保護者との正しい向き合い方とは?保護者会・個人面談前に要確認!

これから教職を目指そうと思っている人が仕事の中で不安に思うことに「保護者との関わり」があるのではないでしょうか。

モンスターペアレントという言葉が世間で認知されるようになり、先生になりたくても保護者への対応が不安で教員になることを悩む人もいます。どんなに経験を積んだ教員でも、保護者と良好な関係作りには苦労するので、若手の教員はなおさらです。今回は、現場経験の少ない教員でも保護者と良好な関係を作るためのポイントを紹介します。

ライター

emikyon

・元公立学校教員

・教育委員会にて勤務

・eduloライター歴2年

保護者と連携して物事を進めるときには「共通理解」が大切!

学校では、保護者と連携して物事を進めることがよくあります。その際に大切なことは「共通理解」です。

保護者と連携しなければいけない例としては、「落ち着いて話を聞くことができない」や「宿題やものの忘れ物が多く、生活習慣に遅れや偏りがある」などが挙げられます。

教員として大切にしたいのは保護者に対して指導をしないことです。『お子さんは〇〇ができていないので、できるようにしてくださいね』こんな言い方はよくありません。教員が教育のプロであることは分かりますが、保護者と上下関係を作ってしまってはアドバイスやお願いではなく「指導」になってしまいます。保護者と連携していくときのポイントは「共通理解」です。お互いに理解しあっていくためには、上下に並ぶのではなく、左右に並ぶ「伴奏」の考え方が大切になります。まずは、教員が保護者の伴走者の位置に立つことを意識しましょう。

子どもたちが学校と家庭で見せる姿は異なるもの

保護者と話をするときに気を付けなければいけないのが学校と家庭で見せる姿は違うということです。特に低学年や発達に特性をもつ子どもは、その傾向が強く、学校での様子を伝えると「家では大人しいのに」なんて返ってくることもよくあります。

あまりに様子の違う話をすると保護者は戸惑ってしまい、話が進まないだけでなく反感を買ってしまうこともあります。学校と家庭は違うことを前提に、保護者の話に共感しながら子どもの様子について確認するように話をしていきましょう。まずは、先生と保護者が家庭と学校の様子をしっかりつかむことが大切です。

話を進めていくときのポイント

話を進めていくときのポイントは、最初に困っていることや欠点の話をするのではなく、長所や良いところから話していき、保護者の思う子どもの良い部分を聞き出すことです。そして「なんか困っていることはありませんか」「気になることはありませんか」と切り返します。つまり、保護者から子どもについて困っていることを聞き出すことがポイントです。

教員側から話をしていくと「指摘」や「押し付け」のように受け止められることがあります。そのようにとらえられてしまうと、後の話し合いを上手く進めることができなくなります。

保護者の想いを聴くときのコツ

保護者と話をするときには「想い」を聞き出さなければいけません。そこで「傾聴」を大切にしましょう。傾聴とは『相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。 相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。 相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴くこと』です。

経験値のある先生がやってしまいがちなのが、保護者の話の途中で否定したり、教員の意見言うことです。保護者の話を聞いていると納得のいかないようなことがあるかもしれませんが、一旦、話を聞くことから始めましょう。すると保護者も「この先生は話を聞いてくれる」と理解・信頼してくれます。心配事や小さな不満を抱えている保護者は、教員に話をしたくて目の前に来ています。それを突っぱねるようなことをすると共通理解をはかるどころか、不満を貯める結果になるため注意が必要です。

「らしさ」を見つけよう

保護者と子どもの話をするときに、教員はどんな話題を持ち出すとよいのでしょうか。一番よくないことは、短所を指摘することです。これは、保護者と教員の関係をいきなり崩す要因にもなります。

しかし、教員側からしても「子どもに直してほしい」「気を付けてほしい」ことを伝えなければいけないケースもあります。そんなときには、その子の「らしさ」から話を始めるのがよいです。「元気で行動的だけどなかなかじっと座っていられない」、「1つのことに集中しまうと周りを見ることができない」こんな特徴的な部分はないでしょうか。

「らしさ」は良い部分とも悪い部分ともとらえることができます。普段子どもと接している時にも「その子らしさ」を見つけることに主眼を置いているといろいろと見えてきます。保護者も家庭で見せる姿に学校と同じ「らしさ」が多く含まれるので共通の話題として話をすることができます。

特性に関しては保護者と悩みを共通理解して共感する

学級で子どもに接していると発達に特性を持っている(いわゆるグレーゾーン)子が多くいることに気づくと思います。集団行動をしているとどうしても特性を持っている子の短所ばかりに目が行って、集団に帰属させようと短所を修正する教員が多くいます。でも全てを修正するのは非常に難しいですし、教員だけが頑張っても無理です。そこで保護者と共通理解が大切になります。

まずは保護者がどんな悩みや困り感を抱えているのか聞き取り、教員として学校で何ができるのかを伝えます。次に、学校で生活していくため保護者にも協力してもらわなければいけないことを相談します。こんな話をしながらお互いに子どもに対しての共通理解、一貫した指導方針をもって接していくと、子ども自身が将来をみすえて選択したり、判断したりすることができるようになります。

大切なのは「共感」すること 「指摘」したくなる部分を抑える

保護者との関係づくりで大切なのは「共感」です。子どもに対して保護者と教員が共感して、指導方針を決めていかないとうまくいきません。教員の指導に従わない、集団行動をすることができない子どもを見ると、教員はどうしても指摘したくなってしまうものです。

ただ、保護者の立場からすれば、自分の子どもの欠点を指摘されることは辛いことです。普段から子どもの欠点について理解している保護者であっても、教員から指摘されれば「寄り添って考えていこう」とは思いにくくなります。教員は保護者の近くに寄り添って子どもの成長をサポートしていくパートナーになるためには、共感を意識するとよい関係を作ることができます

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