や勘に重心が乗った偏った指導が行われてしまうことがあります。しかし、実際には、心理学をはじめとした科学的なアプローチが必要なことが多々あるのです。もし、あなたが学校現場で働く中で、子どもとの信頼関係が上手く構築できなかったり、仕事がうまく回せないといった悩みや困りごとを感じたとしましょう。そのとき、自分には能力がない、教職には向いていないと安易に結論づけてほしくありません。そうではなく、自分にはその問題を解決するための何かしらの正しい知識・情報が足りていないのでは?と考えてみてください。

経験や勘だけに頼らない、客観的な正しい知識や情報を掴むことが重要なのです。そのためには、学生卒業後も学び続ける姿勢を持ち、自身の専門教科外の知識や法令について知ることが重要になってきます。これこそが、教育公務員特例法第21条「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」の本質的な意味なのではないでしょうか。

相手の気持ちを考えよう!

子どものことを理解するために一番大切なことは何でしょうか。家庭環境や成育歴、学力などでしょうか。筆者はそれらよりも、「自分が生徒ならどう思うか」という他者視点を大切にしています。

例えば、授業の準備をしているときに導入や展開がうまくいくかどうか不安になったとしましょう。ここで大切なのは、子どもの気持ちに憑依することです。私は、自分が授業を受ける側だったら、この活動、この課題は楽しいと思えるか?取り組んでみたいと思えるか?難易度は適切か?を考えるようにしています。答えがNo!ならば、思い切って導入の方法を変更したり、課題の量を減らすようにしています。教員が自信を持てずに不安な気持ちで授業をすると、まず間違いなくそれが子どもに伝わります。自分の授業や発言に自信を持ち、常にご機嫌な状態を維持するためにも、「自分が生徒なら」授業や学級はどういう状況が嬉しいかを意識してみることを習慣にしてみるのはいかがでしょうか。

また、今日の指導で明日改善されているということはそうそうありませんし、指導の効果が出たと思っても、子どもですから時間とともに薄れていくのが当たり前です。長いスパンで、あきらめずに待つことです。教員は「待つこと」が苦手な人種と言えます。今日の指導がその子の数年後に成果となって表れることはよくあることです。あなたの小・中学校時代を思い出してみてください。担任教員の一言で今も心に響いていること、ないでしょうか。

教員にとって一番大切な資質とは?

長い期間教員をしている筆者が実際に向いていないと感じたのは下記のような人でした。

・問題を全て他人のせいにしてしまう人 (過信せず、学ぶ姿勢でいよう!)

・「ありがとう」「ごめんなさい」が言えない人 (子ども達のよい見本となろう!)

・辛いときに助けてと言えない人 (頼れる時は頼ろう!)

最も教員の資質として大切なことは、常に笑顔を絶やさないことです。いつも笑っている教員に子どもたちは親近感を覚え、周囲に集まってきます。逆はどうでしょう。いつも眉間にしわを寄せている、笑うことがない教員の近くに子どもは集まってくるのでしょうか。また、心を開いて相談できるでしょうか。ここで一番重要なのは、本当に向いていない人というのは、「笑顔でいられない人」このたった一点です。最大の教育環境は、教室の掲示物でも校庭の花壇でもありません。教員そのものの在り方、つまり上機嫌で明るく振る舞う教員と言えるでしょう。

教員の働き方改革から教員のやりがい改革へ

昨今、学校現場でも働き方改革という言葉が市民権を得るようになりました。確かに、教員に課せられる業務の量は、授業や学級活動を通して子どもたちと触れ合う時間のみならず、数多くのペーパーワークもあります。これらをスリム化し、子どもに寄り添う時間、自分の授業に磨きをかけるための時間、つまり、「やらなければならない業務」よりも「あなたがやりたい業務」のための時間をいかに確保するかという流れに学校現場は向かっています。

しかしながら、その改革はまだまだ道半ばというところではないでしょうか。なぜなら、単純に業務を減らすという視点だけでは、教員のどの仕事も大事に思えてしまい、なかなか思い切った業務削減が出来ないからです。また、長らく続いた慣習や、行政の仕組みの変革には時間がかかるものです。

では、現場で働く教員はどうすればいいのでしょうか。それは、自分の仕事のやりがいに視点をおくことです。あなたは目の前の仕事をやらなければいけないことと捉えるのではなく、あなたがやりたいことに時間を割けるようにするにはどうすればいいか?という視点を持って仕事に向き合うのです。すると、自ずと優先順位が決まってきます。限られた時間の中で、自分の心が踊ること、子どものためにやりたいと思えることを存分にやるために、そうではない仕事をなるべく短時間で終わらせようとするインセンティブが発生するからです。仕事の質は、価値÷時間で決まってくるという考え方があります。仕事の質を向上させるためには、価値を大きくする、あるいは、その仕事にかける時間を短くすることが大切です。そうして、やりがいのあるものの割合が高くなるほど、自分の仕事が楽しくなり、その結果、子どもの笑顔も増えるという好循環が生み出されていきます。

