学年主任へステップアップ 業務のポイントは?

春は人事異動の季節です。新しく教員になる人、違う場所へ転勤する人など教員の世界でもさまざまな動きがあります。そんな異動の中で「役職が変わる」という人も多いのではないでしょうか。

今回は、一担任から「学年主任」へのステップアップについて紹介していきます。最近は、教員の年齢構成が全国的に若くなってきており、5〜10年程度の経験で学年主任になる人も多いです。若手の教員もあらかじめ心構えをしておくとよいでしょう。

年度始めにやるべき3つの業務

学年主任の打診は前年度にあるのが一般的で、その理由は4月に学年がスムーズにスタートできるようにするためです。そして、学年主任として年度始めに特にやらなくてはならないことは

①学年の年間計画の作成

②学年内の教員の役割分担

③統一事項の確認

この3つになります。次の項でそれぞれの業務内容を詳しく解説していきます。

学年の年間計画

その年の行事予定は、前年度末の段階で教務主任がある程度完成させているのが一般的です。新しく学年主任になる教員は、この行事予定に沿って計画を立てていくことになります。

校外学習・運動会・修学旅行といった、日程を動かしづらい行事に関しては、「誰が・いつから」準備を始めるのかを教務主任が考えます。このような行事の予定と並行して、各教科の授業スケジュールも計画していかなくてはなりません。校外学習などでバス等の手配が必要になる場合は、年度始めに予約しないと間に合わないこともあるため、年間計画はなるべく早い段階で作成しなくてはなりません。

教員の役割分担

一学年が単学級の場合は必要ありませんが、複数のクラスがある場合は、その学年に所属する教員たちに学年全体での仕事を割り振ります。

大きな仕事としては「生徒指導」「学年会計」、他にも運動会や学習発表会の指導なども分担していきます。学年主任には、教員たちの力量や得意分野などを活かして分担する手腕が求められます。

統一事項の確認

年度始めに各学級の担任が発表されたら、学年主任が中心となり、学年全体での統一事項を決めなくてはなりません。学年で指導のレベルを統一して、一枚岩の学年を作ることが狙いです。

例えば、生徒指導面であれば「休み時間の遊び方」「廊下歩行」「服装や装飾品」「学習用具」、学習指導面であれば「授業の挙手や発言」「黒板の色遣い」「掲示物」などに関するルールなどを決めていきます。学校や学年の事情によって変わるため、上で紹介したものはあくまで参考例です。

統一事項のポイントは2つあります。1つ目は「教員全員が同じような指導を行えるか」。なぜなら、一貫性のない指導は子どもたちを困惑させてしまうからです。若手であろうとベテランであろうと同じ指導ができるようなルールを設定しましょう。

2つ目は「厳しいルールを作らない」。ルールを作るからには、子どもたちに守らせるよう監視したり、指導したりしなくてはなりません。ルールの内容が厳しすぎるものあるいは、細かすぎるものであれば、教員側の管理も大変になるので、ある程度の大枠を決めて、あとは担任の裁量に任せましょう。

「広い視野」「担任と逆の視点」で見守ろう

学年主任をする上で大切なことは、「学年全体の子どもを広く見守ること」です。学年主任であっても担任を持つことはありますが、広い視野を持つことを忘れないようにしましょう。

各学級で担任が注意深く子どもたちを見守っていると思いますが、毎日見ているからこそ小さい変化を見逃してしまうことがあります。広く子どもたちを見渡せる立場にある学年主任だからこそ気づくこともあると思います。子どもたちの変化や、気づいたことなどを学年会を通して情報共有しましょう。

学年主任の経験者として、初めて学年主任を拝命する人にもう1つアドバイス。それは「担任とは逆の視点で子どもに接すること」です。

担任から指導を受けた子どもが必ず納得するとは限りません。担任と子どもの二者だけで話をしていて、なかなか解決できないパターンはよくあります。学年主任をしていると、担任とは異なる第三者としての視点で子どもと接し、子どもの本音や考えを引き出す役割を担うこともあります。担任と子どもの緩衝材となり、双方をサポートしましょう。

ステップアップを見据え、効率よくこなそう

学年主任は、いわば学年を指導する教員たちのリーダーであり、サポート役でもあります。とてもやりがいのある役職である一方、仕事の負担も大きくなってしまいます。効率よく業務を進めて負担を減らすには、担任たちとの円滑な情報共有や、上手な役割分担が欠かせません。教員たちの健康状態や、各クラスの状況にも気を遣い、チームプレーを心がけましょう。

学校内の役割として学年主任に次の立場は「教務主任」になってくると思います。(地域によっては主幹教諭などもあり)。学年をまとめる立場から、学校全体の教育を動かしていく立場に変わります。今後のステップアップを見据え、今のうちから広い視野を養っていきましょう。

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