教員採用試験必勝法!3自治体に合格した先輩直伝!

近年は下がってきたとはいえ、自治体や校種によってはまだまだ教員採用試験の倍率は高い状況です。新卒で合格する人もいれば、何年も講師として勤務しながら採用試験に挑戦し続ける人もいます。何が合否を分けるのでしょうか。その謎を新卒新採用で3自治体に合格した筆者が解明していきます。

参考:日本教育新聞,教員採用、倍率低下進む 自治体間の差も依然大きく,https://www.kyoiku-press.com/post-226525/,(参照2022-01-26)

まずは敵を知る!全国の自治体の募集要項をチェック

面接ではどのようなところが見られ、何を基準に得点をつけているのでしょうか。その答えはずばり募集要項の中にあります。例えば、神奈川県では求める教員像を次のように表しています。

①人格的資質と情熱をもっている人

②子どもや社会の変化による課題を把握し解決できる人

③子どもが自ら取り組むわかりやすい授業を実践できる人

さらに、それぞれをより具体的に説明しており、①の場合は次の4つの点を挙げています。

(1)豊かな人間性と社会性、高い対人関係能力とコミュニケーション能力をもっている人

(2)子どもへの教育的愛情と責任感、教職に対する使命感と誇りを持っている人

(3)高い倫理観をもち、公平・公正に行動できる人

(4)変化に対応し、学び続ける向上心をもっている人

参考: 神奈川県公立学校教員採用候補者選考試験について,https://www.pref.kanagawa.jp/docs/y4g/cnt/f7272/,神奈川県庁ホームページ (参照2022-01-18)

これらを見て、具体的にどのような人物かを想像してみましょう。(1)の場合は学校の友人や同年代の仲間だけでなく、さまざまなバックグラウンドをもつ人と関わり、その中で問題解決をしていけるような人が想像できますね。学校でのクラブ活動だけでなく、地域の伝統行事に関わって異年齢の人とコミュニケーションを取りながら行事を運営しているなど、さまざまなコミュニティに所属していることも考えられます。

(2)の場合は、教育的愛情があることが求められているので、ただ子どもを可愛がるような子どもにとって優しいだけの教員ではなく、時には厳しいことも伝えながら、決して見放さずに成長をサポートできる教員像が想像できます。具体的な行動としては、学習塾のアルバイトで子どもの志望進路実現に向けて授業したり、悩んでいる時に話を聞いてメンタルケアしてあげたりしていることなどが挙げられるでしょう。

(3)の場合は、善悪の判断をしっかりと行い、子どもを正しい方向へ導くことができる人があてはまります。具体的な行動としては教育実習やボランティア活動の中で子ども同士の問題を解決した経験や、不適切な発言をした子どもに対してなぜそのようなことを言ってはいけないか説得した経験などが挙げられるでしょう。

(4)の場合は現代の教育事情の変化、例えばオンライン授業などに対応できる人の姿が浮かびます。ビデオ通話のアプリなどを用いて家庭教師や日本語教師などをしている学生などがあてはまるでしょう。

求める教員像は県によって大きく異なります。次に示すのは三重県のものです。

①教育に対する情熱と使命感をもつ人

②専門的知識・技能に基づく課題解決能力をもつ人

③自立した社会人としての豊かな人間性をもつ人

さらに、③については、「優れた人権感覚と社会人としての良識に富み、組織の一員として関係者と協力して職責を果たし、子どもや保護者との間に深い信頼関係が築ける人」と説明があります。

上記の人物像を想像すると、「優れた人権感覚をもつ」ということから高齢者や障がい者などさまざまなハンディキャップを抱えた人々を支え、一人ひとりの権利を尊重できる人が考えられます。具体的には介護施設でアルバイトをしていたり、障がい者と一緒に地域のバザーに出店したりするなど、差別することなく、さまざまな人と関わり、弱者を助けられるような人があてはまると言えるでしょう。

