よい授業ってどんな授業?よい授業をするための指導ポイント5つをご紹介!

教員は「よい授業」をすることを目標としていますが、私が若手の教員だった頃には「よい授業ができた!」と納得できることは年に数回しかありませんでした。そもそも、どんな授業が「良い授業」と言えるのでしょうか。そして、経験の浅い教員やこれから教職を目指す学生が「よい授業」をするためにはどうすればよいのでしょうか。今回は、「よい授業」をするポイントの中からすぐに実践できる5つのポイントを紹介します。指導案を作成する際に、取り入れていきましょう。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

よい授業をするためにできる5つのポイント

「よい授業」は、「子どもが達成感を得ることができる授業」のことです。授業を通して、「学ぶことが面白いと感じる」ことや、「学びを活かせる喜びを感じる」ことがよい授業と言えるのではないでしょうか。

これから、子どもたちにとって意味のある授業にするために、私たち教員ができる5つのポイントを紹介していきます。1回の授業に全部取り入れるのはベテランでも難しいですが、1つ2つ取り入れるだけで一気に授業が変わりますよ。現役の教員は、これまでやってきた授業を振り返る意味でも5つのポイントをチェックしていきましょう。

①「一問一答の発問」ばかりではなく「考える時間」を作ろう!

1つ目のポイントは「一問一答」の発問ばかりをしていないかどうかです。この発問の仕方は悪いことばかりではなく、テンポよく授業を進めていくためにはとてもよい発問です。そのため、既習事項の確認をしていくときにはおすすめですよ。短い質問と答えを繰り返すのでスピード感もあり、リズムもよい発問方法です。

しかしながら、一問一答ばかりをしていると子どもの思考状況を教員は知ることができません。授業の進捗も早いため、考えを深める時間がなくなります。

1つの授業の中に、子どもが考える時間を設けましょう。このときには一問一答の質問ではなく、考えを深めていく発問が必要になります。

「考える時間」を作るためには?

例えば、算数の場合「6+6」の答えとして、子どもが「12」と答えたところで終わってはいけません。ここで、あなたはすかさず「なぜ12になるの?」と質問してみてください。子どもは、12になった理由を考え始めるはずです。

「隣の人と相談してよいよ」「分かった人は周りの人に教えてみよう」と教員が声掛けするのもよいですね。こうすることで計算練習する時間と計算方法を考える時間の2つに分けることができ、授業にメリハリが生まれます。「発問→答え」の繰り返しは単調な授業になるので、指導案を作るときは、「考える時間」を意識して作成しましょう。

②「深める時間」を作ろう

2つ目のポイントは、「深める時間」を作ることです。学習指導要領にも主体的対話的で深い学びを実現するために『習得・活用・探究』の段階が大切であると示されています。この中でも活用にあたる部分が「深める時間」です。

 「4が2つ分で8ならば、4が8つ分だったらいくつになる?」

 「4が11つ分だったらいくつになるだろうか?」

少し応用的な内容を踏まえながら、考えを深めていきましょう。このときには一人で学習するのではなくグループ学習などの「協働的な学習」を取り入れていくと、なかなか解決策を見つけることができない子どもも解決策を見つけやすくなります。文章題の問題を取り入れて、子どもが解くのも「深める時間」になります。

教員の腕もこの時間を見ると良くわかると言われています。学びの深まりは個人差が大きくなりがちです。非常に難しい問題まで解くことができる子から基本問題までしか解くことができない子もいます。普段から子どもをよく見て、一人一人の能力を把握している教員は、個別の支援を次々に提案していくことができますが、子どもの予想される反応に対しての準備が不十分(子どもの能力把握ができていない)教員の場合、時間を持て余すような子どもが生まれたり、いつまでも解くことができない子どもが生まれたりします。授業を作るときには、その授業で学んだことを使う場面を準備する意識を持つことが大切です。

③子どもの答えを予想して「切り返し」を準備しよう!

3つ目のポイントは「子どもの答えを予想した切り返し」をすることです。指導案を作るときに、想定発問(子どもへの発問)を作る人は多くても、「予想される答え」まで準備している人は少ないのではないでしょうか。予想される答えを準備していても、子どもの答えが間違いであったときにどうするかまで予想していますか。

不正解の場合の「切り返し」も準備

先ほどの「6+6=?」の発問に対して、子どもが誤った回答をした場合、読者の皆さんならどうしますか。間違っていることだけ伝えて、他の答えられそうな子どもに発問をしてはいませんか。このようなことをしてしまったら子どもは、自尊心が低くなるだけでなく、なぜ間違えたのか分からないままとなってしまいます。

例えば「どうしてそう思ったの」と切り返して、まずは本人の考えを聞きましょう。もしかすると、話している中で本人が間違いに気づくこともあるかもしれません。または、周囲の子に「さっきの答えなぜ間違っているのかな」と切り返すのもよいでしょう。周りの子は、間違いを探す思考をすることで計算の理屈が分かります。また、分からなかった子も友達の考えを聞いて、自分の思考過程の間違いを直すことができます。このように「発問→答え→状況によって切り返し」を準備しておくと、子どもが考える授業になります。

④目に見える授業で「自分の考え」を持つ力を培うサポートをしよう!

4つ目のポイントは、「言葉だけでなく、イメージとして記憶に残る授業をする」ことです。「知識を覚えさせるだけの授業」になってしまっては、考えることができなくなってしまいます。例えば、小学校2年生のかけ算で「4×1=4」「4×2=8」というようにただ、式を暗記させて解けるようにする。1時間の間に何度も公式を音読するような授業もあります。これでは知識を覚えただけで、自分の考えを持ってはいません。かけ算の考え方は「4が1つ分で4」「4が2つ分で8」という思考です。これを、言葉だけでなくイメージとして頭の中に出来上がるような指導をしなければいけません。数図ブロックを使ったり、デジタル教材を使うなどして、4の段のかけ算の考え方を自分なりに持たせる授業をすることが重要です。

⑤子ども自身が振り返りをして「学びの実感」をさせよう!

最後のポイントは「学びの実感」つまり、振り返りをしているかどうかです。授業のまとめの段階で、今日の授業でわかったこと、もっと学んでみたいことなどを振り返る時間を設定しましょう。それを次の時間に繋げることができるまとめを教員ができれば最高です。

振り返りは、子ども自身が自分の到達度を確認できるだけでなく、教員側も子どもの到達状況を確認することができます。授業のめあてを達成できていなければ、次時のスタートで前時の振り返りが必要になりますし、達成できているのであれば新たな課題設定ができます。数人の子どもができていなければ個別のフォローをするのも1つの手法です。

振り返りは、言葉で書かせるだけでなく、練習問題を解いたり、小テストをしたり、他者の作品を見て自分の作品を振り返るなど方法もたくさんあります。教科の特性を考慮して、1時間の授業を振り返る時間を確保しましょう。

参考文献:文部科学省初等中等教育局教育課程課,文部科学省,https://www.mext.go.jp/content/20210428-mxt_kyoiku01-00014639_13.pdf(参照2023-12-15)

教員はファシリテーターとなって引き出すことを意識する

5つのポイントを振り返ると「子どもが自分自身で行う」ことが大切だとわかりますね。教員主導で授業をしているとどうしても「教え込み」「詰め込み」型に偏ってしまいます。教えていくことも大切ですが、1時間の授業の中に1つでも「子どもが主体的に学ぶ・活動する」場面を取り入れ、その時間は、子どもが主体的に動くことができるよう教員はファシリテーターになる意識をもつことがポイントです。

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