学校内にいるのは教員だけではない!教員を目指すなら一緒に働く「職員」のことも知っておきましょう

教育現場では「教員」以外の存在も欠かすことができません。それぞれの職員には立場と仕事の内容が細かく割り振られています。関わる機会も多いので、教員を目指すのであれば教員以外の仕事について理解しておきましょう。

学校には欠かせない陰で支える5種類の職員を紹介

それでは、学校にいる職員についてご紹介していきます。これからあげていく職員は、全ての学校に配置されているわけではなく、学校規模や児童生徒数によって違いがあるのでご注意ください。

県費事務職員・市費事務職員

 一般的に「事務」と呼ばれている職員が「県費事務職員」と「市費事務職員」です。県の教育委員会採用か、市町村採用かによって呼び方が異なります。主な業務は学校事務に関する仕事、特に学籍の管理や会計管理などを行っています。学校には「学齢簿」と呼ばれているものがあり、学校に通っている児童生徒は、学籍の記録として金庫に保管されています。これらの書類の管理や変更などの届け出を役所と行います。「準要保護」「要保護」世帯に関する補助金の申請や児童生徒から集めた集金の集約や業者への支払い、市などから出てくる補助金の交付手続きなども行います。

 教職員の人事に関する手続きや出張旅費などの管理も行っているので事務職員のところに入ってくる情報は管理職と同等の秘密情報が入ってくることも多くあります。教育委員会の事務方とのパイプ役も担ってくれるので、校内に整備不良の箇所があったり、破損があったりすると事務職員を通して市役所の修繕を担ってくれる部署と交渉することもあります。

子どもの食を守る栄養士・栄養教諭

 次に紹介するのは「栄養士」または「栄養教諭」と呼ばれている職員です。栄養士の場合は、職員ですが栄養教諭の場合、先生と同じ教員の立場になります。この職員は全ての学校に配属されているわけではありません。自分の学校で給食を作る「自校式」を採用している学校では配置されていますが、給食センターから配食される「センター方式」を採用している学校では、自治体内のいくつかの学校に代表して配属されている職員になります。

 主な仕事内容は給食の準備と管理です。給食と一言で言っても何百人もいる学校の給食を準備するのは簡単ではありません。早い時間帯からの下準備や給食後には片付けがあります。また、月ごとの献立の作成、栄養教諭であれば食育指導といったことも業務内容になります。特に献立の作成に関しては、近年アレルギーの問題もありかなり気を遣う作業です。学校給食は安全で当たり前という概念があるため、毎日神経を使いながら給食の準備を進めているお仕事です。

児童支援を目的とした特別支援協力員

 最近各学校に配置されることが増えてきた職員が「特別支援協力員」です。特別支援協力員は「幼稚園、小・中学校、高等学校において障害のある児童生徒に対し、食事、排泄、教室の移動補助等学校における日常生活動作の介助を行ったり、発達障害の児童生徒に対し学習活動上のサポートを行ったりする」のが主な活動内容になります。小中学校では平成19年から予算化され配置されています。

 特別支援協力員を担っている人は教員ではないため、教員免許を持っている必要はありません。採用は市町村単位で行われており、勤務形態も非常勤講師に近いです。このような協力員が配置されるようになった背景として次のような問題を解決するために採用されています。

  • 通常学級に在籍している発達障害児童生徒が増加傾向にあること
  • 不登校や適応教室に通う児童生徒が増加傾向にあること

 特別支援協力員の配当は学校の在籍児童生徒数によって変わりますが概ね1名から3名程度が多く、配置されるクラスも担任一人では大変な児童生徒がいるようなクラスや小学校の低学年が中心です。特別支援協力員は、教員ではないため担任を受け持つことや授業をすることはできません。個別対応が必要な子どもに対して支援をするのが大きな役割になります。

 近年では小学校や幼稚園だけでなく、中学校や高等学校にも配属されるようになり、特別支援協力員の増員を希望する声も増えています。しかし、教員不足と同じようになり手不足が問題になっている自治体も多く、場所によっては配置の枠はあるものの人がいないという問題が起きているところも多いです。

外国語教育を担うALT

 次に紹介するのは「ALT(Assistant Language Teacher)」です。主に英語学習の補助をする先生として配置されています。元々外国語の授業がある中学校では早い段階から配置されており、英語の授業でネイティブ発音をするための補助員として英語の授業を中心に指導をしています。ALTの先生については、採用や配置を民間委託しているところが多く、民間の派遣会社で英語指導をするための教育を受けてから各学校に配置されています。予算は各自治体から出ていますが、小学校でも外国語教育が始まったことによりALT不足が起きています。苦肉の策として一人のALTが2つの学校を掛け持ちするようなケースもあります。

 現在、英語教育はどの自治体も力を入れており、場所によっては自治体独自に予算化をしてALTの増員をしている学校もあります。英語教育を推進していくためにはALTの存在は大きく、今後も学校現場で活躍が期待されています。

さまざまな手助けをするスクールサポートスタッフ・学生チューター

 最後の紹介をするのが「スクールサポートスタッフ」です。スクールサポートスタッフ制度は自治体によって仕事内容がさまざまです。警察のOBを採用し、登下校の見守りや問題行動の児童生徒対応などを担っている県もあります。また、一般の方採用し、学校内の消毒作業や清掃、職員室内の印刷作業など職員の仕事を手助けする業務を委託しているケースがあります。「地域ボランティア」という形で地域の人にお手伝いを依頼する形は昔からありますが、最近は市町村が窓口となって採用し、学校業務を担う人材を採用しています。

 また、最近では「学生チューター」を採用している学校もあります。学生チューターは教育大学など教職を目指す学校に通っている学生を学校で採用し、アルバイトをしてもらうことです。授業支援や児童生徒のサポート、部活動支援などの業務にあたり、学校現場での経験を積んでいます。大学側も学生チューターをすることを推進しているところがあり、学生チューターとして勤務した時間を単位として認定しているケースもあります。

学校は教員だけでは成り立たない 陰で支えてくれる人がたくさん

 学校現場は「教員」と呼ばれている人だけでは成り立ちません。教員以外にも様々な人々が協力をしあって成り立っています。こうした職員との情報共有も学校運営上は大切になります。教職について現場に出るときには、誰がどのような仕事を担ってくれているのか理解して、分からない部分については頼ることも大切です。

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