部活動指導員を導入すれば、土日の引率や監督業務を大きく減らすことも可能です。この記事では、2017年に導入が始まった「部活動指導員」について詳しく紹介しています。
教員・学校側から見たメリットとデメリット、導入までの流れも解説しているので、部活動でお悩みの先生はぜひチェックしてみてください。
部活動指導員とは
部活動指導員は、2017年の学校教育法改正によって正式に設けられた役職です。
文部科学省によれば、部活動指導員の仕事内容は9つに分かれています。
- 実技指導
- 安全・障害予防に関する知識・技能の指導
- 学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
- 用具・施設の点検・管理
- 部活動の管理運営(会計管理等)
- 保護者等への連絡
- 年間・月間指導計画の作成
- 生徒指導に係る対応
- 事故が発生した場合の現場対応
引用元:文部科学省『学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)』
技術的な指導だけでなく部活動に関する幅広い仕事ができるので、顧問教員の負担軽減が期待できます。
部活動指導員は技術指導だけでなく大会引率ができる
部活動指導員は、顧問の代わりに大会や練習試合への引率が可能です。
土日祝日に行われる部活動を部活動指導員が担うことで、教員はしっかり休養を取れます。
家族と過ごす時間やプライベートの時間を確保できるのは、現代の教員にとってかなり重要ですね。
これまでの外部指導員との違い
部活動指導員と外部指導員(コーチ)の違いは、以下の通りです。
部活動指導員 | 外部指導員 | |
実技指導 | ◎ | ◎ |
大会等の引率 | ◎ | × |
部活動の管理運営 | ◎ | × |
主顧問 | ◎ | × |
これまでの外部指導員はほぼ実技指導のみ行っていました。単独での活動や大会等への引率はできないため、顧問教員の負担は何ら変わりません。
これを改善してより教員の部活動負担を減らす目的で設けられたのが、部活動指導員です。
部活動指導員を主顧問にすれば、教員は部活動の監督や大会等への引率を行う必要はありません。年間指導計画の作成などの業務はありますが、単独での顧問より大幅に負担を減らせます。
部活動指導員に求められる資格
部活動指導員になるために必要な資格は特にありません。
しかし自治体によっては応募資格を設けているところもあります。
例えば青梅市の中学校では、募集資格として2つ要件を設定しています。
- 教員免許を有し3年以上の教員経験者
- 担当分野における専門的知識および指導能力を有する者
引用元:青梅市教育委員会『令和4年度 中学校部活動指導員募集』
要件が厳しい自治体・学校では、応募がうまく集まらないことも考えられます。
部活動指導員の導入に当たっては、応募要件の難易度も事前に確認しておくといいでしょう。
ちなみに部活動指導員に関する資格としては「部活動指導員検定(2〜3級)」「公認スポーツ指導者資格」などがあります。
部活動指導員を導入するメリット
部活動指導員を導入するメリットは主に3つです。
- 顧問の負担が減る
- より専門的な指導ができる
- 学校外の人との交流が生まれる
顧問の負担が減る
実技指導・引率などを部活動指導員に任せられるので、顧問の負担が大きく減少します。
教員の時間外勤務は主に部活動です。
なかでも土日祝日の引率業務を代行してもらうことで、時間外勤務・休日出勤を大きく減らせます。
より専門的な指導ができる
部活動指導員には、いわゆるコーチのような役割もあります。
部活動指導員が専門的な指導を行うことで得られるメリットは2つです。
- 生徒がより専門的な指導を受けられる
- 未経験の部活動に配属された教員の負担を軽減できる
とくに未経験の部活動の指導を行う場合、教員には大きな負担がかかります。
経験豊富な部活動指導員に指導を任せられれば、教員がスポーツ等の理解や習得に時間をかける必要がなくなるのです。
学校外の人との交流が生まれる
部活動指導員として採用される人の多くは、近隣大学の学生や地元住民です。
なかには地域内のスポーツ施設で指導を行う人が部活動指導員を担うこともあります。
部活動を通して学校外の人と繋がることで、より地域に開かれた学校づくりができるでしょう。
部活動指導員のデメリット
部活動指導員の導入にはデメリットもあります。
ここではよく挙げられる2つのデメリットを見てみましょう。
- 学校が給与を支払う必要がある
- 技術面以外の指導が難しくなる
学校・保護者が費用を負担する必要がある
部活動指導員はボランティアではなく、非常勤講師(会計年度任用職員)です。そのため時給制で報酬が発生します。
部活動指導員の報酬・交通費等の負担は、国・都道府県・市町村がそれぞれ3分の1です。
国や自治体から補助金は出ますが、学校や保護者の負担も発生する可能性があることは頭に入れておくべきでしょう。
技術面以外の指導が難しくなる
部活動指導員の導入にあたって懸念されているのが、実技以外の生徒指導です。
一日中校内で一緒に過ごす教員と部活動のみ参加する部活動指導員では、生徒の状況把握や指導に関して差が生まれます。
実技指導に長けている部活動指導員が、必ずしも学校の教育方針をよく理解しているとは限りません。
部活動指導員に研修を行い、学校内の活動として適切な指導方法を理解してもらう必要があります。
部活動指導員を導入するまでの流れ
最後に部活動指導員を導入するまでの流れを簡単に紹介します。
①生徒・保護者に説明して理解を得る
まず部活動指導員の導入にあたって、生徒と保護者からの理解を得なければなりません。
説明会や座談会などを実施し、導入がスムーズに行える体制を整えましょう。
②学校または教育委員会で書類選考・面接を行う
部活動指導員の募集を行い、書類選考・面接を行います。
教育委員会が募集をかけている場合は、学校が主体で行う必要はありません。
③部活動指導員向けの研修を行う
部活動指導員の活動にあたって、事前に研修会を行いましょう。
文部科学省では、自治体・学校それぞれの研修内容をまとめています。
民間事業者で研修を請け負っているところもあるので、そうした外部機関を利用するのもいいですね。
④部活動指導員を導入して部活動を行う
生徒・保護者の理解を得て、部活動指導員の研修等が完了すれば、いよいよ導入開始です。
顧問教員との情報共有・連携をこまめに行い、よりよい部活動を目指しましょう。
部活動指導員を活用して負担軽減&部活動の充実を目指そう
部活動指導員をうまく活用することで、土日祝日の指導時間を大きく減らし、教員の負担を軽減できます。まだ人材確保などの課題はありますが、これは教員の多忙を解消する大きな一歩になるはずです。
部活動の指導時間についてお悩みの先生は、ぜひ部活動指導員の導入を検討してみてはいかがでしょうか。