学校行事で楽しかった思い出の1つ「遠足」。しかし、若い方々の中にはあまり聞き覚えがない方も多いようです。
中には「昔の人は遠足、若い人は校外学習という」なんて言う方もいますが、実際には2つの言葉には違いがあり、「校外学習」という言葉も、ある教科の誕生によって使われるようになった言葉です。
そもそも皆さんは「遠足」と「校外学習」の違いを説明できますか。まずは、2つの違いについて解説をしていきます。
「遠足」と「校外学習」の違いとは?
この2つの大きな違いは「学習要素」がメインとして含まれているのか、それとも付随的なものになっているのかという点です。
例えば、小学校1年生が公園に行って遊ぶことをメインにした行事であれば、学習要素よりも「仲間づくり」が目的になります。この場合は「遠足」となります。
一方で、同じ1年生でも「町探検」になると話が変わります。「図書館や駅に行き、何があるのかを知る」活動が入っていれば学習的な要素が強くなり「生活科」の授業の一部とも考えられます。この場合、遠足と表現するよりも「校外学習」の方が適切になります。このように学習要素がメインか付随的なものかにより区別されています。
授業としての取り扱いにも違いがある
「遠足」と「校外学習」では、授業としてどのように取り扱うのかも違いがあります。一番わかりやすいのが「授業数のカウント」です。
学校では、1日にどんな授業を行ったのか「進度表」と呼ばれる書類に記録をして、年間の授業時間数を管理しています。算数の授業を行えば「算数」というように記録していき、最終的に文部科学省が定めている標準授業時間数を越えるように指導しなければいけません。
この時数の取り扱いにおいて「遠足」の場合は「学校行事」としてカウントし、教科の時間数とは別に管理します。
「学校行事」としてカウントするのは特別なことではなく、始業式や避難訓練も「学校行事」にあたります。しかし、学校行事ばかりでは教科の時間数を確保することができなくなります。そこで「校外学習」とすることで、一部を教科の授業としてカウントします。
例えば、社会見学が校外学習に含まれているので、1日の6時間の時間数のうち『2時間を学校行事、4時間を社会』とカウントする方法です。こうすることで、他の日の授業時間数を増やすことなく、行事の実施が可能になります。
補助員をつけることができるかできない問題
行事と学習の違いは、補助員をつけることができる、できないかにも関わります。遠足や校外学習などの外に出る行事の場合、児童の安全性を考えれば引率教員は多く必要になります。担任の教員だけでなく、各学校に配置されている非常勤講師や補助員などを引率者として同行させたいところだと思います。
しかし、非常勤講師や補助員は授業に対応した職員であるため、授業以外の活動には同行させることができないとルールを決めている自治体もあります。そこで、このルールの抜け穴をつくため、遠足を校外学習として教科の授業扱いにすることで「授業支援者」として引率教員に入れることが可能になります。
遠足では、認可申請(学校が校外での活動を行うために教育委員会へ申請する書類)が通らないので、校外学習として届けをすることで同行教員の数を増やすことを申請を許可してもらう方法があります。
小学校低学年と高学年で目的が変わるため名前を変えるケースも
「遠足」「校外学習」の取り決めは学校で統一しなければいけないものではありません。学年で行事の目的によって使い分けています。行事を行う時期も、春に行う学年もあれば秋に行う学年もある状態です。授業の進度に応じて、最も効果的な時期に行事を行うことで目的が達成できるようにしています。
授業の一環として「体験活動」「探究活動」をするには最適な場に
教室の授業において実施するのが難しいのが「体験活動」です。最近では、キャリア教育も学校の学びに入ってきており、実際に働いている人のところに行って様子を見たり、自分が体験する「職場体験」などをしたりするケースもあります。
「遠足」や「校外学習」は、座学ではできない貴重な経験をすることができる場であり、なかなか辞めるというのは難しいものがあります。
一方で、授業時間数の圧迫、働き方改革やバス代の高騰などにより体験学習を縮小する動きが広がっているのも事実です。特にバス代については年々高くなっているのが現実で、保護者の負担額が一人当たり1万円を越えてしまうようなケースもあります。そこまでお金をかけて「体験活動」を実施する意味があるのか、学校現場では費用効果についての議論が行われています。
「キャンプと野外教育活動」や「運動会と体育祭」など似ていても違う言葉
教育現場で仕事をしていると、同じような行事を指しているのに名称が違うものがほかにもあります。
代表例としては「運動会と体育祭」「キャンプと野外教育活動」などになります。これらも一緒と勘違いをしている人がいますが、運動会と体育祭でいえば「運動会は体を動かすことが目的で、行事の主体は教師主導で動かすもの」に対し「体育祭は、生徒が主体的に自分たちが学んだことの成果発表の場」という意味合いが強くなります。
つまり、学校としては行事の意味合いを考えて名称を変えているので、この意味を担任は生徒に伝えていかなければいけませんし、保護者にも伝えていく必要があります。言葉が違うということは、何らかの意味の違いがあることを教員は意識しておきたいですね。
活動名には目的があることを意識しよう・させよう
学校では、様々な行事があります。「入学式」「卒業式」「避難訓練」など、担任をしているとなんとなく行事を行うだけになっていないでしょうか。避難訓練であれば、避難する手法を学ぶだけの場になってはいないでしょうか。避難訓練の目的は「自分の大切な命を守ること」です。これを教員が意識するだけでなく、子どもたちにも意識させる必要があります。
学級活動でも同じことです。ただ、クラスでレクリエーションを学活の時に行うだけでは何の意味もありません。
レクリエーション活動を
・子ども主体で行わせ、リーダー性を学ばせたい
・みんなで意見を出し合って決めていく難しさを体験させたい
・年中行事と組み合わせることで日本の伝統的な考えに触れさせたい
このように目的を教員が意識し、さらに子どもにも意識させることで、より効果的な活動をすることができるようになるのではないでしょうか。
参考文献:今後の社会の変化に対応した多様な体験活動事例集,文部科学省,https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/20230724-mxt_kouhou02-1.pdf ,(参照 2025-12-15)