教員には「私立」と「公立」で違いがあります。
私立教員と公立教員の異なっている部分についてはこちらの記事をご覧ください。
この記事では、実際に働く学校を選ぶ際に、どのような観点から私立、公立を選ぶべきかご紹介していきます。
私立か公立どちらで働くかは非常に重要
私立教員と公立教員には同じ教員とはいえ、異なる点が多くあります。
そのため教員を志望する上で、「私立と公立のどちらで働くか」を考えることは非常に重要です。
また、その違いを事前に認識しておくことは、思わぬ苦労を避けることができるだけでなく、キャリア形成の観点においても意義があることと言えます。
教員志望者の志望理由は生徒指導・教科指導・部活指導などが挙げられ、その多くはどの学校に勤務したとしても必ず経験ができるものです。しかし、「私立で教鞭が取りたい」「公立で働きたい」という思いを併せ持つ人はそう多くありません。公立の採用試験を目指しながら私学適性検査を受けることは珍しくなく、単純にいえば私立・公立問わず、どこかで採用されれば良いと考える人が大多数であるといえるでしょう。
一般企業で働くことを志す人であれば自分が希望する業界を絞り、
それぞれの企業理念なども綿密に調べるものです。
その姿勢を教員志望者も持つことが必要です。
私立であれば教育方針や校風、公立であれば各自治体の特色を早くから見ておきましょう。
どのような場で教員として活躍したいのかを考えることは自分の目指す教師像を明確にします。
出身校を基準に働きたい学校を考えてみる
まずは自分の出身校を思い出してみましょう。
生徒の立場から見た学校の特色を挙げていくことから始めて下さい。
学力層を始め、部活動・進路実績・カリキュラムなど、
できるだけ多くの項目を思い出せるといいでしょう。
その上で、自分が教員として関わることを想像してみましょう。
例えば、部活動が盛んな学校の出身であれば、その活動頻度の高さや練習時間の長さに耐えうる専門的な指導ができる教員の必要性が容易に理解できるはずです。
そういった特色を持つ学校で教員として働くことに関して、どのように感じるでしょうか。
考えていくと、自分の適性や目指すべき方向性は明確になっていきます。
出身校が自分の理想の学校ではない場合もある
例えば、自分の出身校が地域でも有数の進学校であり、生徒の自主性に任せた自由な校風で、生活指導の場面がほとんどなかったとします。
結果、学力が非常に高い生徒が多い反面、欠席日数が多くても定期試験を高得点で突破してしまうケースが後を絶ちませんでした。
その記憶を思い起こした時、自分は学力がそれほど高くなくても、授業を必死に聞いて知識を吸収しようとする生徒を指導したい、という考えに至ることもあるわけです。
たとえ出身校が自分の理想とする学校ではなかったとしても、出身校について振り返ることで、働く学校を選ぶ際の基準を増やすことができます。
また、基準を増やすことで、就職後に不満を感じるリスクが減らせるだけでなく、自分の理想に近い学校を選びやすくなります。
唯一の同一業務「教科指導」
就職先と自分の理想がかけ離れていると、思うような授業展開ができずに苦しむこともあるかもしれません。
ここからは具体的に私立と公立で、業務の内容がどのように違うのか見ていきます。
私立であっても公立であっても生徒の学力層がどこであっても、業務に占めるウエイトにほぼ変わりがないといえるのが教科指導です。
毎日の授業を中心に定期試験の作成・採点、評定の付与といった教科にまつわる業務はどの学校であっても行うことになり、生徒の学力に応じた指導が求められます。
■私立の教科指導の特色
日々の教材研究により、授業内容をブラッシュアップさせる必要がありますが、ある程度学力層が定まっているため、指導方法を確立しやすいといえます。ただし、マンモス校はその限りではありません。
■公立の教科指導の特色
異動があるため、幅広い学力層の生徒に指導していくことは念頭に置いておきましょう。
教員の働き方は「個」から「グループ」へ
かつて、教員は「個」の職業だとされてきました。
前述した授業も「個」で行い、学級経営も「個」、職員室で他の教員と机を並べてはいるものの、
互いに連携して仕事を行うという意識が薄い時代も確かにありました。
最近では生徒の指導を充実させるためには、複数の教員の目が必要不可欠であるという考え方が主流となっています。
