【教員必見】生徒が伸び伸び成長できる学級経営とは?

そもそも、学級経営とはどんなことをいうのでしょうか。
よく聞く企業の経営などは、利潤の追求のための戦略と言えるでしょうが、学級経営は利潤を求めている訳ではありません。経営とは、組織の目的を効果的に達成するための合理的な仕組みのことを言います。
これを学級に置き換えると、『生徒達が心身共に成長するために、教師が行う合理的な仕組み』といったところでしょうか。そこで今回は、上手な学級経営のために、押さえておきたいポイントの一部を紹介します。

学校内の環境整備が大切

どんなに素晴らしい授業を行っていたとしても、周りの環境が乱れているときは、生徒達の心が落ち着かず、集中ができません。反対に、整理整頓の行き届いた気持ちの良い環境では、自然と心も落ち着きます。まずは、学校内でどのような場所、事柄に気をつければよいか、場所ごとに説明をしていきます。

土間

生徒達が門をくぐって最初に行く場所は、土間です。ここで靴を履き替えますが、教員として気をつけることはどんなことがあるでしょうか。
まずは、クラス全員の靴が、各々の場所にあることが大切です。学級が乱れていると、靴が下駄箱から落ちていたり、自分の場所ではないスペースに入っていたりします。下履きは出欠の確認にも利用できるので、靴の置き場所は徹底しましょう。
また、「すのこ」の上に土が落ちてしまうこともあるので、定期的に清掃をすると良いでしょう。綺麗な状態を保っておくと、生徒達も汚さないでおこうと気をつけますが、汚れがあると、自分も少しくらいならいいか、と思ってしまうためです。

教室の机

机の上の落書きは、生徒にとってとても魅力的です。しかし、共用物を大切にするという観点から、落書きや傷がないか教員の目でしっかり管理をしましょう。また、机の並びがガタガタになっていないかの確認も必要です。朝一番の教室の机がガタガタだと、それだけで落ち着きがなくなってしまいます。

生徒が登校する前に、机の整理整頓をしておきましょう。

ロッカーの中

ロッカーの中がぐしゃぐしゃだったり、物が溢れて垂れ下がって、棚の下の子に迷惑になっていたり、ということがよくあります。これも、教員の工夫次第で改善ができます。例えば、教室の隅に、大きな荷物を入れる共用のBOXを用意したり、ブックエンドを持ってきても良いことにしたりすると、子供達の整理整頓も楽になります。また、体操服を畳んでしまうことも習慣づけさせたいものです。
そうすることで、物がなくなった、他人の物と間違えた、というトラブルを未然に防ぐことができます。

黒板、ホワイトボード

前日の汚い消し跡が残っていたり、チョーク置き場に粉が貯まっていたりするようでは、清々しい気持ちにはなれません。掃除当番があるのならば、清掃の仕方を教えたり、教員の仕事であるのならば授業ごとにしっかりと清潔にするようにしたりしましょう。
チョークの粉は空気中に舞いやすいため、人が密集する教室ではなるべく粉が舞わないようにしたいものです。ホワイトボードペンのインクも、十分に補充されているかこまめに確認をしましょう。

教室内の空気

近年は冷暖房の付いている教室がほとんどですが、空気の入れ換えは大切です。
子供達が登校する前に、教室の窓を開けて換気をしておきましょう。冬場は少し寒いですが、感染症の予防のためにも必要です。感染症の拡大を防いで、学級閉鎖を招かないということも、学級経営が上手という証拠の一つです。

自主的なルール作りをさせる

大人だって、「こうしなさい」と言われてから行動に移すのは、気持ちの良いものではありませんね。学級でも同じです。教員から言われて仕方なくやることは、長続きしません。不満も出てくるでしょう。
しかし、自分たちでこうしよう、と決めたことは、クラスの団結力も高まるし、何より継続することができます。そのため、何かルールを作る時には、ホームルームや学活の時間を使って、生徒達自身に議論をさせて決定をするとよいでしょう。

例えば、給食やお弁当の時、机の配置をどうするか、学級裁量で決めてよいとします。その際、教員が、「全員前を向いて食べなさい」と一方的に指示を出したらどうなるでしょうか。話し合いの時間が無いため、他の活動に充てる時間ができるというメリットはあります。しかし、「他のクラスは移動をしているのにずるい」「先生に内緒で席交換しよう」という声が上がってくるかもしれません。

そうならないようにするために、少々時間はかかるかもしれませんが、自分たちで意見を出し、メリットとデメリットを考えさせ、よりよい選択をできるようにしてあげましょう。もちろん、議論が行き詰まった時には手助けが必要ですが、教員主体の学級ではありません。あくまで主役は生徒達ですので、自主的な行動ができるまで待つ、という心構えも必要でしょう。