他の職業では味わえない! 何物にも代えがたいもの

数あるサービス業の中で、人と長く関わることができるという点が教員という仕事の特徴であると言えるでしょう。子ども達の1年間の心身の成長は凄まじく、授業でわかるようになった!できるようになった!と喜んでくれたときの子ども達の笑顔は、教員にとって最大のやりがいや生きがいとなります。

また、コミュニケーション力や自己肯定感の向上など、非認知能力の成長を見届けることができるのも教員ならではの面白さです。

さらに、教員の仕事の魅力として、創意工夫の余地が十分に与えられているという点も挙げられます。授業ではその学習内容に合わせて、展開の仕方や、活動の方法を教員が柔軟に変えることができます。現在は様々な授業形態やICT機器が提唱・導入されており、かつて一般的だった教員がチョーク1本で講義する一斉型授業以外の方法を、子どもの特性や、学習内容に応じてチョイスすることが可能です。このように、クリエイティビティな側面がある教員の仕事は、刺激と変化に富む魅力的なものと言えます。

ちなみに、筆者としては、給食の存在も見逃せない魅力の1つだと考えています。日替わりの美味しくて栄養満点の給食を1食300円台で食べられる職場を、他ではなかなか見つけられません。ちなみに、私の赴任したどの学校にも、若々しく、活力がみなぎる教員が一定数いました。日々、子どもたちと笑顔で過ごし、健康的な食事を取っていることが心身共に健康で若々しく見える最大の理由ではないかと私は推察しています。

もし起きてしまってもそのトラブルを楽しもう

学校現場で働いていると、トラブルは必ず発生します。特に、人間関係のトラブルは2人以上の人間が集まれば大なり小なり必ず発生するものです。

人は誰ともかかわらずに生きていくことは出来ません。大事なことは、トラブルを「悪」とするのではなく、トラブルからも「学びを得て」よりよい人間関係を再構築しようとする視点ではないでしょうか。子ども同士のトラブルであれば、教員は何が問題であったかを整理し、当事者である子どもが今後どのようにしていきたいかを明確にし、その後の具体的なアクションを考えさせるファシリテーションをすることが大切です。それこそが子ども同士のトラブルにおける教員の真の役割であると思います。

教員が全てを引き受けて、子どもが解決するはずの課題まで取り上げてしまうことは、子どもにとっても教員にとっても好ましくないことだと考えます。また、保護者とのトラブルでは、「事実」と相手の主張する「意見」とを区別することが重要になってきます。例えば、あなたの学級でいじめが発生し、該当する子どもの保護者から様々な要求がなされたとしましょう。その際に、教員が言われるがままになったり、あるいは保護者と敵対関係になってしまうことは望ましくありません。あくまで話し合いでは「事実」を共有し、そこからどんな手を講じれば、子どもに気付きや新たな視点を供与できるかを考え、問題解決に向けた建設的な「意見」を交換することが重要です。トラブルを俯瞰し、当事者視点を持ちながら、解決のための役割を明確化してそれに専念します。

社会人における仕事の本質とは、困りごとを解決することです。トラブルが起きた時こそ、自分の出番がやってきた!というポジティブな気持ちでそれに向き合うことが大切です。そして、子どもたちもトラブルを楽しみ、それを乗り越えていく度量を高めて欲しいものです。つまり、「寛容さ」を教員自身がもつことに尽きると考えます。 

「人」が好きなら教員に向いていない人はいない

教員に向いていないと思う方に共通して言えるのは、そう「思い込んでいる」ということです。子どもがあまり得意ではないからという方もいます。しかし「子ども」ではないのです。教員という職業は一人の人間の人生、キャリアにさえ影響を及ぼす仕事でもあります。いわゆる「ものづくり」ではないのです。職人芸という感覚も、腕の良さという感覚もこの職業にはありません。必要なことは、子どもを人格をもつ「人」として捉え、「ま、いいか」という寛容さを自身にもつことが大切です。

確かに子どもと接する時間よりもペーパーワークも多い仕事と言えるでしょう。教員に向いているか向いていないか、子どもとしっかり向き合う前に自分で判断しないことです。どの職業にも関わらず、最初は右も左もわからずに苦労するわけですが、大丈夫です。あなたが教員になろうとするのではなく、あなたの周りの子どもたちがあなたを教員にしてくれることでしょう。この魅力とやりがいの宝石が日々ちりばめられている学校現場へ、ぜひ足を踏み入れてください。大勢の子どもたちがあなたを待っています。

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