特別支援学級へ転籍を考える児童・生徒への関わり方

椅子と机

勉強がついていけない生徒や自分の席でじっとしていられない生徒、感情のコントロールがむずかしい生徒など、通常学級の中でなかなかうまく学校生活を送ることができない生徒をみていると、担任は「特別支援学級でこの生徒に合った学習をした方がいいのでは…?」と考えることもあるでしょう。

勉強がついていけない生徒や自分の席でじっとしていられない生徒、感情のコントロールがむずかしい生徒など、通常学級の中でなかなかうまく学校生活を送ることができない生徒をみていると、担任は「特別支援学級でこの子に合った学習をした方がいいのでは・・・?」と考えることもあるでしょう。

この記事では、小学校で通常学級から特別支援学級への転籍を進めた際、実際に担任がどのように生徒と保護者に関わっていくとよいか、現場に勤めている方の経験談も含めてお話していこうと思います。

担任一人では進めない

まず最も大切なことは、担任一人で進めるのではなくチームで進めるということです。

通常学級には様々な生徒がいます。その中で、他の生徒と比べて「失敗」の回数や程度が明らかに違う生徒がいると、担任としては気がかりです。中には一人で「困っている」担任の先生もいらっしゃるかもしれません。

しかし、数々の「失敗」で本当に「困っている」のは生徒本人です。少しでも「困っている」状態を減らせるように、「失敗」の場面や原因、改善策を見つけるには、担任一人の目では限界があります。
担任一人が対応しているのか、多くの先生が関わってくれている中で、保護者の安心感は変わります。そして、学校に対する信頼も違ってきます。
多くの場合、保護者も「困っている」のです。保護者が担任や学校に不信感を持ってしまうと、その後の連携がことごとくこじれてしまいます。

生徒のためにも、担任のためにも、保護者の安心感と信頼がとても重要です。だから、担任一人で進めるのではなくチームで進めることが大切です。

チームで生徒を見ていこう

では具体的にどのようなメンバーでチームを構成するのか説明します。
以下は小学校・中学校を例にして、説明します。

メンバーは、「担任」「特別支援コーディネーター(勤務校では、支援学級の教員の1人が担当していました)」「特別支援学級の教員(特別支援コーディネーターとは別に)」「養護教諭」「教頭」(・可能であれば、支援員や教科担任など、学級に関わっている先生も)です。

次に、どのような取り組みをするのか説明します。

まず、上記のメンバーでチームを組みます。それぞれの担任の先生から生徒の様子を聞いたり、すぐにできる対応策を考えたりします。

例えば、うまくいかないことがあると取り乱して教室を出てしまう生徒がいるとすれば、隣の空き教室を整えて、落ち着く場所として確保するなど対応をとります。そして、毎月(担任が必要だと感じた時にも)チームのメンバーが集まるなどして、対応をとります。さらに、職員全体の会議の場でその児童たちの様子と対応策を伝えるなどして、対応をとります。生徒の実態を知ってもらい、何かあった時には知らせてくれるよう協力をお願いすることはすごい重要です。

実践例

「通常学級から特別支援学級への転籍」とは違いますが、実際に現場で働いている教員の方のお話です。ある小学6年生の支援学級の児童の為にこのようなチームを組んで対応をしていたとのことです。
まずメンバーとして、小学校のチームに、「中学校の特別支援コーディネーター」「中学校の教頭」「教育委員会から1人」「保健師(乳幼児健診などを通して児童と保護者をよく知っていたので)」を加えて構成されていました。その児童のために、保護者と中学校の先生が面談する場を設けたり、保護者が気心を許している保健師が密に相談に乗るようにしました。不安感の強い保護者だったので、安心して中学校に入学できるように役割を決めて取り組むことにしたのです。毎年メンバーは変わるので、記録をファイルしておき、引き継いでいきました。

次に、実際にどのように保護者に知らせたかを説明します。
ある小学1年生の児童のお話です。
うまくいかないことがあると取り乱して教室を出てしまう児童のため、お母様に学校に来てもらい、担任が話をしました。

・特に国語の時間にうまくいかないことが多い

・取り乱して教室を飛び出し、「自分はダメなんだ」と泣いている

・隣の空き教室を落ち着く場所として整えた       

担任だけでなくチームのメンバー全員の目でみた様子と対応策を知らせました。

そして、

・「困っている」様子がよくみられるので、心配している

・家では、どんな様子か。不安を口にしていないか

と親身になって伝えました。何となく予想はしていたもののショックを受けていたお母様でしたが、家での様子を話してくれました。数日後、お母様が学校に生徒の様子を見に来てくれました。我が子が学校で「困っている」姿を実際に見ると、お母さんの考えも「何となく」ではなく一気に現実的になってきます。

担任とお母様は面談を重ねて、生徒の様子を話し合い、学校での対応を知らせていきました。面談を重ねる中で「発達障害があるのでは?」というお母様の考えを知ったタイミングで、担任は「心配ですよね。病院に相談に行かれてはどうですか。検査したり、アドバイスをもらえたりするのでは。」と声をかけました。そうして、病院(小児科や発達外来など)で診断を受けました。

その当時、勤務していた自治体の教育委員会では、11月に次年度の在籍ついて会議が開かれます。通常学級から特別支援学級へ転籍を希望する場合は、それまでに決断することになっていました。これを機会に、「◯◯さんが自分のペースで落ち着いて学習できるように、特別支援学級に在籍するということも考えてみてはいかがでしょうか」と担任から伝えました。

「病院での診断」と「支援学級への転籍希望」は、前後することもあります。保護者の気持ちは「支援学級がいいかな」「やっぱり通常学級で頑張れるかも」と揺れ動きます。担任と保護者、時にはチームのメンバーとして保護者にも参加してもらったりしながら、丁寧に面談を重ねていく中で決断していきます。

何を選択しても継続的な支援を

先述の小学1年生の児童は、その後支援員にサポートしてもらいながら2年生に進級すると、通常学級で生活することを選びました。進級した後もチームでの見守りやお母さんとの面談を継続しました。小学3年生に進級すると、特別支援学級に転籍しました。

特別支援学級に転籍した場合でも、通級を選ぶ場合もあります。国語と算数以外は通常学級での授業に参加するなど、様々な選択があります。

頻度は減っても生徒が卒業するまでチームでの見守りを続けていくと、生徒も、保護者も、担任も安心できるでしょう。

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