このように学級でのルールを自主的に決めさせることにより、学級への所属感が得られ、自己肯定感が高まります。その学級ならではのカラーが出てきて、学校生活が楽しくなるかもしれません。

安心できる雰囲気作り

「自分は自分で良い」「失敗をしても良い」「間違っても良い」という空気感は、子供達が安心して自分の居場所を得ることができます。他の子と違っていたら嫌だなあ、とか、笑われたら恥ずかしいな、という感情を、多くの生徒はもつでしょう。その負の雰囲気を生み出さないようにするのは、教員の仕事です。様々なテクニックがあるので、いくつか紹介をします。

まずは、教員自らが、生徒達が考えもしないような発想をしてみる、ということです。

具体的には、レクリエーションの時間に行う遊びを相談していたとしましょう。多くの子供達は、ドッチボールかサッカーで外遊びが良い、と意見を言っています。そこで、ある子が「先生は何がいい?」と聞いてきたとしましょう。そこで、「ドッチボール」と答えることも良いですが、「教室でにらめっこ大会」など、今までの流れとは違う事を言ったらどうなるでしょうか。「先生空気よめないー」と言う子もいるかもしれませんが、中には自分の意見が言えなくて、「実は僕も教室の遊びが良い」とか、「私も運動は嫌だな」などと思っていた生徒達の、救いになるかもしれません。

他にも、生徒達と一緒に作品作りをしていたとしましょう。教員のあなたが、青で塗る場所を、赤で塗ってしまいました。ある子が「先生違うよ」と教えてくれました。あなたは、どんな返事をしますか?「ごめんね」と言うでしょうか。「しまった…」とこっそり塗り直すでしょうか。失敗しても良い、という安心感を出すには、「ごめーん!!間違えちゃった!!本当にごめん!!」と全員に聞こえるように大きな声で言いましょう。先生でも失敗することがあるんだ、とほっとする子が必ずいます。これはこれでいいじゃん、と前向きに捉える子も出てくるかもしれません。そして、「みんなはどう?順調?」と話をふってあげたりすると、意外にも「あ、実は僕も間違えちゃって…」と言える雰囲気になるかもしれません。

嫌な役は、教員がどんどん引き受け、生徒達が安心して自分の気持ちを言える雰囲気作りをしましょう。

必ず生徒へ平等な対応を

生徒は、教員の対応を想像以上に見ています。そして、自分が平等に扱ってもらえなかった時の出来事を、ずっと心のどこかで覚えています。
例えば、ある生徒は忘れ物をした時に注意をされなかったけれど、自分だけみんなの前で注意をされた、という例や、背の順で一番後ろだからいつも最後にしか順番が回ってこない、という例が挙げられます。このような出来事は、教員の事前の手回しで防ぐことができます。
②で説明をしたように、生徒達自身にルールを作らせるのも一つの手だてです。また、配慮不足のために結果的に不平等になってしまった、ということを防ぐために、「もしかしたら、みんな平等じゃなくなるかもしれないよ」と先に一言言っておくだけで、生徒達の心が落ち着くこともあります。
もちろん、我慢を覚えることも大切ですし、譲る気持ちや優しさを学ぶ場面もあります。しかし、そういった我慢を、ある特定の生徒だけに強いられていることがないか、教員が視野を広くもちましょう。そして、我慢をしてくれた生徒には、必ずフォローを入れましょう。細かいですが、この積み重ねこそが、学級経営をスムーズにするコツです。

教室

他の教員とも助け合って生徒が主役の学級作りを

ここまで、上手な学級経営のポイントをみてきました。ここで紹介したのはほんの一部で、他にも、学級目標に関することや、家庭との連携に関することなど、ポイントはたくさんあります。全てに共通して言えることは、最初からうまくいくはずがない、ということです。
その時できる精一杯を出しても、うまくいかないこともあります。そんな時は、いろいろな学級を覗いてみたり、先輩の教員に尋ねたりしましょう。他の学級はライバルではありません。むしろ、共に助け合って伸びていくことのできる存在です。何度も何度も失敗を積み重ねた結果、いつか教員も生徒達もみんなが幸せな学級作りができると思います。

学級経営は、その場の思いつきで行うものではありません。教育を行う上での学校の目標があり、子供達の実情があり、その上で、教員としての思いが乗っかります。それらを総合して、学級経営案を作成します。学級の主役は生徒達です。教員は、いわば陰のマネージャーです。主役の生徒達がキラキラと輝くことのできるよう、戦略的な学級経営案を立てましょう。

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