参考:教職員採用,https://www.pref.mie.lg.jp/KYOSYOK/HP/pa000066609.htm,三重県庁ホームページ (参照2022-01-18)

自己分析を通して自分の強みを知る

幼少期から今まででどのようなことに取り組んできたのか、何が好きでどのような場面でどのような行動をしてきたのかを時系列で振り返ってみましょう。アルバイトやクラブ活動での経験や、人に胸を張って自慢できる経験などを具体的に思い出して書き出すことが必要です。それらの経験や自分の資質と各自治体が求める教師像を照らし合わせ、受ける自治体を決めるのが良いですね。もし地元しか受けられないという場合は、自分の経験や強みと自治体の求める教師像が結びつくエピソードを考えたり、新しくアルバイトやボランティア活動に参加したりして、自分を求める教師像に近づけましょう。

繰り返し過去問を解く

各自治体の一次試験の問題にはそれぞれ出題傾向があります。例えば、神奈川県の国語の場合は漢検1級レベルの漢字や、二十四節気などの文化的な知識が求められますが、三重県の国語では知識問題は一切問われず、従来のセンター試験のようなマーク式の評論文、小説、古文、漢文が出題される傾向です。もちろん全て完璧にして試験に臨みたいですが、どの問題を自分の得点源とするのかを考えたり、計画的に勉強したりすることも必要ですね。また、問題の傾向に慣れることも大事ですが、そもそもの能力を高めることも同じくらい大切です。受験自治体の出題方式がマーク式であっても、記述式問題にも取り組むとよりいっそう力がつきます。問題集は全国の自治体の過去問が入っているものがおすすめです。

各自治体の生の教育事情を仕入れる

各自治体が今どのような課題を抱えているのか、どのような改革を進めようとしているのか最新の生きた情報を仕入れることが大切です。特に今まで住んだこともない自治体を受験する場合はなおさらでしょう。例えば、ICT教育に力を入れようとしているが、各学校にタブレットを支給したきりその活用方法が示されず、学校でうまく活用されていないなど、そこで勤務していなければ分からない事情は多々あります。その自治体で勤務している教員の先輩や、出身の友人などから教育事情を仕入れましょう。

このような情報を仕入れておくと、面接で自治体ならではの質問が出た場合にも他の受験者と差がつくリアルな回答ができます。また、その自治体の地域や学校それぞれにどのような特徴があるのかも調べておくと良いでしょう。

仲間を作って面接、討論練習を重ねる

面接は教職支援のOBに見てもらうだけでなく、友人と面接官役、受験者役になり日々ロールプレイしましょう。その際には、お互いに気づいたことを言い合い、自分で改善していくことが大切です。面接に正解はないですが、正解を求めて議論することでより合格に近づけます。討論練習についても同じことが言え、友人と練習することで自分では気づけなかった視点に気づくことができるでしょう。同じ質問を本番で聞かれた際にはそのまま友人の良かった答えを言うこともできます。討論練習をあまりしていなかったために、講師経験者たちの勢いに圧倒されて本番で意見が言えなかったという話を聞いたことがありますが、普段から練習を重ねていると、話に割って入っていける勇気や、さりげなく話を転換したりするテクニックが身につくでしょう。その際にも他の人の良いところをよく観察し、取り入れられそうなところはどんどん取り入れるのが大切です。

合格のその先を意識しよう

以上、教員採用試験必勝法をお伝えしました。合格は目標ではなくあくまでスタートにしかすぎません。それを理解し、教員になってからの具体的な姿を想像しながら日々勉強や課外活動などに取り組む人が合格を勝ち取れます。理論も大切ですが、経験を増やし、自分の言葉で語れることを増やすことも重要ですね。大学生ならば、ボランティアやクラブ活動のコーチなどを通じてできる限り学校現場に入る経験を増やしましょう。日々の勉強に加え、目の前の子ども一人ひとりと向き合うことがそのまま教員採用試験合格へとつながります。

最新情報をチェックしよう!