3学期突入とともに始動!知っておきたい次年度に向けた人事の動き

3学期は「次学年の0学期」とも言われます。子どもたちに進級への意識づけを行う教員も多いのではないでしょうか。実は、3学期は子どもたちだけでなく学校教育に関わるあらゆる人にとって大切なタイミングです。自治体の教育委員会を筆頭に、学校現場でもバタバタと次年度に向けての動きがスタートします。

その中でも、「誰をどの学校に配置するのか」という自治体レベルでの人員配置は早い段階で調整が始まることが多く、3学期に突入する頃には新しい組織体制の大枠が決まっているのが一般的です。本記事では、一般の教員にはあまり知られていない新年度の組織編成における動きについて紹介します。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

教員の人員配置は教育委員会主導で決まる

学校間における人事権を持つのは、基本的に各自治体の教育委員会です。3学期に突入する前後のタイミングで、校長・教頭・主幹教諭といった学校運営の軸となる立場の人、一般の教員、講師など、それぞれの基準や目的に沿って次年度に向けた組織編成の検討が始まります。

校長・教頭・主幹教諭は試験合格者の中から選ばれる

校長・教頭・主幹教諭は、秋頃に実施される任用試験の合格者の中から各学校または出向の形で外部機関(都道府県の教育委員会など)に割り振られるのが一般的です。どこに誰が配置されるかは、基本的に指定研究や特性などとの兼ね合いで決まります。

校長・教頭は一般の教員よりも該当者が少ないですが、1校あたりの在任期間が短いため異動件数自体は多い傾向にあり調整は容易ではありません。

主幹教諭においては設置が義務化されていないため、そのポストが用意されている学校の中から赴任先が決まることになります。任命権は各自治体の教育委員会にあるものの、学校長からの推薦がある場合は考慮した上で最終判断を行うのが一般的です。

講師は人員不足のポジションに当てはめられる

常勤、非常勤に関わらず、講師は正社員の教員で埋められなかった部分を補う形で配置が決まります。その特性上、採用自体がないことはよくありますが、枠が発生した場合は講師登録をしている人の中から条件に合う人に連絡があるのが一般的です。

内示は校長からスタート

学校組織におけるトップである校長を筆頭に、配置が決まり次第内示が行われます。その順番とスケジュールの目安は以下の通りです。

①校長・教頭

条件の1つである任用試験の結果は大体12月頃までに判明します。合格者が分かり次第すぐに校長の調整が始まり、続く教頭ともに、1月上旬までに各自治体の教育委員会から該当者へ内々に通達されるのが一般的です。

校長・教頭は学校に限らず地域の教育運営の責任者でもあるので、影響範囲や引き継ぎの期間を考慮し、特に早急に人選が行われます。

②主幹教諭

校長・教頭に続いて内示を受けるのは、中間管理職の立場である主幹教諭です。

主幹教諭の配置が決まり通知が済んだら、新編成における学校運営の軸になる人たちの配置が完了したことになります。

③一般の教員

一般の教員への通達は、そのほとんどが3月中旬以降に行われます。これより前の段階で調整が難航している場合は、通知の完了が新学期直前までもつれ込む可能性も0ではありません。

ただし、異動の対象となりうる教員には、あらかじめ個別に通知されることが多いので、遠方へ異動となった場合でも心構えはできるでしょう。なお、実際に引っ越しなどに動き出すのは正式な内示があってからが安心です。

いずれにせよ一般の教員が内示を受けるのは、学年末の事務処理や修了式、春休みの準備など、多忙なタイミングに重なります。何が起こってもいいように、計画的にいろいろなことを処理していくことが大切です。

新任の教員の場合でも、基本的には一般の教員と同じタイミングで内示を受けます。

採用試験の合格通知を受け取ってから少し時間が空くので不安になるかもしれませんが、3月になるまで動きがないのが普通です。自治体によっては1月頃に面接を受け、おおよその地域を告げられることもありますが、確定は新年度が始まる直前と覚悟しておきましょう。

④講師

新体制における最後のピースである講師が内示を受けるのは、新年度開始直前となる可能性が高いです。新年度が始まった後に担当校が変更になるといったこともよくあります。講師として登録し待機中の人は、焦らず連絡を待ちましょう。

校内人事は基本的に各学校の管理職に任されている

校内人事は、新体制の内訳が確定する前の3月中旬頃から検討が始まることも珍しくありません。この時、優先的に決められるのは新年度に向けて入学式の準備などやるべきことが多い1年生の担任であることが多く、その後他の学年の担当の調整が続くという流れが一般的です。

通知が完了してから動くのではあまりにも時間がないため、多くの学校では、未確定な情報を元に検討を進めておき、正式な内示が出た後に修正を加えて新年度の体制を確定させています。

なお、学校現場において人事権を持つのは基本的にその学校の校長です。ほとんどの学校では、各教員の校内配置は学年主任を軸に検討され、年齢や担当教科のバランスを考慮しながら割り振られます。

次年度の人員配置に関しては意向調査がある場合も

人員配置を検討する際の材料にするため、事前に管理職による意向調査がある自治体もあります。配慮してほしい事情がある場合には、「一任」とせず、面談の中でしっかりと伝えることが大切です。

校内人事に関して何かある場合は、遅くとも年明けすぐまでに報告するようにしましょう。

また、異動を希望する場合は、3学期が始まるよりもっと前の11月頃までに所属の校長に伝えておくのがマナーです。

次年度に向けた動きが本格化する前にやるべきことをやっておこう

3学期に突入すると、学校内ではすぐに次年度の準備が始まります。新体制における人員配置が決まりつつある2月以降は、基本的には希望を受け付けてもらえないと考えておきましょう。

次年度に向けて配慮してほしいことがある場合は、不確定でも良いので、1日でも早く管理職に伝えることがとても大切です。

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