教員いじめについてのニュースは、若手教員や教員志望者に大きな不安を与えています。
今回は若手教員や教員志望者の不安を少しでも取り除くために、教員いじめの原因と対策について解説していきます。
教員いじめは本当にあるのか
結論から言うと、一連の報道のような教員いじめが顕著に発生している学校は現在少ないものの、
教員いじめが身近に潜んでいる可能性もあります。
なぜなら、教員の世界は他の職種に比べ、かなり特殊な世界であるためです。
教員の世界は年功序列の世界
教員の世界は年功序列です。経験年数が長ければ長いほど権力を持ち、周りの教員もなかなか意見を言うことができなくなります。
そのため、20代の教員は必然的に教員カーストの一番下の立場となります。
例えば、毎朝のお茶出し・清掃業務など、「若いんだから」と雑用を頼まれることが多くあります。
また、上座・下座などのマナーに厳しい方も多いため、無意識のうちに教員間での上下関係が生まれてしまいがちです。
自分の身を守るためには「先輩教員に対しても自分の意見をはっきり述べる」ということが大切です。
それと同時に、自分に後輩の教員ができたときには後輩への接し方に気をつけましょう。
教員いじめにつながること
教員いじめとまで言わないとしても、場合によってはそう捉えられてしまうこともあります。
ここではどんなことが「教員いじめ」につながってしまうのかを紹介していきます。
教員同士でのいじり
学校の実態にもよりますが、職員室ではその日の生徒の情報や指導内容が飛び交っています。
同じ空間で長く過ごすことでいつしか教員同士の緊張感がなくなり、何でも言い合えるような関係になることがあります。
人によっては、同僚のことを「家族」と呼ぶほど信頼関係を深めています。
これは良く言えば、「本音で語り合える関係」ですが悪く言えば「何を言っても許される関係」になってしまいます。
軽めの冗談だったものがいつしかエスカレートし、とても笑えない冗談になってしまうということも起こりえます。
生徒の前でのいじり
教員同士の仲の良さには児童生徒たちも敏感です。
「先生たち仲良いなぁ」と思わせることで全体として良い方向に向かえれば良いのですが、その関係性もエスカレートしてしまうと、生徒たちの前で先生をいじってしまい、その結果、生徒たちもそれを真似してしまうということがあります。
そうなってしまうと教員同士のみならず、教員と生徒も適切な関係を築けなくなってしまいます。
お互いに言いたいことが言える関係性を目指しながらも、適度な距離感を保つ必要性があります。
教員いじめに遭遇したら
教員いじめがあるような現場には配属されたくないですし、自分が被害者にも加害者にもならないよう、同僚との関わり方には気を付けたいものです。しかし、もし実際に自分の勤務校で教員いじめの被害者になってしまったら、また同僚が被害者になってしまったらどうすべきか、もしそうなってしまった場合の対処法を紹介していきます。
自分がいじめの被害者になってしまった場合
そもそもどこまでされたらいじめになるのか線引きが難しいという人は「一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、心身の苦痛を感じている」ことがいじめなのだと認識しましょう。
もしいじめを受けているのであれば、
一人で抱え込まず、すぐに誰かに相談してください。
教員仲間に相談する場合は、同年代の教員よりも加害者より
年齢の高い教員に相談をすると良いでしょう。
そうすることでまずは職場に自分の味方を増やし、
職場全体で注意してもらえる雰囲気を作ってもらいましょう。
もう既に手遅れで、職場でいじめが容認されている状態であれば、
無理して出勤する必要はありません。
市町村の教員委員会に事実を伝え、調査をしてもらいましょう。
事実が発覚すれば大きな騒動になります。勤務校や様々な方面に迷惑を掛けることになるでしょう。
しかし「そんな大事にして申し訳ない」と思う必要はありません。
あなたの気が病むほどのことをした教員と、
それを容認していた職場をかばうことはないのです。
あなたが声を上げることで、もしかしたら同じような
被害に遭われている方を救うことになるかもしれません。
同僚が被害者になってしまった場合
同僚が被害に遭っている場合は、まずはその同僚の話をしっかり聞いてあげましょう。
同僚の勇気が出ず言い出せないのであれば、
一緒に年配の教員や管理職に相談をしに行ってあげましょう。
また、多くの学校には学校内評価というものがあり、
1年間の学校全体の評価を匿名で書くことができます。
勇気が出なければ、その際に報告するというのもアリです。
もしあなたに職場内でそれなりの立場があるならば、
いじめをやめさせるような雰囲気を作りましょう。
もしくは第三者として、そのやりとりがいじめのように感じること、
不愉快であることを適切に伝えましょう。
残念ながら、悪気なく他人を傷つけてしまう人というのは大人になってもいます。
そのような場面に遭遇したら、誰かが傷付いていること、
教育者として振る舞いが不適切であること、
そして人の命に関わる問題であることを可能な限り気付かせてあげましょう。
年功序列な教員の世界はいじめが起きやすい
「いじめ」とは、そんな気はなくとも誰もが被害者・加害者になる可能性を秘めた深刻な問題です。
教員という仕事は、生徒の人格形成に携わる非常にやりがいのある仕事です。
勤務時間や部活動顧問制など、昨今では学校の問題点も浮き彫りになっていますが、
「大変だけど子供たちの成長の為に」と熱意を持って日々教壇に立つ先生がたくさんいます。
その反面、年数を重ねるうちに「自分は偉い」と錯覚を起こし、このような事態を招いてしまうリスクがある仕事でもあります。
年齢や実績などは関係なく、子供たちのお手本となるを教員を目指しましょう。