誰もが通る、春のドキドキとワクワク。
今までとは異なった人間関係や周りの環境に、緊張をしているのは教員も生徒もみんな同じです。
全てが新しいことばかりの手探りの春に、もってこいのアイスブレイク参考集を、今回は【教室編】として紹介します。
教室で行うアイスブレイクのメリット
そもそもアイスブレイクとは、集団の心をほぐし円滑なコミュニケーションをとるために働きかける技術のことを言います。氷のように固まった場の空気や心を、教員としてどのようにほぐしていくのが効果的なのでしょうか。
まずは、教室でアイスブレイクをするメリットを、いくつか紹介します。
狭い空間で、落ち着いた空気を作り出すことができる
生徒たちは最初は誰でも、楽しみや不安からテンションが上がりやすくなっています。友達作りに必死になったり、自分をアピールしたくてたまらなかったり、ついつい大きな声が出てしまうことがあります。そんな時に、運動場や体育館などの広い空間に行ったら、どうなるでしょうか。ますます心が解放され、集団としての秩序が保たれなくなってしまいます。そのため、最初は教室の狭い空間で、学級全体で落ち着いて何かを行う、という一体感を感じさせることが大切でしょう。
全員の顔をしっかりと見ることができる
小学校や中学校であれば、幼なじみや知っている友達がいて、ある程度の顔は分かるかもしれません。しかし、高校や転校してきた生徒がいる場合は、まず全員の顔を覚えることが優先されます。教室では、起立したり前に立ったりすれば、全ての生徒が主役になって顔を見せることができるので、おすすめです。
声を届けやすい
緊張している生徒や恥ずかしがり屋な生徒にとっては、大きな声を出すということは、なかなかハードルが高いミッションです。教室で静かな空間であれば、小さな声でも割と声を届けやすいのではないでしょうか。隣の席の生徒が優しくフォローしてくれる、ということも期待されます。
黒板やホワイトボードを使った活動ができる
黒板やホワイトボードの使い方は無限にあります。例えば、多数決をとる・気をつけることを書き出す・漢字やイラストで伝える・磁石で掲示をするなど、少しの工夫で様々な使い方ができます。アイスブレイクの活動がぐんとスムーズになるので、ぜひ活用したいところです。
注意点
アイスブレイクは、『とにかく楽しければいい』という訳ではありません。教員側が気を付けなければいけないポイントがたくさんあります。
まず重要なことは、ルールを明確にしておくということです。ルールが子供達全員に周知されていなかったばかりに、トラブルが起こることも考えられます。全員が納得するまで、丁寧な説明をしましょう。場合によっては、教員が実際に例をやってみせる、そしてあえて失敗してみせるという技も効果的です。
次に、勝敗がつくアイスブレイクを行う場合、敗者が一人ぼっちという設定にしてはいけません。ですが、敗者がチームや集団であれば、大きなトラブルにはなりません。勝敗にはあまり拘らず『勝っても、負けても楽しかったよね!』という温かい雰囲気を作り出しましょう。
また、終了の時間を知らせておくことも大切です。『5分だけね』や、『3回やったらおしまいだよ』など、あらかじめ目安を伝えておきます。そうすることで、盛り上がり過ぎてしまった時に落ち着いた雰囲気を取り戻しやすくなります。次の活動へ移りやすくする工夫をしましょう。
参考例
ではここから、教室で行えるアイスブレイクの参考例を紹介します。
セブンイレブンじゃんけん 《難易度…★☆☆ 人数…何人でも》
①全員起立し、よーいどん!の合図で、じゃんけんを行うペアを見つける。
②ペアが見つかったら、『セブンイレブン、じゃんけん、ポン』のかけ声で、片手で0~5までの数字を片手で出す。
③ペアの出した数字が、足して7になれば成功。成功するまで『あいこでしょ』のかけ声で続ける。成功したら握手をして別れ、次のペアを見つける。
④次のペアとも同様のじゃんけんをし、成功したら自分の席に座る。つまり2人と成功したら着席。
