部活動の目的と教員の役割

多くの生徒が加入し、生徒が主体となって様々な活動を行う部活動には、教育としても重要な役割があります。
この記事では、部活動の目的や教員としてどのように部活動に向き合うかについてご紹介していきます。

部活動とは学校教育の一環

最近では、部活動における体罰や行き過ぎた指導、さらには部活動そのものが社会問題として取り上げられることがありますが、そもそも部活動とは一体何なのでしょうか。

中学校学習指導要領の総則には、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。」と示されています。

つまり、部活動は、学校教育の一環として行われなければならず、教育的効果が発揮されることが重要なのです。また、部活動の実施にあたっては、平成30年3月に、スポーツ庁が示した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」において、「生徒が参加しやすいように実施形態などを工夫するとともに、生徒の生活全体を見渡して休養日や活動時間を適切に設定するなど生徒のバランスのとれた生活や成長に配慮することが必要である。」と明記されています。

以上のことから、部活動の顧問としては、自分の夢や目標のための部活動ではなく、子供達が主役の、子供達自身のための部活動の在り方を考えることが重要と言えます。

顧問としての仕事(校内)

部活動の顧問はどのように決められているのでしょうか。
実際は学校の実情によって様々ですが、どのような例があるのかいくつかご紹介していきます。

  • 小学生から高校生まで野球部に所属していた先生Aが、教員として初めて赴任した学校でも野球部の顧問を任された
  • 中学校から大学まで卓球部の先生Bは、教員として初めて赴任した学校で「テーブルテニスとテニスは似ているよね?」と言われテニス部の顧問を任された
  • 40代で歌や音楽が得意、運動は苦手な先生Cは、新任の時から今まで部活動の顧問をしたことがなかったものの今度の学校では水泳部の副顧問を任された
  • 前任校で男子バレーボール部の顧問だった先生Dでしたが、今度の学校ではバレーボール部がないため女子サッカー部の顧問を任された

このように、自分の意思とは関係なく、その学校の実情に合わせた柔軟な対応が求められます。ほとんどの場合が、「どうしよう?」と思うことばかりです。しかしながら、専門外だからといって顧問としての仕事が全くできないという訳ではなく、基本的なところはどの部活動も同じです。具体的には以下のものが顧問としての学校内での仕事です。

  1. 子どもたちへの技術的な指導
  2. 顧問間や学級担任との連絡相談
  3. 安全管理、用具点検
  4. 怪我や事故対応
  5. 保護者対応
  6. 校内研修、校内会議への参加
  7. 運営(予定表作り、会計、練習場所確保)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.子供達への技術的な指導

部活動の顧問を務める上で、最も時間と労力がかかる部分です。
自治体によっては、地域のボランティアの方と一緒に指導をしたり、外部顧問として専門的な知識を持っている方の力を借りたりしている所もあります。運動部であれば、用具の準備に始まりウォーミングアップ、基礎練習、応用練習、ゲーム練習、片付け、クールダウンなどのメニューを考えて、生徒達に指導をします。文化部であっても、準備と片付けは必ずありますし、部活動の行い方についての指導は必ず行わなければいけません。

また、技術的な指導を行う上で、自分自身も用具や服装を買いそろえなければいけない場合もあります。

2.顧問間や学級担任との連絡、相談

部活と学級は関係ないと思われがちですが、そうではありません。体調が悪くて昼食があまり食べられなかった生徒が、部活動に参加をしていた場合はどうでしょうか。顧問として、その生徒の学級担任から体調を聞いたり、保護者からの伝達事項があれば聞いておいたりする必要があります。無理をして部活動に参加したばっかりに、容態が急変することもあるからです。

また、野球部とサッカー部が隣り合わせで練習をしていた場合、フェンスもなく、お互いが好き勝手練習をしていては、衝突やボールが飛んできたときに怪我をする恐れがあります。そこで顧問間で、練習メニューを事前に伝え合ったり、ボールがあまり飛んでいかないような方向で練習を行ったりする必要があります。万が一、危険になった際の周りへの周知の仕方も、顧問間で決めておきましょう。例えば、気付いた人が「ボール行きました!」と大きな声で言うことや、「危ない!」と手を回して伝える、などです。

3.安全管理、用具点検

日頃、生徒達が活動を行う場所は安全でしょうか。今一度チェックをしてみましょう。危険は思わぬ所にたくさんあります。例えば、更衣場所です。きちんとした更衣場所が決められておらず、校舎の陰や廊下で更衣を行い、嫌な思いをしている生徒達がいた場合は、プライバシーや倫理の問題に関わります。

また、楽器類などは重い上に繊細なので、扱いに注意をしないと壊れてしまったり、運んでいるときに落として怪我をしてしまったりすることもあります。

さらに、運動場の部活動の場合は天候にも注意が必要です。雨は降っていなくても、雷が突然鳴り出すこともあります。そんな時に、「雨が降っていないから、練習を続けよう」という判断はとても危険です。雷が落ちることも、突然豪雨になることも十分に考えられます。生徒達を安全に帰宅させるところまで考えることが顧問として重要です。

