教育専門用語とは?教育現場や採用試験で使われる用語を知っておこう!

どのような業界でも「業界用語」というものが存在し、教育現場でも様々な専門用語が使われています。新任教員だけでなく、教員採用試験を受験をする予定の方も試験で教育専門用語が出てくるので、覚えておきましょう。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

絶対に知っておくべき業界用語5選

今回は、新任教員や教員志望者が知っておくべき、業界用語5つを紹介します。これから教員として活躍する予定の方は、この5つを知っておくだけでも、仕事の効率化につながりますよ。

毎週の記録を残す「週案」

教員になると「週案」の提出を教務主任や管理職から求められます。週案は、その週に指導をした内容や時間数を記録するもので、毎日の日記のようなものです。地域によっては「進度表」と呼ばれているところもありますよ。一般的には、時間割(小学校であれば担任自身、中学校であれば時間割担当)が決まった時点で週案を作成し、今後どのように授業を展開するのか予定を立てます。そして実際に授業を行った内容を残します。感染症や台風に伴って休校などの措置が取られた場合には、週案の予定を変更しなければいけません。

なぜ、週案が必要かというと「標準授業時数」を証明するためです。文部科学省は、1年の間に実施しなければいけない授業時間を「標準授業時数」として示しており、中学校1年生の国語の場合は、「140時間」の授業をしなければいけません。教科書会社が作成している学習カリキュラムも標準授業時数で実施できる量になっています。時数を上回っていない場合、最悪未履修とみなされてしまいます。(新型コロナによる一斉休校の際には特例として時数を下回ってもよい通知が出ました)

もう1つは勤務状況を証明する役割もあります。正規教員の場合、授業時間数で給与は決まりませんが、非常勤講師や時短勤務者は授業時間数で給与が決まります。週案は、自分が何時間働いたのかを証明する大切な文書になります。

参考文献:標準授業時数の在り方について,文部科学省,https://www.mext.go.jp/content/20200205-mxt_kyoiku01-000004708_9.pdf(参照2023-10-06)

授業を進める道しるべ「カリキュラム」 

2つ目が「カリキュラム」です。カリキュラムとは、学習内容を単元や1時間ごとに区切って作られている授業の進め方の資料です。教科ごとに準備されており、学習指導要領を元にして、教科書会社が作成したものを、各自治体ごとに変更するのが一般的です。学校によって1時間あたりのコマの時間数が異なっているため、教科書会社作成のものをそのまま使用すると授業時間内に学習内容を終わらせることができないため、変更する必要があります。

さらに、取り扱っている教材も、スタンダードな時期に合わせて作成されているため、地域によっては学習時期の変更が必要となります。理科の授業で、実際に植物の花を見ながら花のつくりを教えたいと思っても、教科書に載っている花がその時期に咲いていないというケースもあります。

そのほかにも、長期休暇の期間に単元が分割されないようにしたり、中学校のテスト期間に当てはまるように編成し直したりするケースもあります。

カリキュラムがなければ、教員はいつまでに教えればよいのか、1つの単元を何時間で終わらせるのか分からなくなり、授業に遅れが出てしまいます。1年の学習を何度かやっていると進度のイメージが付きますが、経験の浅い先生や新任教員は、必ずカリキュラムを確認して週案を作成しましょう。

参考文献:学習指導要領「生きる力」,文部科学省,https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/(参照2023-10-06)

配慮も必要な「準要」「要保護」 

3つ目は、「準要(準要保護者)」「要保護(要保護者)」です。保護者の経済的な理由で就学援助を受けている子どもは、令和3年度の段階で準要は全国に約121万人、要保護は約9万人います。1つのクラスに2から3人居ても不思議ではない数字です。就学援助を受けている子どもは、さまざまな補助があり、準要の世帯は、自治体の裁量で補助が決まりますが、主なものとしては給食費の無償化やPTA会費の補助が付きます。要保護の世帯になると、修学旅行費や通学用品費などの補助も付いてきます。月々の集金額を決定するときに2つの世帯は金額が違うので注意しましょう。また、就学援助を受けているかどうかは重要な個人情報になります。他の児童生徒や保護者に分からないようにする配慮も必要です。

参考文献:就学援助制度について(就学援助ポータルサイト),https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/017.htm(参照2023-10-06)

大切な記録「要録」

4つ目は、児童生徒の学籍を証明する重要な書類の「要録」です。正式名称は「指導要録」と呼ばれており、学籍に関する記録になる「様式1」と指導に関する記録の「様式2」があります。かつては紙媒体で記録し、保管することが一般的でしたが、最近は、電子媒体になり、デジタルデータとして保管する学校も増えています。『学校教育法施行規則第24条第1項』に定められている公式な書類であり、卒業後も20年間の保管が義務づけられています。

普段は要録を触ることは少ないのですが、年度末に最終成績を要録に記録し、その学年で頑張ったことや係活動、クラブ活動、中学校であれば部活動などの記録を記載します。子ども一人一人の履歴書に該当するもので、転出をする際には、コピーを取り原本は転出元で保管、転出先には原本証明したものを送付します。書類上、学籍の期間が途切れていると良くないので転出日や転入日を明記し、在籍期間に途切れがないよう処理しなければいけません。また、保護者の変更(離婚や再婚など)、転居(校区内転居に伴う住所の変更など)が起きた場合も記録します。

要録はその学校に在籍していたことを示す大切なものです。卒業後に在籍証明(就職や留学など)を求められたときは、卒業生が取りに来るケースもあり、その際は、要録を確認しながら卒業証明を作成します。

参考文献:小学校指導要録,文部科学省,https://www.mext.go.jp/component/b_menu/nc/__icsFiles/afieldfile/2019/04/09/1415206_1_1.pdf(参照2023-10-06)

4月に分担が決まる「分掌」

5つ目は、「分掌」です。学校での仕事は担任以外にも、不登校対策主任や安全担当、生徒指導担当などさまざまな仕事があります。他にも学年会計担当や清掃分担場所の担当割を含めると一人の教員が何役も担うケースがあります。こうした役割分担を「分掌」と呼び、管理職の教員を中心として前年度の段階から決められていきます。昨年度と同じ担当であれば、そのまま仕事をすればよいですが、分掌が変更になる場合には引き継ぎを新年度になったら始めなければいけません。

例外として、分掌発表を前年度の3月に行うケースもあります。これは前任者が転勤や退職などによって引き継ぎができない、4月早々に準備ができてなければいけないケースです。この際には3月末の段階で管理職から話があり、個別に一部の分掌が通知されるケースもあります。

教育専門用語を理解して業務がスムーズに行おう

今回取り上げた用語5つは絶対に学校現場に出たときに耳にする言葉です。最初から意味を知っているだけでも楽ですし、どんなものなのか分かっていれば、スムーズに仕事を進めることができることにも繋がります。これから現場に出ていく人は、さまざまな教育用語、業界用語を知っておくだけでも気持ちが楽になりますよ。

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