【教師も見た目が9割】教科や事例別にTPOに合わせた教員の服装選び

大学生の頃は、スウェットで講義を受けていた、毎日Tシャツにジーンズだった、という人も多いのではないでしょうか。教員という仕事はTPO(Time・Place・Occasion)に合わせた服装がとても大切です。

担任の先生が、いつもスーツをビシッと着こなしている先生だったとしましょう。生徒は、授業中は気持ちが引き締まっていいかもしれません。しかし夏の暑い日や、体育祭、大掃除の時でもスーツだとしたら、生徒は先生に対して「あまり行事にやる気がないのかな?」「スーツは毎日ちゃんと洗っているのかな?」と思うかもしれません。生徒達と良好な関係を築くためにも、服装選びのコツを覚えていきましょう。

教科や立場の違いによる服装の違いを紹介

まず教師の服装といっても最初に話したように、体育教師がどこでもスーツというのが良いわけではありません。そのため教科や立場によって服装を意識する必要があります。まずは立場ごとに紹介します。

■学校内の立場別の服装

管理職

校長、教頭など管理職の服装です。企業で言うところの社長と副社長です。急な保護者対応や来客に対応できるようほとんどの学校の管理職はスーツを着用しています。印刷をしたり、掃除をしたりする時には、シャツの上に汚れても良く、動きやすいような上着を羽織ることもあります。

養護教諭

養護教諭には、身体的な怪我や体調不良の手当も他にも、心のケアをするという役割があります。そのことを考慮すると、華美な服装は避け、柔らかい色合いの服を選ぶとよいでしょう。また、怪我の手当で、できるだけ急いで現場に駆けつけなければいけないこともあります。いざというときのために、紐のある靴で、いつでも走って駆けつけられるように足元にも気を遣いましょう

特別支援学校、特別支援学級の教員

特別支援学校や特別支援学級を担当する場合は、動きやすいジャージの場合が多いです。なぜなら、一日中子供達から目を離すことができない状況が続き、着替えをするタイミングがなかなかないからです。
また、子供達の実態によっては、トイレの排泄の手伝いや、食事の補助を行うこともあります。このような理由から、ジャージを選択する教員が多いです。
教員が知っておくべき特別支援教育の記事はこちら

小学校教諭

小学校教諭は動きやすい服装が一番です。そのため、女性のスカートはオススメできません。給食の牛乳をこぼしてしまった児童の対応をしたり、身長の低い児童に対してしゃがんで接したりする時に動きが制限されてしまうことが多いからです。
また、男性は装飾の多いズボンやだぼっとした服装もオススメできません。児童達が体にまとわりついてきたり、服を引っ張ったりすることもあり、怪我の恐れがあります。
そのため、女性であればパンツスタイルに着脱しやすい上着やシャツが良いでしょう。また、カーディガンなどの上着を羽織るのも良いでしょう。男性であれば、ピシッとしたパンツスタイルにポロシャツやワイシャツが適していると言えます。その他にも、体育の授業のために動きやすいジャージも用意しておきましょう。

■教科別の教員の服装

技術科・家庭科・美術科の教員

上記の科目は、実習中に木くずや、金属片、絵の具や油が飛ぶことがあり、危険が生じることもあります。そのため、動きやすい服装に加えて、服装の素材にも注意しないといけません。
例えば、ジャージのような素材であったり、ポリエステルが多く含まれたりする服装だと、熱に溶けて大変危険です。綿製のものや、実習の時はエプロンを着用するなど、その日の授業内容によって変えましょう。また、生徒達にエプロン、マスク、三角巾を着用しましょうと指導をした際には、教員も同じ服装をしましょう
教員だけそのルールを守らなくて良いということはありません。安全第一の服装を考えて行動しましょう。

理科の教員

多くの理科教員は実験を行うため、白衣を着て授業を行います。理科を担当する場合は、白衣を複数枚持っておくと安心でしょう。
理科で特に気をつけなければいけないのは、冬場の袖口です。実験の際に、薬品が付いてしまったり、思わぬ所から引火してしまたったりすることがあります。そのため、袖がまくりやすい服装を選んだり、体にフィットした服装を選んだりするようにしましょう。

保健体育科の教員

実技の授業では、動きやすいジャージが良いでしょう。夏場に一日中外にいる場合は、熱中症対策や紫外線対策として、サングラスや帽子、インナーを着用するようにしましょう。これは、自分の身を守るためです。
一方、保健体育科の教員の仕事には、保健の授業も含まれます。保健の授業では、サングラス、短パン、首から笛をぶらさげて授業、ということは避けましょう。子供達も、保健の授業は体操着を着て行わないはずです。教員自身も、普段着に着替えることがベストですが、時間が無い場合は、ジャージのままでも仕方がありません。