学校全体を良くしていくために、まずは教員が一丸となり、
各種会議では問題を共有し、グループ単位で課題に取り組む動きが目立ってきています。
一方で、まだ「個」の意識が抜け切らない現場もあり、
多くの学校ではこれを改善すべき点として挙げているのが現実です。
私立は「学校法人」で私立学校教員は「会社員」
私立と公立の大きな違いは法人であるかどうかです。
私立はそれぞれに経営者がいる「学校法人」であり、勤務する教員は「会社員」ということになります。
生徒の成長を導く「教員」でありながら、法人の繁栄のために日々勤務している「会社員」という側面もあるわけです。
結果、前述したような「個」に偏りがちな教員の在り方は私立では通用しません。
あらゆる場面で他の教員と連携しながら業務を進めていくことが多く、
勝手な判断が許されない現場は時として魅力に感じることもあるものです。
このあたりは実際に中で働いてみないと合うかどうかは分からない、ということもありますが、
大前提として私立を志す場合は会社員として従事することを心得て、
学校の経営方針、つまり教育方針を十分に理解し、賛同することが必須です。
生徒指導・進路指導の熱量の差
私立は生徒指導や進路指導の占める割合が高い
前述したとおり私立は法人です。
安定した経営状態を守りながら教育活動に邁進していく私立教員の業務は、
生徒指導・進路指導の占める割合がかなり高くなります。
入学した生徒が大きく成長し、進路を切り開き、満足して巣立っていくためにも、
日々の生徒指導は徹底しています。それぞれの学校の校則に則って指導をしていき、
違反した生徒とも向き合っていく毎日は想像以上に骨が折れるかもしれません。
進路指導においても、卒業後に進む道が未定である生徒が、出ることのないよう指導が行われます。
進路の実績が次年度以降の生徒募集に影響を及ぼします。
公立は配属先で差が大きく適応能力が求められる
生徒の自主性を第一とする場合も多く、学校によっては最低限の生活指導のみとなることもあります。進路指導も同様です。
公立校は配属先によって差があるため、適応能力が求められるといえるでしょう。
学校の方針を理解して信念を持って働くことが重要
私立、公立に関わらず、学校にはそれぞれの方針があります。
教員は個人の信条と学校方針との折り合いを、
どのようにつけるか真摯に向き合わなければなりません。
私立志望の場合は、学校経営の一端を担っているという意識を強く持ち、
ぶれない指導を行わなければなりません。
公立志望の場合は異動に応じて指導の在り方を柔軟に変化させていくことが大切です。
どちらを選択してもそこには確固たる信念が求められます。
それこそが人を教え導く職業である教員に必要な資質の一つだといえるでしょう。
非常勤講師という選択肢も
教員志望者の中に正職員として採用されることを目指さない人がいるでしょうか。
ほぼいないといっても過言ではないでしょう。
採用試験の対策をしたり、面接の準備をしたりして、
正職員として夢を実現する日を思い描いていることと思います。
ここで一つ極端な提案ですが、非常勤講師としてまず現場に出るというのも一つの選択肢です。
そこで本物の空気を吸い、熱量を体感するのです。
収入や保険関係で不安に感じることもあるかもしれません。
多くの場合、非常勤講師は授業のコマ数も多いため、ほぼフルタイムで働くことが可能です。
もちろん時数に不足を感じる場合は、複数校掛け持ちすることもできます。
非常勤講師は授業以外の業務にはほぼ関わらないため、
教科指導力を大きく向上させることが期待できます。
公立志望であれば採用試験の勉強との両立もでき、
私立志望であれば非常勤講師から正規採用の道が拓けることもあります。
教員としての未来像に不安がある人こそ、非常勤講師として一度勤務することをお勧めします。
今後のキャリアや教師としての在り方から検討を
ここまで私立と公立の違う点や特徴、働き方を解説してきました。
私立か公立以外にも正社員ではなく、非常勤講師として働く道もあります。
自分が教員としてどうありたいか、学校の理念に賛同できるのかなど、
自分自身に問いかけて検討してみてくださいね。
小学校や中学校での働き方など、edulo.jpでは働き方について、
詳しくまとめた記事も掲載していますので、
下記の記事も学校選びの参考にしてみてください。