⑤全員が着席したら終了。
ワンポイントアドバイス
・応用編として、じゃんけんを両手で0~10までの数字を出せるようにルールを変更することもできます。
→ペアの出した数字が11になったら成功。後のルールは先程と同様。
インパルスゲーム 《難易度…★★☆ 人数…何人でも》
①学級全員が手を繋ぎ、一列になるようにする。立っても座ってもどちらでも良い。
②よーいどん!の合図で、端の人から順々に手を握っていく。
③もう片方の端の子供がストップウォッチを持ち、よーいどん!から、自分のところに刺激が来るまでの時間を計測する。
④最初に時間を全員で予測し、その予測とのズレを楽しむ。
ワンポイントアドバイス
・目を閉じる、声を出す、手を握るのでは無く拍手にしてみる、アイコンタクトをして手を握る、など、様様なバリエーションで予測をしてみることもいいでしょう。生徒たちの方から、バリエーションが提案されると、なお良いですね。
・チーム分けをして予測と実際の時間のズレを競争し合ったり、スピードを勝負したりしても面白いです。
喋っちゃダメよゲーム 《難易度…★☆☆ 人数…何人でも》
①よーいどん!の合図で、クラス全員が、誕生日順に並ぶ。
②ただし、一言も喋ってはいけない。ジェスチャーや紙に書いて相手と意思疎通をし、並ばないといけない。
③最後に教員が一人ずつ確認し、順番通りに並ぶことができたら成功。
ワンポイントアドバイス
・誕生日では無く、くじ引きで引いた数字などでも応用可能です。
私はだ~れだ? 《難易度…★★★ 人数…何人でも可能だが、少人数の方が面白い》
①箱の中にお題の入った紙を入れ、一人がそれを引く。
②他の子供達は、挙手をして『あなたは食べ物ですか?』『あなたは何色ですか?』と質問をし、お題を引いた生徒は『はい』か『いいえ』でしか返事をしてはいけない。
→最終的に、お題が当たるまで何度も繰り返す。
ワンポイントアドバイス
・始めのお題は、文房具や食べ物などにしておき、慣れてきたら先生の名前やクラスメイトの名前で行っても楽しい。
サイコロトーク 《難易度…★☆☆ 人数…5~6人》
①グループで輪になり、順番にサイコロを振る。
②サイコロの目には、『好きな食べ物』『好きな教科』『最近のマイブーム』『実は○○なこと』『ちょっと面白い話』『なんでもトーク』など、お題をあらかじめ書いておく。中学生や高校生は、グループ毎に好きなお題を自分たちで考えて書かせても良い。
③サイコロのテーマに関して、一人30秒~60秒程度お話をする。
④時間が経ったら、拍手をして次の人にサイコロを渡す。
→繰り返し
ワンポイントアドバイス
・グループでサイコロを振るかけ声を決めたり、お決まり文句を決めたりすると盛り上がる。
わらっちゃダメゲーム 《難易度…★☆☆ 人数…何人でも》
★制限時間は30秒。
①教員が前に立ち、ストップウォッチを持って、真顔で30秒計る。
②生徒たちは教員の方を向き、30秒間絶対に笑ったり、喋ったりしないようにする。
③急にシーンとなった雰囲気や、真顔の教員の顔を見て、誰かが思わず吹き出してしまったりしたらアウト。連帯責任として、全員で最初からやり直し。
ワンポイントアドバイス
・慣れてきたら教員が変な顔をしてみたり、教員がいなくてもクラス全員で輪になって行ったりしても面白い。案外、30秒間人の顔を見つめる、見つめられるのは難しいことが分かる。
その他
ここまで、アイスブレイクの教室での参考例を紹介しました。入学式や始業式が終わった後、着任式や離任式、学年集会や生徒集会など、気を引き締めなければいけない時間が多く続きます。そんな時、ふっと心が解放される時間を教員が提供してあげることで、生徒たちは学校生活の中に喜びや楽しみを見つけられるようになります。
多くの時間をかけて準備をする必要はありません。身近な物を使い、少しだけ柔軟な発想をもつことができれば、良い時間を作ることができるでしょう。