特別支援教育支援員とは?業務内容や必要な資格を紹介します!

特別支援教育支援員(特別支援協力員)」という職業を耳にしたことはありますか。文部科学省は平成19年から特別支援教育支援を設置し、予算措置を行ってきました。そのため、子どもたちだけでなく、保護者の方々からも「特別支援教育支援員」についてあまり知られてはいません。

今回は、今の学校運営を支える上で重要な役割を果たしている「特別支援教育支援員」の業務内容や「特別支援教育支援員」になるにはどうすればよいのかを紹介していきます。

特別支援教育支援員が配置される理由

 はじめに特別支援教育支援員が配置された目的として、文部科学省は『幼稚園、小・中学校、高等学校において障害のある児童生徒に対し、食事、排泄、教室の移動補助等学校における日常生活動作の介助を行ったり、発達障害の児童生徒に対し学習活動上のサポートを行ったりするため』と示しています。発達に困難さを抱えている児童生徒が学級にいると個別にサポートする必要があり、担任以外でサポートを担うのが特別支援教育支援員になります。なお「特別支援教育支援員」という名称は各地で名称が変わり「特別支援協力員」「学習支援員」「教育補助員」と言われているところもあります。

参考文献:「特別支援教育支援員」とは?【知っておきたい教育用語】,https://kyoiku.sho.jp/92829/,みんなの教育技術,(参照2023-05-10)

特別支援教育支援員の業務内容とは?

特別支援教育支援員の仕事について文部科学省は下記の通りに業務内容を示しています。

〇授業における個別支援(ノート指導、指示の確認、用具準備、課題取り組みへの援助)

〇生活面、安全面に関する支援(移動補助、身辺の介助)

〇心理的安定や適応促進に関する支援(クールダウン、相談)

〇支援対象者のための個別的な教材作成

〇校内巡視による声掛けや様子の変化等の把握

ポイントになるのは「個別の支援」をすることが目的であるという点です。したがって、全体の学習指導を担ったり、学級の前に立って指導をしたりするということは業務内容の範囲外になります。学級担任をもつこともできません。クラスの中で個別の支援が必要な子の横について、サポートをするのが主な仕事になります。特別支援教育支援員の配置人数に関しても学校規模だけでなく、作成が義務付けられている「個別の支援計画」の児童生徒数に応じて配慮が行われます。

「特別支援教育支援員」の業務内容は学校事情によって大きく変わります。具体例としては

〇小学校低学年に配置され、集団行動(移動教室や着替え)ができない児童の支援をする

〇学習に遅れがみられる児童生徒の横について学習支援をする

〇校外学習や水泳授業のときの準備、移動のサポート

このような内容を行います。いずれも担任をサポートする重要な役割であり、個別の支援が必要な子どもを「特別支援教育支援員」の教員がサポートしてくれることで集団行動や学習に遅れが出ないようにします。

どのクラスに入るのか、週何時間の勤務になるのかは学校の管理職と相談をして決定していきます。

参考文献:「特別支援教育支援員」を 活用するために,https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.pdf,文部科学省 初等中等教育局特別支援教育課,(参照2023-05-10)

「特別支援教育支援員」になるための資格や任用条件

「特別支援教育支援員」の任用に関して文部科学省は『必要な資格は問わない』としています。したがって、教員免許を保有していなくても特別支援教育支援員になることは可能です。教員免許を保有している特別支援教育支援員は、全体の6割程度というデータもあります。しかし、自治体によっては任用の段階で教員免許や保育士免許、心理士や社会福祉士の資格をもっている人を優遇していることがあり、倍率の高い自治体で採用を目指す場合は、教育に関わる免許や専門性、経験をもっているほうが有利です。

任用に関しては多くの場合、地方公務員法上の会計年度任用職員として採用されます。そのため、地方公務員としての「職務遂行に伴う義務」「身分の保有に伴う義務」などを遵守する必要があります。また正社員ではなく、年度ごとの契約更新が必要になり、学校も他の先生と同じように転勤が生じる仕事です。管理職による勤務実績の評価もあります。

勤務日数は週5日から3日程度のことが多く、勤務時間も毎日5時間程度に収まるよう調整されます。クラスに入る時間だけでなく、事務作業をする時間も勤務時間に含まれ、研修制度が設けられている所も多いです。年次休暇も付与されることが多いですが、児童生徒が登校しない休業日や夏休み、冬休み期間は勤務がなくなります。

参考文献:資料8:特別支援教育支援員について,      https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1312984.htm,文部科学省 初等中等教育局特別支援教育課(参照2023-05-10)

現場に求められる特別支援教育支援員を生かす体制

「特別支援教育支援員」は、活用する現場が特別支援教育支援員をどのように生かすかが大切になります。

現場は、まず支援対象となる子どもの特性を理解していること、そして子どもの保護者の願いを知っていなければいけません。子どもや保護者が望んでいないことをすれば、適切な支援にはつながらないのです。

そこで重要になるのが「特別支援教育コーディネーター」です。各校に配置されているコーディネーターは特別支援教育支援員との情報共有、支援員がやることの明確化をする必要があります。支援内容を決める際には、子どもや保護者の願いを十分に意識して方法を決めます。特別支援教育支援員を活用できていない学校は、子どもの行動の後始末をする役割しか与えていない学校です。対応に苦慮する子がいるから支援員を配置するのは、単に担任の先生の不足分をサポートする役を頼んでいるだけです。問題がないときは、特別支援教育支援員の先生は何をしてよいのか分かりません。一方、特別支援教育支援員を活用している学校は、コーディネーターが特別支援教育支援員の話をよく聞き、情報の収集・共有を行っています。学校の事情をよく知るのはコーディネーターなので、普段からコミュニケーションを取ることが重要になります。

特別支援教育支援員の役割は、後処理をすることではなく、困り感をもつ子どもが安心して学校生活を送っていくことができるようにするために先手を打ってサポートすることです。このほうが子どもは主体的な学びをすることができるので、成長を期待することができます。特別支援協力員は学校の先生とは立場が違います。逆に「違う」という強みを生かすことで、普段は見ることができない子どもの様子を知ることもできます。

参考文献:参考1 「個別の教育支援計画」について,        https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361230.htm,文部科学省 初等中等教育局特別支援教育課,(参照2023-05-10)

子どもも先生も笑顔になれる仕組み作りが大切

特別支援教育支援員については、学校の先生によって見方が大きく違います。共通しているのは、個別対応が必要な子どもに対してのサポート役となり、子どもたちを笑顔にしていることです。

担任の先生としても支援の手が届かない子に支援してもらうことで、担任自身が助かることになります。協力員を目指している人は、どんなことをしなければいけないのか自分の役割を理解し、責任をもって取り組むことができるとよいですね。

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