教員の現職教育って何? 各校で実施する際のポイントを紹介します

現職教育とは?

教員を目指す皆さんは、「現職教育(または現職研修)」という言葉をご存知でしょうか。現職教育とは、職種を問わず、働いている人たちが、新しい知識や技術を身に付けるために受ける教育を指します。

教員の場合は、教員として就職した後の研究や訓練を指します。「教育基本法」第9条1項では「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」と定められており、教員である以上、学校教育の課題を積極的に研究し、より良い教育を児童生徒に提供する努力をしなくてはならないのです。

今回は、教員が参加する様々な研修の中でも、各校で行う現職教育に焦点を当てて紹介していきます。

テーマはどうやって決まる?

学校にはそれぞれ「教育目標」が設定されています。教育基本法が定めている教育の目標や理念を基に、各自治体が教育方針を決定し、これに準じて各学校が策定するのです。各校の現職教育では、この教育目標を達成するために、現職教育主任を中心に研究・実践を行います。

また、各校の現職教育のテーマは、児童生徒の実態や、その地域の特徴などから設定されます。全国や各自治体が行う学習調査や、いじめ・不登校の実態調査などの結果を基に、その学校が抱えている問題をあぶり出すこともあります。研究対象は、全校児童生徒を対象にする場合もあれば、特定の学級や学年に絞って変容を研究する場合もあります。

外部組織と連携する場合も

従来の現職教育は校内で完結する取り組みが多かったですが、近年は外部組織との連携で行うものが増えています。例えば、「大学の先生を講師に招いて研究を指導してもらう方法」や、「地元の人々に協力してもらい、その地域ならではの活動を体験する方法」などがあります。

具体的な内容としては、「部活動の地域移行」をテーマに地域のスポーツクラブと連携し、子どもたちへの影響を検証する方法、「GIGAスクール構想」で導入された一人一台端末を使って海外の学校と交流し、国際理念教育を行う方法などがあります。

現職教育で大切なポイント

テーマを意識した授業づくり

現職教育でより良い効果を得るためには、これを意識した授業づくりが大切です。

例えば、児童生徒の「話す力の向上」をテーマに設定し、これを達成するために「ペアトークを取り入れる」という手立てを考えていたとします。よくある失敗例としては、普段の授業でペアトークを取り入れておらず、公開授業の時だけ取り入れ、子どもたちが普段の授業との違いに戸惑ってしまうというケースがあります

現職教育のテーマに沿って毎回の授業をつくることは難しいかもしれませんが、普段から意識して成果に繋げましょう。

定期的な目標達成の検証

現職教育の目標を現時点でどのくらい達成できているか、学期や月ごとに定期的に確認することも大切です。成果を検証するためには資料やデータを溜めておくことも欠かせません。具体的なものとしては、「テストの点数の変化」「アンケート結果の変化」「児童生徒の様子をまとめた評価」などです。

普段から資料をこまめに集めておき、会議などでいきなり聞かれても答えられるように準備しておきましょう。

異動先の教員との擦り合わせ

各校の現職教育は、一つのテーマを一年で完了する場合もありますが、同じテーマで数年かけて取り組む場合もあります。後者は、長期的なデータを集め、子どもたちの変容をはっきりさせるのが目的です。この場合、新任や他校から転任しきてた教員は、現職教育の途中から参加することになります。前年度の結果を踏まえて取り組むため、状況を把握できていない状態で現職教育に取り組むと、周りから遅れを取ってしまいかねません。先輩教員たちから必要な情報やデータを教えてもらい、内容を擦り合わせた上で授業をつくっていきましょう。

現職教育が上手い学校は安定する

現職教育がうまくいっている学校は、子どもたちが安定している傾向にあります。

授業のやり方をテーマに現職教育を実施している学校の場合、全ての教員が同じような手法で授業を展開できていれば、新年度に担任の先生が変わっても授業のやり方に大きな変化がないため、子どもたちが安心できます。

反対に、現職教育が浸透していない学校は、それぞれの教員がバラバラの手法で授業を行うため、子どもたちが戸惑ってしまい、落ち着きがない傾向にあります。

現職教育は、その学校の教育方針を決める大きな柱になります。管理職や現職教育主任になった教員は、その柱が全ての教員に浸透するよう努力する必要があります。柱が揺らいでしまうと学校運営そのものも揺らいでしまう可能性があるということを意識し、責任持って業務にあたらなくてはなりません。

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