ゴールデンウィークも明け、仕事に嫌気を差している方は多いのではないでしょうか?
新人教員が五月病になり、精神疾患にかかったり休職や退職するケースになったりということはよくあります。
文部科学省によると、令和2年度の精神疾患による病気休職者は5180人いました。そのうち、所属校勤務年数が6月未満の方は291人で全体の5.6%という結果が出ています。
この記事では、教員の五月病について解説します。五月病になったときの対処法についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
教員は五月病になりやすい
五月病とは、新入社員や人事異動など環境に変化があった方が環境に馴染めず、体調が悪くなったり、やる気が出なかったりと心身の不調が現れるものです。教員はこの五月病になりやすいと言われています。
教員が五月病になりやすい理由は、下記の2つが挙げられます。
- 教員の春先は忙しい
- 毎年4月に体制が変わる
教員の春先は忙しい
教員は3月から4月の春先にかけてかなり忙しくなっています。3月には
- 学期末の処理
- 成績処理
といった事務処理をたくさんしなくてはいけません。そして、4月には
- 新クラス・学年の準備
- 家庭訪問
- 授業参観
などの行事が一気に押し寄せてきます。
教員は行事がなくても毎日授業準備や生徒対応などで忙しい日々を送っています。そんな中、春先には一気にやるべき業務が押し寄せてくるため、休む暇もありません。
そしてゴールデンウィークで一度職場から離れると、現実逃避をしてしまい職場に行きたくなくなることが多いようです。
毎年4月に体制が変わる
さらに学校は、毎年この忙しい4月に体制が変わります。学年団や校務分掌など、関わる人や環境が変わることによって多少のストレスを感じるでしょう。
また、教員は異動がつきものです。異動した先の学校が合わない可能性もあります。
このように、教員は4月にストレスを感じやすいです。そのため、ゴールデンウィークに入り一度ストレスから解放されることによって、五月病になる可能性が高くなります。
特に新任教員は五月病になりやすい
このように、教員なら誰しもがなりやすい五月病ですが、新任教員は特に五月病になりやすいです。一般的に、企業では新入社員研修が1〜2ヶ月程度は設けられており、自信をつけた状態で仕事を始められます。
しかし教員は、大学を卒業したばかりでも初任の4月からいきなり学級担任になることも多いです。
社会経験のない中、30人以上の子どもたちを守る責任や慣れない仕事に追われ、精神的に追い込まれやすくなっています。
そのため、ゴールデンウィーク明けに職場へ行きづらいというケースは珍しくありません。
五月病のまま働くと心が病む恐れも
このように教員は五月病になりやすいのですが、そのまま働き続けると危険な可能性があります。
五月病になり先輩に相談すると「教員は夏休みが長いからそれまで頑張りなさい」と言われることが多いです。
しかし、体の疲労が貯まるように心の疲労も蓄積されます。だましだまし働いていると心の疲労は解消することなく、心が病む可能性が高いです。
またゴールデンウィーク明けは、子どもたちが新しいクラスにも慣れ始め、少しずつトラブルが増えてくる時期でもあります。
中学生・高校生に関しては、部活動の大会が終わり、気が緩んでいることもあるでしょう。そのため、このゴールデンウィーク明けから6月あたりの時期は、生徒同士のトラブル対応に追われ、心を病む教員が多いです。
この気持ちのまま働き夏休みを迎えると、よりギャップが大きくなり夏休み明けが苦痛になるでしょう。
特に、夏休み明けの2学期は教員にとってかなり負担になります。夏休み明けは子どもたちも気持ちを移行できないことが多いです。
さらに2学期は長いため、中だるみしトラブルが起きやすくなっています。この対応に追われる中、運動会などの大きな行事が目白押しとなり、教員は心身ともに疲弊してしまうでしょう。
このように五月病をそのままにして働き続けると、心が病む可能性があります。心が病む前に、必ず対処しましょう。
五月病になったときの対処法
それでは、五月病になったときの対処法を4つご紹介します。
- 残業時間を減らす
- 仕事を休む
- 病院に行く
- 職場以外のコミュニティに入る
この対処法を参考にして少しでも不安を解消してください。
残業時間を減らして早く帰る
教員の時間外労働は「月に80時間超え」となっている方が小学校で3割、中学校で6割になっていることが2016年の調査で明らかになっています。このような結果から「教員の残業は仕方ない…」と諦めている方も多いでしょう。
しかし、1日の大半の時間を仕事に使ってしまうと、心が病んでしまう可能性が高くなります。教員は仕事が多いため残業時間を減らして早く帰ることは難しいかもしれません。逆に言えば、だからこそ意識して早く帰るようにしなければならないでしょう。
残業は仕方ない…とだらだら仕事をするのではなく、今日やるべき仕事と明日でもいい仕事を仕分けして少しでも早く帰れるように努力する必要があります。そして、1日の内に仕事以外の時間を作り、心を落ち着かせる時間を作りましょう。
仕事を休む
思い切って1日仕事を休むこともおすすめです。教員はなかなか休みを取りにくい職業ですよね。特に新人教員は年休がほとんど残った状態で次の年次に繰り越されることが多くあります。
しかし、年休は誰しもが取ることのできる権利です。自分がしんどいときに休むことは悪いことではありません。1日学校から離れるだけで気分がスッキリすることもあります。身体的にだけでなく精神的にしんどいときも積極的に年休を取りましょう。
また、それでもしんどい場合は「休職」という選択肢もありです。ゆっくりする時間を作ることで、気持ちの整理がつくこともあります。管理職と相談すると1週間だけ休むということも可能です。
病院に行く
五月病がひどい場合は病院へ行きましょう。五月病の場合、精神科か心療内科になります。
多くの方は精神科や心療内科には行ったことがなく、不安を感じるかもしれません。ただ、2つとも他の内科や眼科などと外観や内観の変わりはなく、受診手順も大差ないので安心してください。
基本的に精神科や心療内科は、初診を行ってもらうために事前の予約が必要です。また、医者の方とじっくり話をしたりカウンセリングを受けたりするので、初診の時は時間がかかります。病院へ行こうと考えている方は余裕を持って行きましょう。
職場以外のコミュニティに入る
同じコミュニティでしか生活していないと、多少ストレスを抱えます。例えば、職場でストレスを抱えたとしても、職場にしかコミュニティがなかった場合相談する相手がいませんよね。
そこで、家族や職場以外のコミュニティを広げましょう。
悩みを人に話すことで楽になります。また、スポーツクラブなどに入って汗をかくのも良いですね。
五月病の対策をして自分を守ろう
ゴールデンウィークも明け、五月病になる教員は多くいます。多くの方は五月病のまま「仕事に行きたくないな…」という気持ちのまま仕事を続けますが、その結果心が病む可能性は高いです。
しかし、五月病を避けることはなかなか難しいでしょう。ですので、五月病になった後の対策を心がける必要があります。
今回ご紹介した対策を行って、自分を守りながら働き、忙しく大変な時期を乗り切りましょう。