【小学校教員向け】体育の授業の質を高めるためにやるべきこととは?

教員に限らず、運動することを苦手又は好きではないと感じている大人は少なくありません。人生100年時代と言われる現代において、適度な運動を生涯続けていくことは人生を豊かにするために非常に大切と言えるでしょう。また、近年子どもの体力低下が懸念されています。コロナ渦で大勢での活動を制限されたことでこの問題は更に大きくなっていると考えられます。そんな中、学校で運動について指導を行い、身体を動かすことの大切さや楽しみ方を伝える教員の役割は大きいものです。

本記事では、小学校教員が体育の授業について苦手意識を持ちやすい理由と、運動を苦手とする教員でも子どもへの指導の質を高めるための考え方やるべきことを解説します。

小学校教員が体育の授業について苦手意識を持ちやすい理由

国語や算数といった主要教科であれば、指導に時間のかかる子どもがいてもできる子どもへ新たな課題を設けることである程度は対応できます。しかし、体育の授業において身体を動かしたくてウズウズしている子どもにとって、待ち時間は苦痛なものです。教室での授業のように、別の取り組みをさせてしまうと怪我やトラブルのリスクが伴うこともあるでしょう。また、できない子どもに指導レベルを合わせると、できる子どもにとっては退屈な待ち時間になるかもしれません。できるできないの差が大きいほど体育の授業は、その授業の目標をどこにおくかが非常に難しいのです。

また、教員自身が運動することに苦手意識を持っている場合も少なくありません。指導する側が経験豊富でその競技に自信を持っていると授業計画も充実するものですが、教師が運動することに対して苦手と感じていたり、全くの未経験分野だったりした場合「どう指導したら良いのだろう」と悩んでしまいます。

公立小学校の多くは学級担任制で、1人の担任が20〜30人程度の子どもへ全ての教科を指導するためもちろん体育の指導も行わなくてはいけません。どの教員でも子どもへの指導はより充実したものにしたいと考えるはずです。しかし、実際に子どもたち全員が満足し楽しいと感じられる授業をすることは難しく、怪我のリスクがある体育の授業においては更に難しいと感じてしまうのでしょう。

このように、小学校教員が体育の授業について苦手意識を持ちやすい理由は

  • 子どものできるできないレベルの差が大きいこと
  • 教員が運動することに対して苦手と感じていること

が挙げられます。

体育の授業の質を上げるために

教員が運動が苦手であっても、子どもに対する指導の質は高めたいものです。以下のポイントを念頭に置いて指導にあたってみてはいかがでしょうか。

ポイント1:体育の目的を考える

そもそも学校教育における体育の目的は「心と体を一体としてとらえ、適切な運動の経験・安全についての理解を通して、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持推進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる」と学習指導要領に明記されています。つまり、生きていくために運動の大切さを感じることが大切なのです。技術の向上などといったできる・できないよりも、運動に親しみを持ち生涯にわたって運動を楽しむための経験をさせることが大切というわけです。

参考文献参照:文部科学省、小学校学習指導要領(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/tai.htm)、平成21年3月(参照2022-05-30)

ポイント2:ルールを明確にすることを徹底しよう

先述した通り、体育の目的は運動を楽しむことです。どんなスポーツでもルールがあり、体育の授業で係る運動も同様に、ルールを守ることでその楽しみを味わうことができます。その運動に係るルールを明確に伝え、そのルールをしっかり守ることを指導しなくてはいけません。安全管理についても同じで、授業開始時に危険なことや注意点を指導して徹底させることが大切です。みんなでルールを守って、安全な環境で運動に親しむことで集団行動の基礎を育てることにもつながるかもしれません。

ポイント3:教員自身が苦手なら、できない子どもの見本になれる

体育の授業で難しい部分の一つに、「できない子どものやる気を引き出すこと」が挙げられると思います。体育が苦手な子どもは、自分ができないことへの劣等感や羞恥心があるでしょう。そんな時、担任教員が「自分も苦手だけれど、ココまではできるよ!」「ココをこうするとこの運動は楽しめるよ!」などと子どもたちの気持ちに寄り添うことができると、「先生でもできないのか」「できなくても楽しめるのかも」と運動へのハードルを下げることができます。運動が得意な子どもに見本となってもらうこともおすすめです。教員が見本となるよりも苦手な子どもと同じ目線で考えることができ、得意な子どもにとっては自信が持てる体験ができます

ポイント4:説明は手短に!とにかく身体を動かす

口頭での説明が多い体育の授業は、子どもたちの満足度が低くなる傾向があります。実際にたくさん身体を動かし、経験させていくことでその運動の楽しみを感じられるので、口頭での説明は必要最低限にしておくことが大事です。ポイント2で紹介した、ルールの徹底の中に「先生の話をしっかり聞くこと」を取り入れ、なるべく手短に説明するように心がけましょう。そして、体育の授業は事前準備が大切です。その運動のポイントを抑えて、できる子どもはどこまでできるかを予想し、できない子どもも一緒に楽しめるルール作り等の計画を練る必要があるからです。綿密な計画を立てることで、無駄な説明や準備時間を省き、たくさん身体を動かせる授業作りができます。

満足度の高い授業の例

小学校2年生「走・跳の運動遊び」を例に挙げます。例えばゴム跳び・けんけんぱ・後ろ向き走りを織り交ぜたリレーゲームです。この授業のポイントは以下の5つです。

  • ゴムを使用することで怪我のリスク回避と恐怖心を軽減する。
  • ゴムの跳び方は、両足跳び・片足跳びどちらでもOKとすることでレベルの差をつける。
  • 一人では体験できない、競うことを楽しむためにチームで競争させるような展開にする。
  • 5〜6人程度のチームで、何もしない時間を減らしてたくさん身体を動かす。
  • 競争が終わったら、上手な子どもを見本として振り返る。

リレーゲームを開始する前には、色々な跳び方をみんなで考える時間を作るといいでしょう。また、この競争で危険なポイントは後ろ向き走る時の衝突です。速さも大切だけれど、安全にゴールするために後ろを気にしながら真っすぐ走るように指導します。

ゴム跳びは、高く跳べない子どもでも怪我することなく挑戦できるのでおすすめです。跳ぶ・走る運動は組合せ次第では何年生でも楽しむことができる基礎的な運動なので、低学年の授業ではなるべく苦手意識を持たせないように配慮するようにこころがけましょうしておくべきです。

一番大切なのは運動することへのハードルを下げてあげること

学校教育において教員が子ども達を指導する大きな目標は「生きる力」の育成です。長い人生をより豊かで充実したものにするための力を養わせるのです。学校生活を通して様々な経験をさせるのが教員の役割ではないでしょうか。その中の一つに体育があります。体育を通して運動することの大切さや楽しさを学ばせ、気軽に身体を動かすことができるようにそのハードルを下げられる指導が必要です。

「上手になってほしい!」「できる子になってほしい!」といった思いはもちろんですが、子どもが楽しんで取り組めるか、目いっぱい身体を動かせるのかを重視して指導計画を練ってみてはいかがでしょうか。

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