私立学校の教員になりたい! 教員採用と公立学校との違いを徹底解説

教員を志している学生の方々の中で、私立学校の教員になりたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

私立学校の教員になるためには、どうしたらよいか知っていますか。今回は、私立学校での採用を希望している学生や、進路を迷っている学生のために、私立学校への就職方法やその手順、公立学校との違いについて詳しく解説していきます。

まずは、教員免許状を取得しよう!

公立学校であっても私立学校であっても、教員免許の取得までは同じです。大学などで教職課程を取り、教員免許を取得、または取得見込みでなければ教員採用試験を受けることはできません。

はじめに、私立学校と公立学校の教員採用試験の違いをお教えします。

私立学校の採用試験の特徴とは?

公立学校の採用試験は、採用する自治体から採用試験の日程が公開され、一斉に試験が行われます。2024年度からは採用試験の日程を前年より前倒しした自治体が多く、概ね一次試験が6月中旬二次試験が7月中旬に実施されるようになりました。

一方、私立学校の採用試験は、基本的にそれぞれの学校毎に行われるので、学校毎に試験を受けていきます。

学校毎に試験を受けよう!

私立学校の採用試験スケジュールを見ると、多いパターンは、前年度の3月の募集開始と同時に学校ホームページ一般財団法人 日本私学教育研究所のホームページ、各大学の教員募集をしている部署などに採用案内が掲載されます。5月頃から6月に学校毎に就職に関する説明会が実施され、夏に試験を受ける流れになります。

私立中学高等学校協会主催の「私学教員適性検査」を受けて待つ

夏頃に行われる採用試験については、各学校が独自で「適性検査」を行う場合と、私立学校の協会が主催する「私学適性検査試験受験」を受ける場合があります。

各学校の適性検査を受けた場合、合格できるのは採用試験を受けた1校のみです。「私学適性検査試験受験」を受けた場合には、試験の結果が協会に登録をされ、各学校から受験者に対して個別に合否の連絡や個別試験への案内が送付されてきます。

試験内容は学校によって多種多様

試験内容は、「教職に関するもの」と「専門教科のもの」と公立学校の採用試験と大きな差はありません。学校によっては面接や模擬授業、実技試験を課してくるところもあります。

公立学校との特に大きな違いは、私立学校は公立よりも「学校理念」が強く重んじられる傾向があることです。

例えば、英語教育に力を入れていて、教科の授業を英語で行う「イマージョン教育」を実行しているのであれば、教科の専門的な知識を持った上で英語の能力もある人を採用しやすい傾向にあります。

学校の教育理念や建学の精神に関する問題など、独自性のある試験を行ってくることも多いので注意が必要です。

採用時のポイントは、学校や理念と合っているかどうか

学生を指導していると「私立と公立、どっちの採用試験を受けるとよいですか」と質問を受けることがあります。公立は、よほどのことがない限り「免職」「解雇」されないというメリットがあります。終身雇用がある程度保障されていますし、福利厚生も充実しています。

一方、私立の場合には、学校の経営状況によっては途中で解雇される可能性もあります。ただし、私立学校の方が能力に応じて給与が支給されやすいため、平均で見ると公立学校よりもやや給与が高い傾向があります。

採用試験を受けるにあたって給与面や保障面を注目しがちですが、一番大切なのは自分の考えが「学校の考え」に合っているかどうかです。私立学校では「建学の精神」がとても重視されます。建学の精神や学校理念と自分(受験生)のやりたい教育が一致しているのであれば、働き始めてからも気持ちよく働くことができるでしょう。

一方で、ミスマッチをしていると、とても苦労することになります。私立の場合、子どもたちや保護者も建学の精神や学校理念を理解して、わざわざ選択して入学してきます。この意識の違いは、「みな平等」な教育を受けることができる公立学校とは大きく違うところです。

学校理念にみんなで取り組んでいこうとする学校の中に、その意識について行くことができない教員がいたら仕事をしづらいのは想像できると思います。

異動が少なく、職場選びが後のキャリアを決める

私立学校では、公立学校と異なり、転勤になるケースが少なく、同じ学校に勤め続けること多いです。

私立学校でも系列の高校や小中学校をもっているような大きな学校の場合には異動もあります。だからこそ、職場選びが非常に重要になります。

私立の教員に向いている人ってどんな人?

これまで紹介してきた私立学校に教員に向いている人は一体どのような人なのでしょうか。ポイントになるのは「特化した教育」にチャレンジしてみたい人であることです。

私立の場合、英語やスポーツなど何らかに特化した教育を実施しているところが多くあります。

例えば、「高校球児を育成して甲子園に出たい」「オリンピックの育成に関わりたい」「国際バカロレア教育に取り組んでみたい」など、一般の公立学校で指導をするのでは難しい教育に挑戦してみたいと思っている方は、私立学校の方が手腕を発揮できるケースが多いと言われています。

ただし、前述したように「学校理念」と離れていては採用されても手腕を発揮することができないため、たくさんある私立学校の中から、自分がやってみたい教育があるところに行って試験を受ける必要があります。

意外と多い「公立⇒私立」「私立⇒公立」の転職 その理由は?

教員を現職でしている人の中には「公立学校から私立学校へ」または、その逆といった転職をする人も多くいます。公立から私立に転職する人は、仕事をしているうちに自分の本当にやりたい教育を見つけて、特化したことができる私立に転職する人が多くいます。

また、公立学校での活躍が認められ、私立学校から引き抜きをされていくようなケースもあります。私立から公立への転職組は、就職したものの私立学校の学校理念と一致できなかったり、終身雇用でない点に不安を持って公立にやってくる人もいます。

現在40代の教員は公立学校の採用数が非常に少なかったため、公立と私立の両方の採用試験を受けて、受かった方に行く人も多くいました。私立の非常勤講師であれば、複数の学校を掛け持ちして仕事をするということも可能であったため、意外と私立学校で経験を積んでいる教員は年齢が高いほど多くいます。

採用数は少ない狭き門だが魅力いっぱいの私立学校

私立学校は、子どもから人気の学校になればなるほど教員の人気も高く、採用の倍率は高くなります。いくつもの学校を掛け持ちして受験することができるメリットもあります。

特定の理念や教育に特化した授業をしてみたいという人には、学校の理念と合っていれば、一番力を発揮することができる場所でもあります。採用数が少ないので、狭き門のような感じがしますが、教育実習や説明会などを通して学校に興味を持つことができれば、私立学校の先生も面白いと思いますよ。

参考文献:大阪私立中学校高等学校連合会,https://www.osaka-shigaku.gr.jp/teacher/recruit.php,(参照 2024-12-10)

参考文献:一般財団法人 日本私学教育研究所,https://www.shigaku.or.jp/employ/recruit.html,(参照 2024-12-10)

参考文献:私立学校法,文部科学省,https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/001/001.htm,(参照 2024-12-10)

 

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