守れるルールづくりのポイントとは?学級経営に悩んだら見直そう!

経験の浅い先生から2学期になるとよく聞くのが「学級経営が上手くいかない」「子どもたちが荒れ始めた気がする」という相談です。学級開きから半年がたち、子どもたちも先生や友達に慣れてきた一方で、問題が起きやすくなるのもこの時期です。なぜ、この時期に問題が起きやすくなってしまうのでしょうか。実はその原因の多くに「学級・学年ルール」が関わっています。

理由のないルールは不信感を生む

そもそも、なぜ教員は学級開きの際にルール作りをするのでしょうか。大人数を管理するためにルールは必要と思ってしまいがちですが、この考えには注意が必要です。

子ども達を管理するため、つまりは先生が楽をするため、手間を省くために決めるルールは、子どもにとって良いものとは言えません。最近でも「ブラック校則」という言葉が取り上げられることがありますが、ブラック校則と言われているものの多くが「その校則(ルール)の意味が分からない」ものだと言われています。例えば、下着の色指定や肌着の着用禁止のルールはなぜ設けられたのでしょうか。その理由が「昔から決まっていることだから」や「校則だから」などの説明では子ども達が不信感を抱くのも無理はありません。

ルールは作ると強制的に守らせなければいけなくなる

学級のルールが多かったり、そのルールがあまりにも厳しいと学級が荒れる方向に向かいやすいと言われています。その理由としては以下のようなことが考えられます。

①ルールを守らせるために上下関係が生まれる

②管理させられることに反発する子どもが生まれる

③指導する教員と子どもの間に亀裂ができる

④教員の指導が一貫していない場合、子どもの間に不公平感が生まれる

ルールというのは、決めるのは簡単ですが維持することが最も難しいと言われています。特に、学級で子どもと先生の間に亀裂が入りやすいのが④のケースです。

・A先生はよいと行ったけれどB先生はだめといった

・Aくんがやったときには怒られなかったのに、Bくんがやったら怒られた

一貫したルールへの指導がなければ、子どもの間に不公平という意識が生まれてしまいます。

子ども一人一人に成長度合いに差があり、中にはどうしてもルールに従うことができないという子どももいますが、

他の子どもや保護者から見ると「特定の子だけ優遇されている」と受け取られても仕方ないのです。一貫した指導をすることができないのであればルールを作らないほうがよいこともあります。

どうしたら「守れるルール」ができるのか

ルール作りをする際に、教員が知っておかなければいけないのが「絶対に守らないといけないルール」と「守らせたいルール」の2つがあるということです。

「絶対に守らないといけないルール」というのはルールを破ることで法に触れてしまう、他者に多大な迷惑をかけたり、傷つけたりしてしまうことです。例えば

・自転車に乗るときにはヘルメットをかぶる (道路交通法)

・人のものを盗んだり、勝手に使ったりしない(窃盗)

・SNSなどで人の嫌がることや誹謗中傷をしない

このようなものが当てはまります。

これは、法律に反する行為や人を傷つけることになるので、子どもがどう反発しても「許されない」という指導をする必要があります。「絶対に守らないといけないルール」は、学校や教員が主となって決めれば問題ありませんし、法的な根拠が後ろ盾にあるので、統一しやすいルールです。

 一方で、曖昧になりやすいのが「守らせたいルール」です。

・5分前には着席しよう

・廊下は右側を静かに歩く

こうしたルールは、法的な根拠がないルールになります。では、どうしたら守ることができるルールになるのでしょうか。そのポイントは、子どもがルールに納得しているかどうかです。

つまりは、ルールを作る段階から「子どもと納得しながら作り上げていく」必要があります。

この記事を読んでいるあなたは5分前着席の理由を子ども達に分かりやすいように説明できるでしょうか。

例えば、休み時間が10分しかない学校ならトイレに行く時間を考慮しても5分前に座るのは不可能な上、授業までに時間が空きすぎています。それなら「1分前着席」で十分ですよね。その理由は次の授業の準備をするため、これなら子どもも納得できるのではないでしょうか。

また、よく「例外」というのを作る教員もいますが、これもよくはありません。例外というのは曖昧なもので、子どもに対して抜け道を作るものになります。例外をたくさん作るなら、ルールはない方がよいです。

子どもが自分で守るルール作りをするには?

学級ルールが定着しているクラスの特徴は「一人一人がルールを意識している」という点です。定着していないクラスは、ルールに関する認識もあいまいで、定着していません。定着させるためには、子どもたちに意識付け、ルールの意味づけをすることです。時間がかかりますが、ルールを破ったときに指導するだけでなく、なぜそのルールが設定されているのかを子どもに諭し、納得させていく指導が必要になります。

ルールを守ることへ「納得解」が生まれれば、あとは自分でルールを守ることができるようになります。

もう1つは、できない子を指導するよりも、できている子を褒める手法です。ルールを破った子を指導するのは簡単ですが、指導された子は自己肯定感が下がってしまいます。そこで人間が本来持っている承認欲求を利用しましょう。ルールを守ることができている子を見つけたら褒めてあげます。できれば、多くの人がいる前で褒めてあげたほうが効果は高まるでしょう。そして、ルールを守ったことによって周囲の子にどんな影響があったのかまで説明するのがベストです。すると、ルールを守ることの「価値」を子どもたちに気づかせることができます。褒められれば、褒められた子の自己肯定感を上げることができ、さらには周囲の子も「褒められたい」という承認欲求を植え付けることができます。小学校低学年ではかなり効果のある手法なので、試してみてはいかがでしょうか。

主体的対話的で深い学びにつながる

ルールを考え、守っていくというのは主体的対話的で深い学びにもつながります。ルールを守るのは子どもであって、考えるのも子どもであれば、これほどよい主体的な学びの場はありません。

子どもの学びに活かすためには「ルールの改正」を考えさせることがおすすめです。クラスのルールについて自分たちが守ることができているのか、効果はあるのか、よりよくするためにはどうすればよいのか、デメリットは何か、こうした多面的な見方をしながら自分たちのクラスのルールについて考えれば、よりよいものが出来上がり、子どもたちの意識も高まるはずです。

ルールを作るならその意味をしっかり理解し、説明しよう

学級経営でルール作りは大切ですが、統一感のないルール、意味のないルールが多くあります。ルールを守らせようと強く指導したことが教員と子どもの間に軋轢を生むことも多いのです。なぜ、ルールがあるのか、守るとどんなことがあるのか、子どもに考えさせ、子ども自身が納得解を出すことができるように指導していくことがポイントです。

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