座学中心の教科の教員

英語科や社会科などの授業は、実験や動き回る活動が少なく、どちらかといえば座学中心となります。そのため、華美で、極端に動きにくい服装で無ければ、どんな服装でも良いでしょう。スーツでも、ポロシャツでもそれほど問題はありません。しかし、授業はおしゃれの場ではありません。着崩したり、露出が多い服装を選んだりすることは避けましょう。

教員の服装の失敗例5選

【事例1】1学期の終業式

A先生は、小学校の男性教員です。今日は初めて迎える終業式です。通知表を渡して半日で子供達が帰るという認識であったため、普段着(チノパンにTシャツ)のまま出勤しました。

終業式は、「式」です。学期のけじめをつけるための儀式でもあるので、普段着ではNGです。
スーツなどの正装にしましょう。クールビズを推奨している学校であれば、ノーネクタイでも構いません。各教室で放送を使っての終業式だとしても、しっかりとした服装を心がけましょう。

【事例2】運動会、体育大会

B先生は、中学校の女性教員です。明日は体育大会ですが何を着ていったらよいか分からず、とりあえず、動きやすいように黒色のTシャツと、紺色のジャージを着ていくことにしました。

この場合の服装は学校によっては全く問題がない可能性もあります。しかし、問題が無かったとしても体育大会であれば、一日屋外にいるということは容易に想像ができます。
黒色よりも、熱を吸収しない白色を選択した方が良いでしょう。また学校によっては、「各クラスカラーで揃える」「襟付きのポロシャツでなければいけない」「上は必ず白色」「保護者が見て分かりやすいように教員だけのTシャツ」など、細かいルールがある場合があります。自己判断せず、先輩の教員に、事前に確認をするようにしましょう。

【事例3】授業参観

C先生は、小学校の理科教員です。今日は初めて保護者の前で水溶液の授業参観を行います。C先生は、「保護者が見ているのだからスカートタイプのスーツだな」と判断しました。
保護者会や面談の際は、お迎えをする立場としてスーツを着用するべきです。しかし、今日は水溶液の授業参観です。まずは、安全面を第一に考えて選択をしましょう。
スーツで本当に安全に動くことができるのか。スーツの上に白衣を着用すれば安全なのか。
もしくは、スーツではなく、袖が邪魔にならない半袖を着て、下は動きやすいパンツスタイルにした方が良いのかなど、授業内容から服装を考えましょう。

【事例4】卒業式

D先生は、中学校3年生の担任をしている男性の方です。明日は、初めての卒業式です。女性の教員仲間は袴を着る、ということを聞きましたが、D先生は袴を着る予定はありません。そのため、普段使いの紺色のスーツを着ることにしました。

まず、教員の認識として、1年の中で最も重大な意味を持つ式が卒業式だと思って良いでしょう。中学校であれば、3年間の中で最も重要な式です。そのため、服装はスーツでは良くないです。
基本的には、管理職はモーニング、他の教員は礼服、といいうことを覚えておきましょう。もちろん、袴を選択するケースもありますが卒業式は礼服、と思っていた方が良いです。

【事例5】家庭訪問

E先生は、小学校の女性教員です。今日は10件の家庭訪問を行う予定です。天気は晴れ、なんとか予定通り行えそうです。自転車に乗って各家庭を訪問するため、汗をかいてもいいように服装はジャージにすることにしました。

ジャージでは大変失礼です。本来であれば、お家にお邪魔させて頂くので、スーツがベストですが、それでは自転車が漕ぎづらいです。スカートで無くても良いので、せめてシャツとパンツのようなスタイルにしましょう。自転車を降りた後に玄関先でさっと着ることができるように、ジャケットを用意しておくと良いです。

ワンポイントアドバイス

TPOに合わせた服装ができるようするため学校の更衣室の自分のロッカーに、以下の4点セットは常に用意しておきましょう。

①スーツ
②革靴
③ジャージ
④替えの靴下


④の替えの靴下は、雨で濡れてしまった場合や、子供達が教員の足下に何かをこぼして汚れてしまった時などに使うことができます。
更衣室に自分のロッカーがない場合は、職員室の棚や、通勤で使う自家用車でも構いません。教員としてふさわしい服装を常にできるように、事前準備を怠らないようにしましょう。

わからなければ事前に上司や仲間に聞くことが大事

ここまで教員の服装について紹介してきましたが、最も大切なことは分からなければ事前に聞くということです。ここで紹介したのはあくまで一例です。学校や地域毎にTPOは変化します。
例えば、違う学校に異動となった時「前の学校と同じでいいや」と勝手に判断すると、自分だけ服装が浮いてしまった、などという失敗例もあります。必ず上司に聞くという習慣を持つようにしましょう。

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