【校長インタビュー#13】郁文館夢学園 ID学園高等学校の古澤勝志校長へインタビュー 

今回は、郁文館夢学園 ID学園高等学校の古澤勝志校長にインタビューさせて頂きました。こちらの学校は、2020年4月に開校したばかりの広域通信制学校です。他業界から教員になられた古澤先生の学校教育に対する熱意や、海外での学校立ち上げ事業のご経験、郁文館夢学園グループが求める教員像などについてお聞きしました。

外食業から教職へ きっかけは理事長の著書

ー初めに、古澤先生が教員になられた経緯を教えてください。

古澤先生(以下敬称略):実は大学卒業後すぐには教員にならなかったんです。就職活動もしていて、内定は色々もらったんですけど、自分の中でしっくりこない感覚があって…たまたまその時、知人に声を掛けられたのがきっかけで3人で共同で外食業を立ち上げました。

ー外食業とは意外ですね。そこから、どうして教職の道に行かれたのですか。

古澤:教員になりたいという気持ちは大学時代からずっとあったんです。家庭教師をしていて、教えれば教えるほど生徒の成績が上がったり、保護者に喜ばれたりして、教育の魅力を感じました。ただ、私の中で学校教育に対する色んな疑問があったんです。年功序列で、頑張った分の成果を認めてもらえないというイメージでしょうか。それで、大学卒業後すぐには教員にならず、別の経験を積んだ後でいいかなって思っていました。

外食業にしても初めての経験だったので、色々と勉強していて、その途中で行き着いたのが、郁文館夢学園理事長・渡邉美樹が出した本だったんです。著書の一つ「教育崩壊」を読んで郁文館を知ったほか、従来の学校教育に対する違和感を改めて感じました。例えば、学校教育に民間企業のような競争原理がないことに違和感を持っていまして…切磋琢磨するからこそ、企業なら顧客、学校なら生徒に、より良いものを提供できるんですよね。また、やる気のある若い先生の頑張りは評価されないけど、ある程度のベテランは努力しなくても高い給与を維持できる。日本の教育モデルが負のスパイラルに陥っていると感じました。

そんな中、郁文館は、生徒の幸せのために頑張る先生の成果はもちろん、努力の課程も評価してるんですよね。私は実は、大学時代にプロのキックボクサーをしながら起業していて「頑張るから人は成長できる」という考えが頭にあって、教育に携わるならこの学校しかないと思ったんです。本の中に「志あるものは門をたたいてほしい!」との言葉があり、読み終えてすぐ学校に連絡し、面接を経て郁文館中学校・高等学校の講師に採用されました。農大出身なので、担当教科は高校生物と中学理科です。

積極的に生徒指導 1年目で非常勤から専任に

ー理事長の著書をきっかけに郁文館の教員になられたとのことですが、実際に教員になられた後はいかがでしたか。

古澤:講師の担当業務は授業だけなのですが、私は生徒指導がやりたかったため、クラスの業務や学年の業務に、積極的に関わりました。朝から校門の前に立ち、生徒指導部の会議にも参加させてもらい、帰りもホームルームに顔を出し、生徒の服装をチェックしてましたね。そういうところが評価されたのか、翌年から専任教諭に登用されました。

ー2年目から専任教諭に登用されるのは異例なことでしょう。生徒指導がしたいというのも珍しい気がします。

古澤:生徒指導がしたいと思ったきっかけは、原田隆史先生(現・原田教育研究所代表取締役)という有名な教育者です。関西で中学校を立て直し、陸上部を7年連続日本一にしたというエピソードを持っています。原田先生が現役教員らを対象に開いている「教師塾」に学生時代から参加していて、私も同じように生徒指導をしたいと思いました。

また、私には「守・破・離」の教育哲学があります。「守」こそルールを守ろうという『心』です。ここが生徒指導を経てしっかりつくられた後に、『体』と『技能』を育てていく「破」という段階となり、最終的に生徒一人一人の個性が発揮されていく「離」へつながっていく。生徒指導は、生徒の成長には欠かせないものと考えています。

バングラデシュでの学校立ち上げ事業

ーその後、現職のID学園校長に就かれるまでどのような業務に携わられたのでしょうか。

古澤:専任教諭登用後は、学年副主任、夢教育プロジェクト副部長と、郁文館夢学園全体の運営に関わる様々な役職に就きました。中でも印象に残っているのは、バングラデシュでの学校立ち上げですね。

渡邉理事長から「バングラデシュに新しく学校をつくらないか」と声を掛けられたのがきっかけで、立ち上げに携わることになりました。理事長からお話を頂いたのが2011年12月末で、翌年2月には現地調査に入りました。開校までの期限は1年と設定しており、タイトなスケジュールでした。

ーバングラデシュでは、実際にどのような学校をつくったのでしょうか。

古澤:バングラデシュに滞在した8年間に、幼稚園、小学校、中学校、高校(カレッジ)計8校を設立し、校長を務めました。その中でも特に印象に残っているのが、ナラヤンクル村に開いた授業料無償の中高一貫校「ナラヤンクルドリームモデルスクールアンドカレッジ(NDMSC)」です。

バングラデシュのノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌスさんとご縁があり、「バングラデシュは教育問題が深刻なんだ。夢教育をバングラデシュに持ってきてくれないか」と言われたんです。

これを受け、貧しい子どもたちのために学校をつくるのはもちろん、夢教育という教育モデルを先生たちに学んでもらい、バングラデシュ全土の教育に還元してもらおうと考え、2013年4月にNDMSCを設立しました。設立後は苦労の連続でした。

生徒を募集しても、当初は定員の半分である60人しか生徒が集まりませんでした。そこで、教育の質を高めるべく様々な手を打ちました。その甲斐あって教育内容に対してポジティブな口コミが広がっていき、たった1年で募集倍率は4〜5倍と、多くの生徒が集まるようになりました。中には、入学のために遠方からわざわざ引っ越してくる家庭もあったくらいです。その後、もう1校、インターナショナルスクールを立ち上げました。

ーバングラデシュ滞在中は苦労や不安も多かったのではないでしょうか。

古澤:バングラデシュは日本と比べて政治的に不安定だし、土地の契約が何回も覆って設立の危機に立たされることもありました。また、アジア最貧国と言われており、初めて現地に到着した時も、辺りに砂埃が舞っていて、土地は荒れ果てていて…「本当に暮らしていけるのだろうか」という思いはありましたね。食中毒にもなり、食事にも苦労しました。学校の立ち上げメンバーは私と部下の2人だったのですが、1年間で私は7キロ、部下は10キロ痩せました。

そんな環境下で励みになったのは、現地の村の方たちの心温まるサポートや優しい声掛けでした。そして、村の子どもたちの目。「学校作ってくれるの?」と目を輝かせて楽しみに待ってくれていたのが印象に残っていて、モチベーションが高まりました。

こういった子どもたちの目の輝きはとても大事だと思っています。どこの国であっても、「子どもたちの目を輝き続けさせる」ためにこそ、がんばりたいと思っています。

帰国後は新設校の校長に

ーバングラデシュから帰国後、新たに設立されたID学園の校長先生になられたというわけですね。

古澤:渡邉理事長から、通信制高校に通う生徒数は年々増えており学校教育の形が変わりつつあることや、設立しようとしているID学園の話を聞き、率直に「おもしろそう!」と思いました。そして、バングラデシュでの学校立ち上げの実績も評価され、ID学園の校長に就くこととなりました。

開校したのは2020年4月。新型コロナの影響もあり、当初は生徒数10名からのスタートでした。しかし、その後は急拡大しました。2年半経った現在では生徒数は600名にまで増えています。今年度内には900名となる予定です。

生徒が増えていく中で、学校運営の仕組みも常に改革をしています。そして、今後は教員の授業力の強化を積極的に行っていきます。教員たちには全日制の学校に劣らない授業力やコミュニケーション能力を発揮してもらいたいです。

ー既に全国にいくつもの通信制高校がある中で新しい学校を運営していくのは大変だと思いますが、何か他校と差別化された特徴はありますか。

古澤:インターネット上で授業を展開している大手の通信制学校がありますが、ID学園は都内3校のほか、長野や埼玉に各1校キャンパスを設置していて、自宅から近くのキャンパスに通学して授業を受けることができるという特徴があります。キャンパスでは生徒一人一人の個性に合ったカリキュラムを設計し、提供します。生徒は自身の興味関心や学力レベルに合わせた教員の授業を選択し、受講することができます。

また、ID学園は夢教育という、生徒に夢を持つきっかけを与え、夢を叶えるための力を身に付けさせる教育を行っており、夢や目標を持ってもらうための指導も日々実践しています。

採用と教員育成 

ーID学園を含め郁文館夢学園グループでは、どのような採用を行っていますか。求める教員像や、志望者へのアドバイスを教えてください。

古澤:郁文館の教育理念『子どもたちの幸せのためだけに学校はある』を共に本気になって追い求めていただける人材を求めています。そして、「子どもの幸せと真剣に向き合いたい」「教育者として成長し続けたい」「日本の学校教育を本気で良くしたい」そんな志を持つ、仲間を求めています。教育業界の経験有無は一切問いません。民間企業のご出身者も大歓迎です。

ーさまざまな経歴の方が応募してくる中、面接で必ず聞く質問はありますか。

古澤:その方が思い描くビジョンについては必ず聞きます。そのビジョンが郁文館の教育理念や教育目標と繋がるのかどうかを見ます。そして、その方が郁文館でどう成長できるかを想像します。

ー働く方々に持っていて欲しいセンスはありますか。

毎年、私が新人へ送る言葉があります。船井総研創業者 船井幸雄氏の「『素直』『前向き』『勉強好き』のどれか1つでも欠けていたら成長できない」という言葉です。素直さがないと、壁にぶつかった時にそれを受け入れることができない。前向きさがないと、それを乗り越えることができない。勉強好きでないと、自分に足りない知識をしっかり勉強できない。という意味です。郁文館で働く教員たちには、この3つを持っていてほしいですね。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

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edulo編集部

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