教員を目指すなら知っておくべき!教員免許状の種類を解説します

日本の学校で教員をするためには教員免許状が必要です。今回は教員免許状の種類について紹介します。

教員免許状は、普通免許状、特別免許状、臨時免許状の3種類があり、普通免許状は、下記の7つに区分されています。

  • 幼稚園教諭
  • 小学校教諭
  • 中学校教諭
  • 高等学校教諭
  • 特別支援学校
  • 養護教諭
  • 栄養教諭

修学レベルにより「一種免許状」、「二種免許状」「専修免許状」と分かれており、高等学校と中学校の免許状は、専門分野ごとに分かれています。

また、特別支援学校教諭普通免許状は幼・小・中・高のいずれかの免許状を持っていないと取得できません。

教員免許状を取得するために必要な単位とは?

どの校種・教科の教員免許状を取得したいかにもより異なりますが、例えば一種免許状(大学卒業程度)を取得する場合、教科及び教職に関する科目と教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目を合わせて、幼は59単位以上、小・中・高は67単位以上、養護教諭は64単位以上、栄養教諭は30単位以上の修得が必要となるのが一般的です。

どの免許状を取得するかによって必要な単位数が変わり、履修科目も多いため、早い時期からどの種類の教員免許状を取得するか決めておくことをおすすめします。

教員免許状は複数の取得が可能となっており、複数の校種・教科の教員免許状を取得している方もいます。授業数の少ない教科の場合は、別の教科の免許も取得することにより教員として採用される可能性が高くなります。

参考文献:教員免許状の取得について,https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/main13_a2.htm,文部科学省(参照2023-09-01)

3種類の教員免許!取得するべき免許の種類は?

教員免許は、卒業する学校によってその「種」が変わります。四年制大学を卒業すると「一種」、短期大学などを卒業すると「二種」になり、現在教員として活躍している人の多くは、「一種免許」を保有しています。「二種免許」に関しては「一種免許」への更新が努力義務となっているため、教職についてから免許を更新する人が多くみられます。

「専修免許」は大学院または教職大学院を卒業する必要があり、大学からそのまま大学院に進んで専修免許を取得する教員のほかに、教員になってから一時休職して教職大学院へ進学する人もいます。現職で教職大学院に行く場合には、身分や地位は保証されたまま(休職して)学ぶ制度があります。

免許状の種類によって給与や昇進に影響が出ることはめったにありませんが、管理職や教育委員会の指導主事には「専修」免許を保有している人も多く、教員になってからも自身のスキルアップを続けた人が昇進しやすい傾向にあります。 

社会人の有為な人材確保のための「特殊免許状」

「教員免許の取得は大学や通信大学に通って取得する」と思われていますが、実は大学などに通わなくても教員免許状が付与されるケースがあります。それが「特別免許状」です。

特別免許状は昭和63年に創設された免許状で「教員免許状を持たないが、優れた知識経験等を有する社会人等を教員として迎え入れることにより、学校教育の多様化への対応や、その活性化を図るため、授与権者(都道府県教育委員会)の行う教育職員検定により学校種及び教科ごとに授与する」免許状です。小学校から高等学校までの全教科の免許状を「教育職員検定」を受けて合格することで付与されます。

特に近年増えているのが「外国語を担当できる教員」です。小学校で英語が教科化されたことを受けて、外国語(英語)の指導者が不足しています。そこでALTとしての指導経験や英会話指導教室での講師経験がある人に免許状を付与して学校で指導するケースがあります。また、高等学校などで「情報」が必須となり、情報関係の資格保有者やシステムエンジニアとして勤務経験のある人に特別免許状が付与されます。

参考文献:特別免許状及び特別非常勤講師制度について,https://www.mext.go.jp/content/20210514-mxt_kyoikujinzai02-000014888_4.pdf(参照2023-7-10)

特別な場合に発行される「臨時免許状」

全国的な教員不足が言われている今日、報道でよく名前が登場する免許状が「臨時免許状」です。臨時免許状は普通免許状を有する者が採用できない場合に限り、例外的に付与される免許状です。立場上は「助教諭」の扱いになります。

付与は都道府県の教育委員会が行う教育職員検定に合格する必要があり、免許状には3年間の有効期限が設定されています。

教員不足により臨時免許状の発行が増加

ここ最近、発行数が増えているのが「臨時免許状」です。普通免許状を有する教員が見つからない場合のみ発行できる免許状ですが、発行数は年々増え続けています。令和元年には全国で9000件以上の発行がありました。

一例としては、小学校の教員が不足しているため、中学校教諭の免許しか保有していない人に対して臨時免許状が発行されているケースがあります。他にも保育士や特別支援協力員として活動していた人が、人手不足を補うために教員として任用を希望して臨時免許状が付与される場合もありました。

「潜在教員」とは?免許保有者の人材掘り起こしサポート

以前は、資格取得から10年経つと、教員は改めて講習を受けなければならず、その際、更新を行わず免許が失効した人も多くいました。

その教員免許更新制も令和4年7月1日に改正教育職員免許法の施行に伴い、解消されることとなりました。かつて失効した人も現在は免許状が復活しています。こうした教員免許を持ちながら学校から離れている潜在的な教員の掘り起こしを目的に自治体が、教員として教壇に立つ不安を解消することができるよう研修を実施しているところも増えています。

免許外教科担任制度とは?

教員不足を埋める方法として臨時免許状を発行する他に「免許外教科担任制度」を利用しているところも多くあります。

例えば、中学校において「技術」を指導する教員がいない場合、中学校教諭(理科)免許状を持っている先生が、免許外教科担任制度を利用して「技術」を指導するという方法です。本来、中学校や高等学校では、免許状にある専門教科しか指導することはできませんが、免許外教科担任制度を利用することで他の教科の指導をすることもできます。

この制度には、検定がありません。校長または教諭が都道府県の教育委員会に申請をして許可を得ると指導ができます。ただし、申請できるのは教諭として採用されている場合であり、臨時的任用講師や非常勤講師が、免許外教科担任制度を利用して他の教科を指導することはできません。

参考文献:免許外教科担任制度の在り方に関する調査研修協力者会議(第5回),https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/136/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2018/09/12/1408735_003.pdf(参照2023-7-10)

教員を目指すなら教員免許状の種類や教員の現状を知っておこう!

教員不足は深刻で、教員免許保有者を探しているのが実情ではないでしょうか。これから教員免許の取得を考えている人は、自分が働くことを考えている職種の免許状を取得するようにしましょう。学校によっては複数の免許状を同時に取得することもできます。筆者は、小学校の免許取得課程で、中学校と高等学校の教員免許も同時に取得しました。また、現職の方は、臨時免許状や免許外教科担任制度があることも知っておくことをおすすめします。教科担任が学校内で見つからない場合には、自分に話が飛んでくる可能性もありますよ。

参考文献:教員免許状の授与状況 総合教育政策局教育人材政策課ー文部科学省,

https://www.mext.go.jp/content/20211216-mxt_syoto01-000019593_003.pdf(参照 2023-7-10)

最新情報をチェックしよう!