4.怪我や事故の対応

万が一、活動中に生徒が怪我をしてしまったり、事故に遭ったりした場合にも、素早く的確に行動をしなければいけません。
常に校内にいるという訳ではありませんので、応援を呼べる状態であるのならば、他の先生や大人を呼ぶ、当事者の安全の確保をしつつ、他の部員への指示を出す、手当をする、病院の搬送先を決め連絡をする、保護者に連絡をする、など、瞬時にやらなくてはいけはいことがたくさんあります。そのためにも、やはり怪我、事故を未然に防ぐことが重要です。

5.保護者対応

部活動にはお金がかかることがあります。例えば、用具、ユニフォーム、コンクールや大会への参加費、連盟への登録費などです。学校で行っている積立金とは別枠になるので、顧問として改めて保護者にお知らせをする必要があります。

また、土日に部活動を行う場合があるので、日程のお知らせやお弁当の有無を連絡する必要もあります。もちろん、怪我や事故の場合にも連絡を取り合います。

6.校内研修、校内会議への参加

校内で、部活動の顧問だけが行う研修や、会議がある場合があります。例えば、安全に関する研修であったり、平等な運営に関する会議であったりします。予算についての話し合いが行われる場合もあります。

7.運営(予定表作り、会計、練習場所確保)

部活動の予定を立てるのも、顧問の仕事です。ただ単に、毎日放課後行う、という判断ではいけません。体育館であれば、3つの部でローテーションを組んで使用しなければいけないこともありますし、自治体で決められた練習時間の上限があることもあります。
学校行事付近は、生徒達の疲労や負担を考慮して、練習の有無を判断する必要もあります。部活動の予定表や、各種お知らせは、最低でも半月前には保護者に渡るようにしましょう。つまり、1ヶ月前には、顧問間での相談が終り、来月の運営方針が定まっていないといけません。

また、生徒達から集金したお金を管理するのも顧問の役割です。

顧問としての仕事(校外)

次に顧問としての学校外での仕事についてです。主に以下の仕事が挙げられます。

  1. 練習試合、大会への引率
  2. 校外研修、校外会議への参加
  3. メーカーとの連絡、相談

学校外でも仕事があるのが、部活動顧問の大変な面でもあります。
それぞれ詳しくみていきましょう。

1.練習試合、大会への引率

練習試合においては、相手校と集合時間や人数の連絡を取り合う必要があります。大会においては、生徒達より早く会場に到着して、設備の設営の手伝いがあったり、受付をしたりしなければいけません。また、生徒達が公共交通機関で移動をする場合、引率をする、もしくは迷わないように行き方指導を事前に行う必要があります。
大会の申し込みは、学校宛てに郵送、またはネットで周知されることが多いので、忘れずミス無く申し込む必要があり、非常に緊張感のある仕事です。

2.校外研修、校外会議への参加

連盟が主催する研修や、大会に参加するための抽選会議に参加をしなければいけないこともあるでしょう。その競技をプレーしたことがなくても、研修なので実際に他の顧問の先生と一緒にプレーをしなければいけないこともあります。
また、審判ができるように講習会を受けることが条件とされる競技もあります。

3.メーカーとの連絡、相談

用具が壊れたり、新しい物を新調したりしたいときには、メーカーとやり取りをする必要があります。本当に必要な物を、生徒達に提供しやすい価格で入手するために、メーカーとは良好な関係を築く必要があるでしょう。
ユニフォームが大会までに発注されず、手元に届かない、などというトラブルもよく聞く話です。

顧問として必要な力は生徒の人間的な成長を促す力

顧問として必要な力は一体何でしょうか。上記でみてきたように、部活動の顧問には様々な仕事があります。忘れてはいけないことは、部活動は学校教育の一環である、ということです。単なる技術指導であれば、生徒達はクラブチームでお金を払ってコーチを雇えば良いのです。しかし、部活動は違います。学校教育の一環として、部活動を通して生徒達の人間的な成長を願うべきなのです

技術よりも大切な力とは、挨拶をする力、自分で考えるという力、試行錯誤してみる力、継続する力、仲間と協力するという力、他者を思いやる力などが挙げられます。これらを指導し、伸ばしてあげることが、部活動の顧問に求められる力なのです。

顧問も部活動の主役の生徒たちと一緒に成長していく

ここまで、部活動の位置づけ、顧問の仕事、顧問として必要な力を紹介してきました。難しそうに思えるかもしれませんが、あくまでも部活動の主役は生徒達です。

忙しい教員の1日の中で、部活動の顧問は負担が大きいでしょう。
しかし気負いせず、生徒達の自主性に任せ、足りない部分をフォローするというスタンスでいると自然と自分も一緒に楽しみ成長していくことができます。

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edulo編集部edulo編集部

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