これまで副業に消極的であった大企業が副業を解禁したり、副業を前提とした採用形態が始まってきて、副業について世の中で取り上げられることが多くなりました。
今回はあまり知られていない学校教員の雇用形態別で専任教諭・常勤講師・非常勤講師など、それぞれの副業事情について解説します。
私学教員は法律的には副業の制限はない
まず、学校教員が副業をすることに問題があるかどうかですが、勤務先の学校が公立なのか私立なのか、また雇用形態が常勤なのか非常勤なのかなどで変わってきます。
原則、副業が認められていないのは公立学校の専任教諭や教諭に準ずる雇用契約での教員となります。私立の学校教員は法律的には副業を制限されていないものの、勤務先の学校の就業規則次第となります。
非常勤講師は副業をしている人が多い
担当する単位数や実際の授業数で給与が決まることが多い非常勤講師では、その担当する授業数によって副業や掛け持ちをすることが多くあります。
そんな非常勤講師の副業としては、主に下記の2つがあります。
- 他の学校と掛け持ちする
- 予備校・学習塾の時間講師のアルバイト
それぞれ解説していきます。
1.他の学校と掛け持ちする
すでに着任、採用が決まっている学校の授業の時間割に支障がなければ、他校との掛け持ちは可能です。
ただし、非常勤講師として掛け持ちを前提に、複数の学校を並行して就職活動・転職活動をすると、一方の学校で決まった時間割と、もう一方の学校の時間割が重なってしまうことがあります。
あらかじめ他校で非常勤講師としての就業を予定していることを伝え、スケジュールに無理がないか、よく確認しておかなければなりません。
2.予備校・学習塾の時間講師のアルバイト
日中は学校で勤務し、夕方以降は予備校・学習塾で時間講師としてアルバイトをしている非常勤講師も多く存在します。
予備校・学習塾の時間講師や学校教員も皆、生徒を前にして授業を行うという点において、仕事内容は非常によく似ています。
しかし、生徒の学習意欲や教育への取り組みとしては違う部分があるため、学校教員と予備校・学習塾の時間講師とでスイッチを切り替えて対応しなければなりません。
例えば、学習塾では人手不足の場合に専門外の教科を教えることがありますし、中学校・高等学校の教員でも小学生の指導を行うこともあります。
学校とは違い、自身の専門教科以外を教えることになる可能性があることを認識しておきましょう。
常勤講師は忙しさから副業は現実的ではない
常勤講師も副業は可能ですが、日中の仕事量が専任教諭とほぼ変わらず、負担が大きいため、あまり現実的ではありません。また、その学校で専任教諭の登用を目指している場合、副業をすることはオススメできません。
常勤講師の副業について学校の規則で許可が必要な場合もあります。専任教諭志望の常勤講師が副業の許可を求めると、学校での就業に対する意欲が低いと判断されてしまうこともあり、専任教諭への登用を見送ってしまうかもしれないためです。
自身の業務量やキャリアをよく考えたうえで判断をしましょう。
専任教諭の副業はできる範囲が狭い
専任教諭の場合も学校の就業規則によることが多いです。
しかし仮に副業が問題ないとしても、常勤・非常勤講師よりも副業できる範囲が狭く、学校教員が行う副業として適しているもののみ副業が可能になります。
具体的には、各種検定試験の試験官や試験監督・教材作成や書籍などの執筆業等です。
正しい副業をして教員としてのスキルアップを
ここまで教員の勤務形態別に副業の可否や、実際の副業事情について解説してきました。
生計を維持することとしての副業ではなく、それぞれのメソッドを吸収し、本業の教員としてのスキルアップを目指すのも、副業の目的として良いのではないでしょうか。